【勝田班月報・6810】
《勝田報告》
 A)4NQO処理・培養ラッテ肝細胞の復元接種試験:
 これまでラッテ肝細胞の培養を4NQOでいろいろに処理し、各種の変異細胞を得てきたが、最近の培養材料が主にRLC-10で、完全に純系化した以后の材料なので、この復元試験には非常に興味がもたれた。
 接種日は、今年の7月8日と18日であり、これの腹水を9月19日にとって塗抹標本にし、ギムザ染色で判定したところ、CQ42の実験群の2匹の内1匹に、どうも腫瘍細胞としか考えられないような細胞島がいくつも認められ、これは日を追って島(細胞塊)の大きさが増大していくことが見出された。腹水中にはかなり反応細胞や赤血球が多数混在していて、ラッテが死ぬまでにはなかなか至らないが、腹水をとって洗い、次代に継代することを考えている。これがうまく継代できれば、当研究室としては初めての“take"であり、しかも4NQO処理が2回だけなので、いろいろ面白い問題が出てくることと考えられる。これは接種日が7月18日なので、約2月后に発見したということになる。
 それにつけても、細胞を動物に復元接種し、それが増えてくるのに何カ月もかかるということは、一体どういう意味をもっているのであろうか。その間、接種細胞は生体内で何をしているのであろうか。(4NQO処理培養ラッテ肝細胞の復元接種試験の表を呈示)
 B)4NQOの光力学的作用
 いろいろな細胞を4NQOで処理してから365mμの光で照射すると、細胞が照射のためにこわされるということは既に班会議や月報で報告したが、この光力学的作用が、細胞の種類や培地の条件によってどのようにちがうかが興味のあるところであり、今回はラッテ腹水肝癌AH-7974の培養株とL株原株とを使って、血清培地及び無血清培地での反応をしらべた。(検索結果の図1〜4を呈示)。
 図1はAH-7974細胞に血清培地内で処理したもので、365mμの照射だけでは増殖に影響を与えないことが判る。そして4NQOで処理すると細胞がこわされ、それをさらに光照射すると一層細胞の破壊のひどくなることが示されている。
 図2はL株細胞を同様に処理した結果で、この場合はAH-7974の場合よりも細胞傷害の度合が少いことが判る。
つぎに無血清培地での処理の結果に移ると、図3はAH-7974細胞で、control培地として[20%仔牛血清と0.4%ラクトアルブミン水解物+塩類溶液]の培地が用いられているが、この培地内では図1と全く同様に光を照射しても全く増殖には影響がみられなかった。合成培地DM-120に入れると細胞の増殖は止って、その代り破壊はみられず2日間すぎた(synchronouscultureに使える?)が、この場合光を照射してもしなくてもほとんど差がなかった。
 図4はL株細胞を合成培地DM-120においた場合である。DM-120というのは、そもそもL系の細胞をparameterにして開発した培地であるから当然といえるが、この場合仔牛血清培地でもDM-120培地でも全く差のない増殖を示し、しかも光を照射しても何の影響もみられなかった。なぜ合成培地内で照射してみたか、ということであるが、既に報告したようにL・P3細胞は光照射に対してきわめて弱い。これがL・P3細胞の特徴なのか、それとも合成培地内において照射したためであるのか、という問題がおこってくる。今月の結果では単に合成培地において照射したということだけでなく、やはりL・P3細胞の構造内に必須脂肪酸が含まれていないという構造的弱点によることが示唆された。

《佐藤報告》
 ◇4NQO発癌成績続き
 従来の3系(1:肝、2:胎児肺、3:全胎児)の4NQOによる発癌株に、さらに2系の発癌株が得られた。(前月報6709参照)その後のデータを追加したいと思います。
 1)RE-10:ラット胎児由来の細胞で最初に発癌したラット胎児培養細胞の追試実験です。発癌動物はNo.168、169(月報6807)で、培養法、培養歴、4NQO処理法などは報告済みですが、その組織像(No.168)は多型細胞の目立つ肉腫像です。
 2)Exp.7-2:ラット肝細胞の4NQOの発癌実験でこれは従来報告していたExp.7(ラット肝)の追試です。現在4NQO 10-6乗M、8回処理のものは1匹(動物No.142)、20回処理のもの2匹(動物No.150、151)“Take"しており、そのいずれにも著明な腹水肝癌を認め、その腫瘍の組織像は肝癌と腺癌との混合した興味ある所見を呈しています。
 3)C187:ラット肝由来の細胞に高濃度の4NQO、即ち5x10-6乗M1回5分で2回、5x10-5乗M1回5分、計3回のみ処理したExp.7より別の培養系での動物復元で4/4に“Take"しました。このコントロール細胞は、Exp.7のものとやや異なり、アルカリホスファターゼが陽性で(Exp.7では陰性)、4NQO処理細胞、腫瘍よりの再培養細胞にも陽性に認められます。現在その内の1例の腫瘍の組織像は繊維肉腫です。従って屡々報告したように現在の肝細胞培養法によって、肝細胞以外のものが培養され得る場合があります。従って培地、培養法を現在検討中です。(動物復元実験・続きの表を呈示)

《高木報告》
 1.発癌実験:
 1)NQ-7
 月報6808に引続き経過を観察していたが、4NQO 10-6乗mol 2回(計4時間)作用させたもの(t-1)、2x10-7乗mol 5回(計198時間)作用させたもの(T-3)、およびT-3にさらに10-6乗mol2回(計4時間)作用させたものにmorphological transformationがみられた。
 2)NG-11
 NG1μg/ml 7回処理後約60日目に、作用方法を変えてTris-Maleic buffer(pH6.0)でNGを500μg/ml、50μg/mlに稀釋し、10分間作用させて24時間後に継代した。現在の処500μg/ml処理ではcell damageが著しく増殖はよくない。50μg/ml処理では殆どlagもなく1μg/ml処理群と同程度の増殖を示していたが、処理後約60日頃よりやや増殖がよくなり、形態的にも変化したようである。
 2.復元実験:
 NG-4、NQ-7をWistar King A系rat、newbornの皮下へ100万個の細胞数で復元した。2ケ月を経過した今日、tumorは認めない。 無処置のratではtumorを作るのが容易でないので、conditioned ratも使用することにした。すなわち生後2ケ月前後のyoung adultを使用し、第1日にCo450Rを全身照射し、つづく3日間cortison acetate 5mg筋注し、第5日目に腹腔内に細胞を接種した。
 3.染色体:
 NG-4、NQ-7に関して染色体のmodeを調べている。現在それぞれ20ケの細胞について調べたが、controlの細胞が43にmodeがあり割合に2倍体を維持しているのに対して、発癌剤処理細胞は、NG-4では低4倍体および高7倍体附近にpeakがあり、NQ-7では低4倍体のところに高いpeakがある。
 4.発癌剤耐性:
 NG-4、NQ-7のseriesについて、4NQOに対する耐性も調べてみた。培養2日目に4NQO 10-5乗、10-6乗、10-7乗molを添加し、5日目に細胞数を算定した。
 NG-4、NQ-7とも無処置の細胞は10-6乗molの4NQOにより増殖が抑えられるのに対し、NGおよび4NQO処理でtransformしたと思われる細胞では10-6乗mol添加でなお増殖の傾向を示した。以上これまでのdataをまとめ次回班会議に報告の予定です。

《三宅報告》
 前々回に続いた実験の、結果を報告するにとどめる。即ち、4NQOの影響をうけたL細胞のcell cycleの回復を、前回では24時間までをみたが、これを36時間まで延長して、10-5乗Mの4NQOの作用時間を30分、60分、120分とし、洗滌后、正常のEagles培地にもどしKinetic para-meterの回復をしらべたのである。前回の実験では、作用后24時間でTG、TSの回復をみたが、今回の実験では、L.I.は24時間で回復したが、DNA合成能の指標としたGrain countは36時間を経ても回復せず、また作用時間の差による回復能の差も見られない。
この意義については、いろいろと考えねば、ならない点があると考えるが、このたびは、その結果のみの報告にとどめることにする。(図を呈示)

《山田報告》
 今月は医科学研究所癌細胞研究部に培養されている株のうちでまだその細胞電気泳動度の測定していなかった株の成績について報告します。
 ラット腹水肝癌AH-66TC(培養株):この株のoriginalである腹水肝癌細胞はin vivoであまり強い悪性性質を示しませんが(図を呈示)、その培養株の電気泳動度も0.94μ/sec/v/cmで癌細胞としてはあまり高くありません。しかし、シアリダーゼ処理(30単位/0.2ml 37℃ 30分)では、その泳動度が有意に低下することを認めました。
 なぎさ培養による変異株RLH-1、RLH-3、RLH-4:前回報告しましたRLH-5にくらべて、すべてその細胞電気泳動度は低いですが、RLH-3、RLH-1はシアリダーゼ処理により有意の低下を認めません。しかしRLH-4は平均細胞電気泳動値も比較的高く、しかもシアリダーゼ処理により有意の低下を認めました(図を呈示)。この成績は従来のそれと全く異る値です。これまでなぎさ培養による変異株はラットに復元しても腫瘍を作らないとされていますので、非腫瘍性の細胞のなかでシアリダーゼによる電気泳動度の低下する例は初めてです。しかし最近復元実験を行なっていないそうですので、その結果は今後の検索に待ちたいと思います。RLH-4は、2回測定し、しかも一度はCQ39と同時に処理しましたが、後者はシアリダーゼで電気泳動度の低下を認めませんでした。
 シアリダーゼ及びRNAアーゼ処理の基礎的研究
 シアリダーゼ細胞処理法の木曽実験については、従来一応行なっていますが、あらためてsystematicに検討しなおすと共にRNAase細胞処理と比較してみましたので、合せて報告します。(Weiss,L.等により細胞の表面はRNAase処理により荷電が低下するので、RNA依存荷電があるとの報告が、最近発表されましたので。)
 用いた細胞はラット腹水肝癌AH66Fと62Fで、いずれも遊離細胞型です。各試料に細胞をpackで0.2ml、各酵素液水分量2ml、シアリダーゼ処理のメヂウムは従来通りM/10醋酸緩衝液(pH5.6)に1mMの濃度の塩化カルシウムを添加したものを用い、RNAaseのメヂウムとしてはHanks溶液(pH7.2)(L.Weissの報告と同一条件)を用い、いずれも37℃30分処理後、生食にて2回洗滌し、その細胞電気泳動度を測定すると共に、前記処理液中に遊離する蛋白質をFolin法により、シアル酸をWarren変法により測定した。
 シアリダーゼ処理:一群の実験の処理は静置の状態で行ない、一群は処理をゆるく振盪しながら行ないました。用いたシアリダーゼの濃度に応じて細胞電気泳動度は低下し、シアル酸が遊離しますが、37単位以上では蛋白の遊離が急に多くなり、シアル酸遊離と共に細胞膜の破壊(microdissection)が考えられます。この状態は、処理時に振盪すると更に強くなります。(それぞれに図を呈示)
この用いた細胞AH66Fは、比較的破壊しやすく、同一条件(静置)で、AH62Fを処理しますと、蛋白の遊離は75単位のシアリダーゼを用いても増加しません。この結果から考えますと、細胞膜の堅牢さは細胞の種類により異なりますが、少くとも細胞膜を破壊せずにシアル酸のみを除くためには、なるべく少量のシアリダーゼを用いた方がよく、しかしあまり少いと細胞泳動度の低下が少くなり比較出来ません。従ってこの成績より考えても、従来使用している30単位/0.2ml(cell pack)のシアリダーゼ処理が適当であることを確認しました。
 RNAase処理:RNAase処理では細胞電気泳動度の低下を認めますが、同時に多量の蛋白質が遊離し、しかもシアル酸も遊離することがわかりました。RNAase(protease freeと明記されている製品)そのものはRNAにspecificに働くのでしょうが、生きた細胞に作用させると非特異的に細胞膜のmicrodissectionが起こることが推定されますので、この処理による電気泳動度の低下が直ちにRNAase依存荷電量を意味するものではないと思われます。
両実験での結論:たとえその作用がspecificな酵素を用いても、それを生きた細胞に作用させる場合、非特異的な細胞膜のmicrodissectionを考慮しない限り、その表面の細胞電気泳動度の変化の意味づけは、難しいということです。

《堀川報告》
 マウス胸腺細胞の培養と発癌実験
培養された骨髄細胞の移植によるマウス「骨髄死」の防護ならびにLeukemogenesisの試みに関する実験シリーズの関連実験として私共はマウス胸腺細胞を培養しているが、最近それらの培養胸腺細胞が短期間にしかもspontaneusにmalignant transformationをおこすことがわかってきたので、それらについて予備的な結果を紹介する。
 C57BL/6Jax系マウス生後24時間目のnew born(2腹、8匹)から無菌的にthymusを取り出し、ハサミで細切したのち10ml pipetで、かなりはげしくpipettingする事によりthymus cellsを単離する。集まった細胞をTC-199(70%)、Tryptosephosphate broth(10%)、牛血清(20%)からなるmediumにsuspendして、TD-40瓶2本に分注した後静置培養する。培養1週間目位に細胞はガラス面にシートを作り、activeに増殖を始める。培養30日目にcellsをガラス面からはがし集め、50万個cellsづつを生後10、14ならびに21日の同系マウスの皮下、および腹腔内にtransplantする。このようにしてcellsをtransplantしてから、30日目における各マウスの発癌率をみると以下のごとくであった(表を呈示)。これらの結果を要約すると、
 (1)50万個cellsを皮下および腹腔内にもどした際、皮下にもどした場合は腫瘤または結節として現われ、腹腔内にもどした場合は腹水癌として腹がパンパンにふくれあがる。
 (2)30日という比較的短期間の培養中にthymus cellsは悪性化し、しかも50万個cellsという少い細胞数でもって比較的高率に発癌を誘起させることが出来る。
 (3)transplantされたマウスの年齢は、この実験に使用した範囲の年齢差では発癌率に関して大きな差異はないことがわかる。
 (4)腹腔内にtransplantして、30日後にたまった腹水細胞を次の同系正常マウスにtrans-plantしても同様に発癌させる。つまりtransplantableである。
実験例が少いので、もう少しはっきりしたことをいうには今後さらに多くの実験を要するわけであるが、現時点においてはっきりしたことがいえるのは、こうしたthymus cellsが短期間の培養中にmalignant transformすることを、dBという別のstrainでわれわれはまず発見し、直ちにこの実験系をgeneticalにはっきりしたC57BL/6Jax系に移して実験をrepeatしているわけで、それでも同様の結果が得られていることから、まずこの実験系に大きな間違いはないと確信する。
 幼若マウスにおいてはthymus cellsはspleen cellsやリンパ節細胞の前駆細胞であるということが報告されている現在、thymus cellsは相当までに未分化状態にあるらしい。したがってわれわれが現在行なっているspleen cells cultureと、平行して非常に興味がもたれる。今後さらに培養期間を短縮してどの程度で発癌能をもつようになるかを知り、これを使って発癌機構を追うのも面白いようだ。これまでの実験的経験から、マウスthymuscellsはbone marrow cellsやspleen cellsよりもin vitroでの培養が容易で、かつ増殖が活発であることもわかっている。このあたりにthymus cellsが未分化系細胞であって、invitroで比較的容易に、しかも短期間培養でtransformし得るようなcharacterをもっているのかもしれない。

《安村報告》
 ☆Soft Agar法(つづき)
 1.前号の月報(No.6809)でのべた、ハムスター胎児細胞の2代め培養から試みた、Softagar中でのコロニー形成を(表を呈示)示す。いずれのコロニーも0.05mm直径くらいで、とりあげられたコロニーは次代に継代できなかった。コロニーとして数えられることはできたが、それらは壊死コロニーであった。Conditioned mediumが25%以下ではコロニー形成が皆無であった。結果はConditioned mediumの有用性がTjottaの説くごとくであったが、いかんせん増殖能のあるコロニーがひろえない。従って生成コロニーのtumorigenicityのassayを試みるに至らない現状である。なんとか、培地条件を改良しなければならないだろう。培地はEagle MEMでamino酸、ビタミン等2x conc.のmodified Eagle Mediumにコウシ血清10%であった。細胞数85万個/plateが接種された。
 2.AH7974TC細胞のSoft Agar中での増殖(つづき): ハムスター胎児細胞と同様の条件でのコロニー形成率は表のごとく、期待をはるかに上まわった好成績であった(表を呈示)。効率は10〜18%で、充分モデル実験の材料となりうると考えられる。生成コロニーから、atrandomに5個ひろいあげ、再びSoft Agarにplatingされた結果は次号に。

《藤井報告》
 癌細胞が培養の条件下で、in vivoで持っていた抗原性に変化を来すかどうか、例えば、培養液中の仔牛血清の問題や、培養という不自然な環境が細胞膜に対してどのような影響を示すかが、今ひっかかっている問題の一つです。Immune adherence法でtestした限り、培養AH7974細胞と腹腔内で継代したAH7974細胞を仔牛血清を10%にふくむ“199"液においても−室温30分だけであるが−IA活性に両者の差が認められなかったことは前回に報告したとおりである。
 秋になると、学会が多く、好むと好まざるに拘らず発表を余儀なくされる仕儀があって、変異細胞〜癌細胞の抗原の仕事は一寸ストップです。
 今忙しくやっている仕事の一つは抗マクロファージ抗体の抗体産生、補体との関係の仕事です。最近、同種移植への応用の他に、抗体産生の問題にも関連して抗リンパ球抗体がやかましく取り扱われて来ています。同じことをやるのは癪だと、1年程前から抗マクロファージ抗体のことを始めたのですが、途中、中断していて、最近、発表のために又やり始めました。情ない経過です。外国の雑誌にAMS(Anti-macrophage serum)のことがぼつぼつ出始めました。
 抗マクロファージ抗体は、マウスの腹腔に3%澱粉・生食水浮游液、1,0mlを注射し、2〜4日の腹水をとって、“199"液(免疫に使うウサギの血清を10%ふくむ)中で培養し、培養3〜5日でガラス面に強く附着している細胞を集めます。それをFreund's Adjuvantと混ぜて、ウサギを免疫しました。
 このようにして作った抗血清でも、かなりリンパ球との交叉反応がみられ、外国の1〜2の文献に最近出ているように、異種のAMSでリンパ球とマクロファージを分けられるというのは一寸疑問に思っています。私の細胞のとり方が悪いのかどうか、次の会で知恵を借りたいと思っています。抗リンパ球血清(抗胸腺抗血清)は、AMSより、赤血球に強い交叉反応をするし、マクロファージにも強く反応します。
 AMSは、マウスのヒツジ赤血球に対する抗体産生を抑えましたし、とくに2nd responseをよく抑えました。恐らく7S抗体の産生を抑制したものとみえます。今少し細かくみようと思っています。皮膚同種移植反応は、あまり抑制していません。
 序でに、マクロファージの培養から、感作マクロファージ(抗原で免疫した動物のマクロファージ)を使って、そのphagocytosisをみることによって、tumor cellと正常細胞の抗原の差を伺えないものかと思っています。
今回は、お話しのような月報で申し訳ありません。

《梅田報告》
 newborn rat liverのreplicate cultureにDAB、3'methyl-DAB、ABを投与して、growthに及ぼす之等物質の影響をnucleus countで調べた。3日間前培養后、夫々の物質の各濃度に加えられたmediun(LD+20%CS)に交換し、2日后、同じmediumで交換、4日目に、citric acid:crystalviolet混液で処理して、核数を算定した(hemocytometer)。実験はすべてLeighton tubeを使用した。一群2本の平均値なのでrepeat実験を必要とするが、各群のばらつきは比較的少なかった。Startは物質の入ったmediumに換える時、即ち3日間前培養后の核数を示し、その他はすべて4日后の核数の平均値を示す。()
 この培養条件で、controlは4日間で丁度3倍の増殖を示し、比較的doubling timeの遅いことを示している。
 DAB、3'methylDABは10-4乗Mで核数増加は起らない。10-3.5乗Mでは、10-4乗と同じ核数を示し横這いを現わしているが、之等物質が高濃度ではMmedium中に析出してくるためと思われる。特に3'methyl DABは析出しやすいので、DABより核数の多いのはその為と説明出来る。一応、DABと3'methyl DABとは同程度の細胞増殖阻害があると判断出来る。ABは明らかに上記2者より毒性が弱く、10の0.5乗Mの差がある。核数算定の時、大ざっぱではあるが、円形の核(肝細胞、中間細胞)と長楕円形細胞(間葉系細胞)とを区別して数え、後者の占める%を算定した(表を呈示)。即ち、之等物質の存在下では高濃度になるにつれ肝細胞が障害を受け、間葉系細胞は比較的残存し、抵抗性のあることを示している。
 7月の月報で報告した様に、肝explantへのradioactive precursorの摂り込みは、HeLa細胞の摂り込みに較べると極端に悪い。その后、タンザク培養での肝単層培養にDAB等を投与し、経時的にradioactive precursor処理を行い、Autoradiogramを作製してみたところ、これもほとんどの標本でgrainを証明できなかった。始め、H3-TdR、H3-UR等の利用出来る酵素の活性が弱いことも考えたが、一応今回は上の事実を確かめる実験を行った。即ちnewbornrat liverの培養をLeighton tubeに作製し、5日后、H3-TdR 0.1μgc/ml、H3-UR 0.5μgc/ml finalになる様に投与し、1時間培養后、型の如く、cold PCA、defatteningの処理をして乾燥させ、次いで、細胞を0.1mlのformic acidで溶解させ、これにANPOと称するliquid scinti-llation cocktail 10mlを加えliquid scintillation counterにかけた。(表を呈示)。表に示す様に、摂り込みは見られたが、HeLa細胞に較べ1/20〜1/25の値を示した。即ち、本月報の前半で述べている様に、doubling timeも長いことからして、始め想定した様な酵素系の問題ではなく、細胞自体の代謝回転がゆっくりしていることが、之等細胞へのredioactive precursor自体の摂り込みをおさえているらしい。


編集後記


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