【勝田班月報・6908】
《勝田報告》
 ラッテ腹水肝癌AH-7974細胞の毒性代謝物質:
 肝癌が正常細胞に対して阻害的に働く毒性代謝物質を培養液中に放出することをこれまでも報告してきたが、その物質の本体を追究中で、今月号ではその最近までの成果の中間報告をする。
 (図を呈示)図は肝癌AH-7974を4日間培養した培地を、正常ラッテ肝細胞の培地に30%に添加した結果を示している。培地は1日okini交新し、その都度肝癌を培養した培地を30%添加している。この結果で判ったことは、毒性物質がCollodion bagを通過できる低分子物質であるということである。
(図を呈示)図は肝癌培地をCollodion bagで濾過した低分子部分を、Sephadex G25で分劃した結果を示す。まだpeakがきれいには分かれていないが[透析仔牛血清+合成培地DM-145]の培地で肝癌を培養するようになってから、polypeptidesなどのpeaksがなくなり、分析がはるかに楽になった。なお蛋白を含まぬ合成培地でもAH-7974は若干増殖するが、この場合の肝癌培地は毒性物質は現れてこない。
 正常ラッテ肝細胞(RLC-10)を培養し、これに前記の各分劃を培養第2日からラッテ肝細胞RLC-10の培養に添加し、6日後の細胞数(合計第8日)を調べた。(図を呈示)#38の分劃を添加した場合、肝細胞は完全にZeroになっている。つまり毒性物質は#38の分劃に集中しているということになる。CI、C はControlで、C はCIの培地にinositolが2mg/l追加されている。 この実験は分劃を1つおきにとばしてしらべたので、#38を中心としてその前後の分劃も加えてしらべ直した。(図を呈示)Inoculum sizeがちがうので、こんどはうまくZeroにならなかったが、37、38、39の内では38が最も阻害しており、37にも若干阻害物質の混っているらしいことが判る。
しかし分劃図からも判るように、#38は#42のピークにまきこまれて大きなピークの肩を作っているにすぎないので、#38を単独のピークとして分離することを今後つとめなくてはならない。
 このような分析には、なるべく蛋白を含まない培地で肝癌を培養出来れば、以後の解析が非常に楽になる。そこで血清を除いて、合成培地+PVPだけの培地で肝癌AH-7974を培養してみたところ、第4日までは何とか増殖を示し、以後は細胞数が減少してしまった。しかしとにかく、その4日間培養した培地を透析(Collodion bag)、肝細胞RLC-10の培地に30%に添加してみた。(図を呈示)結果は図の通りで、どういう理由か判らないが、salineDを30%加えたC よりも、合成培地を30%加えたCIの方が細胞の増殖率が低く、肝癌培地を30%加えた群と大差が見られない。
 この結果から考えると、やはり肝癌が活発に増殖しているときにだけ、毒性の代謝物が作られるらしい。

《難波報告》
 ◇N-4:4NQO処理により発癌過程にある培養ラット胎児細胞のPlating efficiencyと
     Transformed colony出現率について
先日(1969-7-5)の班会議で4NQO処理で発案過程にあるラット胎児細胞のPEとTransformed colony出現率とを報告した。今回はそのデータが集まったので、以下の表にまとめた(表を呈示)。実際の発癌は10-6乗Mの4NQO濃度で、間歇的に24回処理(総処理時間118時間)した細胞を動物に復元した時、腫瘍形成がみられた。この表から判ることは、1)4NQO未処理のコントロール細胞には、培養492日でもTransformed colonyの出現はみられなかった。2)4NQO処理21回の細胞にはTransformed colonyの出現が9%に認められた。即ち、この細胞は非常に発癌に近ずいていることを示している。3)Plating efficiencyについては差がなかった。 先日の班会議で勝田先生から、(1)処理後ただ培養しておくだけで、悪性度が加算したのか。(2)処理する度に悪性になって行ったのか。の2点を解決する為に発癌した24回4NQOを処理した細胞を得るに要した培養日数165日を一応の基準にして4NQO処理、9、12、15、21回の細胞を培養165日以後経過した時点で動物に復元してその造腫瘍性を検索中である。

《佐藤報告》
 ☆N-methyl-N-nitro-N-nitrosoguanidine(MNNG)no吸収スペクトルについて。
 (1)溶媒による吸収スペクトルの変化:溶媒として、1)蒸留水、2)Hanks・BSS、3)Eagle's MEM、4)MEM+20%BSを比較した。MNNGの濃度は可視部測定の為には10-2乗M、紫外部測定には10-4乗乃至5x10-5乗Mとして吸収スペクトルを求めた。各溶媒のpHは略々7.2にしてある。その結果、溶媒による差はなく、共に279mμ及び400mμに頂を持つ吸収スペクトルが得られた。(但しMEM+20%BS中では紫外部の吸収測定は不可能であった。)
 (2)MNNGの温度及び光による分解の結果見られる吸収スペクトルの変化:MNNGは温度、光、pH等の影響を受けて分解する。そこでpHを大体7.2にして、温度処理(37℃、約12時間。冷暗所保存)及び紫外線照射(室温、3時間。15w殺菌灯下50cm)後の変化を見た。その結果、279mμの頂は276mμに移行しかつ高さもやや低下していた。又400mμの頂は低下しており、特に37℃12時間処理の溶液において、その傾向が著しい。
 (3)MNNGの水溶液の長期保存によるスペクトルの変化:月報No.6903に記したようにMNNG水溶液(pH7.15)を冷暗所(4℃、アルミホイルによる遮光)で約6ケ月間保存し、その後吸収スペクトルを求めたところ、279mμの頂は264mμに移行し、又400mμの頂は消失していた。 (4)、(2)の項の条件に処理したMNNG溶液をEagle'sMEMで稀釋し、最終的に10-4.5乗Mで、ラット肝臓由来細胞の増殖抑制効果をみた。その結果MNNG溶液はどれも細胞増殖抑制効果を持つが、37℃12時間処理の溶液において抑制効果が減弱している。尚実験には同型培養法を用い、MNNGは2時間37℃作用させた。
 Craddock,V.M.によればMNNGの吸収スペクトルで279mμ及び400mμに吸収の頂が見られ、前者はguanidino groupによるもので、後者はnitroso groupによると考えられる。又、MNNGを39℃(pH7.5)で分解すると279mμの頂は264mμに移行し、400mμの頂は消失する。これは本実験の(3)の結果と一致している。(2)の結果は分解の過程を示すものと思われる。

《高木報告》
 月報No.6905でも報告したが、今回は4NQO treated cellsの中NQ-7(月報No.6811参照)のsoft agar中におけるcolony forming efficiencyについて報告する。この仕事の目的はCGEと移植による腫瘍形成能との間に、何等かの関係があるか否かを調べることにあるが、班会議でも話したように脳内接種がうまく行かないため未だdataにはなっていない。
 soft agar法はNo.6905に報告したのと全く同じである。実験を繰返した結果次の様になった。(表を呈示) ここで移植は生後24時間以内のWKA ratの皮下、移植細胞数は200万個、判定は移植後6ケ月に行った。T-4の3/4は接種後2ケ月で腫瘍の発生をみ、3週後にregressしたものである。
 今回の報告ではT-2のCFEが3%と前回(No.6905)に比較して高くなっていますが、これは再検の結果でこのような値をえた訳です。この表丈でみるならば腫瘍形成能が高いと思われるT-4にCFEは低いと云うことになります。但、これは培地の問題その他techniqueの問題がからんでいると思われますので、軽率には断定出来ません。
 次にこのようにして出来たcolonyの中、大きいもの(large colony)、小さいもの(small colony)をとり出し、更にCFE、large或いはsmall colonyから夫々large或いはsmall colonyを生じやすいが、各細胞の形態などを検討しつつあります。
 (表を呈示)この表はこれまでに得られた成績の一部を示したものである。前述の如くこの実験ではすべて脳内接種を行い(10万個cells)、そのほとんどが7日〜10日後に死亡した。但しT-4のcl-3丈2/4に4週間で頭が大きくなったのでsacrificeしたが、肉眼的に出血があり、また水頭症の如き所見がみられた。組織学的に目下検索中である。
 この表でみる限り
 1)large colonyを作った細胞がlarge clonyを作りやすいと云った傾向はみられない。
 2)large colonyを作った細胞の方がCFEが高いと云うこともないようである。例えばT-1のcl-6は高いCFEを示すが、T-3のcl-5もsmall colony originの細胞でCFEは結構高い。
 3)形態的にsmall colonyを作る細胞が小さい細胞からなり、large colonyを形成する細胞が大きい細胞であると云うような所見はなかった。
 さらにcolonyのselectionを繰返してみると共に、移植を皮下に切換えて実験を再検討してみたいと考えている。
その他NG発癌過程のchromosome numberのmodeの変化、slice culture法の検討などを平行して行っています。

《山田報告》
 引続き4NQO 3x10-6乗M一回投与後のラット肝細胞(RLC-10)の表面荷電を測定しました。条件は従来と同様で酢(図を呈示)。149日目におけるCQ63群の細胞では113日目に測定した結果と殆んど変化がなく、4NQO一回投与分野(4N1)では悪性化ぎりぎりのパターンを示して居ますが、50日目に再度同一条件で2回処理した群(4N2)では全く良性型を示しました。
 4NQOを連続的に幾回も投与すると、かへって悪性化した細胞を選択的に消失させてしまうのではないかと、ますます考へる様になりました。勿論すべての例でその様な選択が起こるかどうかわかりませんですが、in vitroでの発癌実験では、くりかへし発癌剤を投与するためには、充分なる検討が必要であろうと考へられる所見です。
 細胞表面における抗原抗体反応の細胞電気泳動法による測定に関する基礎実験が一応終わりましたので、その結果だけを簡単に書いてみたいと思います。
 (図を呈示)Ehrlich ascites carcinoma cellを1000万個1回、I.P.に投与(移植)した後、10日目に血清を採取して用いた実験結果です。
 基礎実験に基き、この血清とEhrlichをin vitroで37℃、10分間接触させた後によく生食で洗い、通常の泳動条件にて測定しました。この血清を漸次稀釋して効果をみると、10倍稀釋で約50%のEhrlich泳動値の低下がみられますが、100倍稀釋で殆んど影響がなくなります。この場合、血清中から補体が除かれてゐませんが、100倍稀釋では抗体量の不足と共に補体の不足が考へられますので、ラット正常血清から作った補体(抗原は吸収)を加へて、抗体の影響をみますと500倍程度まで、明確なEhrlichの泳動値の低下が認められました。 補体は基礎実験により30倍稀釋のものを用いてあります。(図を呈示)図に示すごとく補体自身ではEhrlichの泳動度に殆んど影響はありません。
 抗体のみの影響はまだ検索して居ませんが、抗体が表面の抗原と結合すると図のごとく、その周囲にある表面の荷電をマスクしてしまうために、その電気泳動度が低下すると考へられます(図を呈示)。
 これに補体が結合すると、細胞膜の障害(穿孔?)がおこり、荷電物質がメヂウムに流出してしまい更に電気泳動度が低下するものと考へられます(図を呈示)。
 この電気泳動度測定による感度は、少くとも色素透過性試験(所謂intoxication test)と(Cytolytic reaction)と同等のものであるとの実験結果も得ています。
 この反応を利用して発癌に伴う抗原性変化を将来追求したいと思って居ます。

《安村報告》
 ☆Softagar法(つづき)
 1.Cula-TC-Q2系におけるS-L dissociation:
 前号の月報(6907)でCula-TC系のうちQ1系についての結果をお知らせしましたが、今回はもうひとつの系Q2についてのS-L dissociationの実験を報告します。
 (表を呈示)結果は、Colony forming efficiency(C.E.C.)はL系の方がS系より高いが、S-Ldissociation rateの点ではL系が稀釋に応じているのに反して、S系では不規則であった。したがってこの点で比較が困難である。前号にのべられたQ1-SS系と比べて、ともにC.E.C.は13%〜17%あたりで、Q1とQ2の間にはさしたる差はない。Q1-S系は、Q2-S系よりLarge colonyの出現率は3倍ほど高い。(月報6907と比較)
 2.Culb-TC-A系:Culb-TC細胞系をSoft agarでcoloy formationをおこなわせ、出現したColonyを親株としてCulb-TC-A系ができあがった。しかし、この系はいまのところC.E.C.はCula系よりはるかに低く、Large colonyの出現は見られない。(今回までのところ)。結果は(表を呈示)表の如くであった。
 3.AH7974細胞系(JTC-16)とそのクローン系の増殖率:
 AH7974-TC細胞の各クローンを分析してきたいままでの結果は、C6系からはSmall colonyしかでてこないが、他のC1、C3系からはS、Lの系が出現することがわかった。しかしSからLの出現率とLからLの出現率に差があるとは思えなかった。そこでSとLとの間の増殖率をしらべてみた。結果は(図を呈示)、Lの出現は増殖率が高いためではなさそうである。

《梅田報告》
 1.前回の班会議(6907)でふれたが、N-OH-AAFをHeLa細胞に投与して増殖に及ぼす影響、更に6時間、24時間処理后control培地にもどした時の、増殖能のrecoverabilityについてふれたが、その図示は図示1、2の如くである(各図を呈示)。同じくL-5178Y細胞の増殖に及ぼす影響については図3の如くである。更に吉田肉腫細胞のin vitro系について調べた結果、図4の如くになった。
 以上の結果及びrat liver、lungのprimary culture、hamster embryonic cellのprimary cultureに投与した時、すべて10-4乗Mでlethal。10-4.5乗Mで細胞数の軽い減少があることから今迄調べた範囲では、N-OH-AAFはどの細胞に対しても同濃度で同じ様な細胞毒性効果を示している。Carcinogenic hydrocarbonsで細胞の種の違い、transformしたか否かの違いで毒性効果が異なることから考えると、興味深い結果と云える。
 2.培養細胞に発癌剤を投与してmalignant transformationを起さしめ得たとしても、transformした細胞が増殖する機会を与えられないと、我々は実験の成功を知り得ないことになる。前回の班会議(6907)で報告した様にDABを投与され、脂肪変性を起した肝実質細胞が、DABのない培地中でpleomorphismを示すが、autoradiographicalに之等細胞はH3-TdRを旺盛に摂り込んでおらず、増殖が盛んになったとは云えない。これは、Cytotoxicな発癌剤を投与され変性した細胞にとって試験管内は良い環境でないためで、逆に増殖に良い環境が与えられれば、transformした細胞が増殖してくることが考えられる。以上の観点から生后2日目のrat liver或はlungのprimary cultureを行い、10-4乗M N-OH-AAFを投与し、1日培養后control mediumに戻し更に3日培養してから細胞をはがし、同腹のrats(その時生后9日目)に85万個cells intracerebralに投与してみた。目下復元してから30日目であるが、肝、肺細胞投与例共に元気である。この種の実験も数回繰り返し試みてみたい。

《堀川報告》
 培養哺乳動物細胞のDNA障害と修復機構
 紫外線およびX線照射による培養動物細胞の遺伝子障害と、その修復機構を中心に化学発癌剤4-NQOおよび4-HAQO処理による遺伝子障害と修復能を比較検索するのが、この研究の目的で、金沢に来てからもこの研究は続行されている。紫外線とX線照射による障害修復機構は、その障害自体がそれぞれすでに異なるだけに修復機構も部分的に異なるようであるが、加えて化学発癌剤4-NQOや4-HAQOによる障害修復は、更にこうした放射線障害の修復機構では説明出来ない点がある。またX線、4-NQOともにin vitroの培養細胞を処理した際に、DNAのsingle strand breaks、double strand breaksをinduceする。しかるにchemicals 4-NQOや4-HAQO処理によって特異的に正常細胞のmalignant transformationが誘発される。一方X線照射の場合にはLeo Sachsのデータを除いてはこうした現象は認められていないのは何故であろうか。こう云う点も考慮しつつ現在UV、X線、chemicalsによる修復機構の解明を進めている。さらにもう一つの問題はDNAの切断と再結合でみているdamaged DNAのrepairが生物学的機構の面からみて真のrepairであるか、どうかということで、この問題を解決すべく実験系を組みかけている。
培養された骨髄細胞の移植によるマウス「骨髄死」の防護ならびにLeukemogenesisの試み C57BL/Jax6系のmouseから得たbone marrow cellsのin vitroでの培養を可能にして以来、NC系のmouseに切りかえてtitleに示すような実験を進めて来ている。金沢に来て以来も、mouseの繁殖は非常に良く仕事は順調に進んでいる。培養直前には、多種多様の細胞群を含んでいたbone marrow cellsが培養が進むにつれて一定の細胞種に選択され、しかもこうした細胞は700R前照射されたマウスに注入しても「骨髄死」を防護出来そうもないことがわかって来た。それどころか、こうした骨髄細胞のうち一年以上継代培養をしたものでは100万個細胞の腹腔内注入で発癌能をもつ、つまり癌化していることが、最近わかって来た。一体ガラス器内で培養されている骨髄細胞は何者なのか。そして骨髄細胞としての生物学的機能をもたせるにはどうすればいいのか。さらにこうした培養骨髄細胞の分化と発癌の調節の機構をときあかすにはどの様に実験を進めていけばよいかなどの問題が今後の課題として残されている。今月は月報原稿として結果をまとめるだけの時間がなかったので、我々が現在やっている実験の進行状況をかいつまんで報告した。
 
《安藤報告》
 4NQO処理L・P3細胞はRepair合成(conservative Replication)を行うか。(中間報告)
 月報No.6907にBU置換L・P3細胞は4NQO処理を受けても、無処理のコントロールと同程度のチミジンのDNA中へのとり込みが見られた事を報告した。今回はこのDNA合成が、いかなるtypeの合成であるのか、すなわち、全く新たなstrandの合成(Semi-conservative)なのか、あるいは古いstrandの中へのチミジンのとり込み(conservative)なのかを区別するために、DNAをBUdRで比重を大にしてから、4NQO処理、チミジンのとりこみを行わせ(5時間)、DNAを抽出し分析した。
 L・P3をBUdR 16.0μg/mlで培養し(48時間)、洗滌、chase後、4NQO 10-5乗M 30分処理、H3-チミジンで5時間処理し、DNAを抽出した。DNAは1xSSCの中でCsCl密度平衡遠心を70時間行い、分析した。
 (図を呈示)結果は図にあるようにBUなしのコントロールは軽い位置に、BUで置換されたDNAは重い位置に現れた。ラジオアクティヴィティは、4NQO処理した場合としない場合と殆ど同じであった。次にこの重いピークをプールしアルカリ性でCsCl密度勾配遠心を行えば、semiconservativeかconservativeかわかる筈であるが、これは目下進行中である。

《藤井報告》
 ラット抗Culb抗血清について:
 同種抗Culb抗血清の作製は難行中です。只今免疫中のJAR-2ラットは1匹となり、他の1匹は7月末、腫瘍死しました。現在生存中の1匹にもCulb細胞接種部位に皮下腫瘍をつくっており、大きさは1.5cm径で、根部を結紮して脱落を計っています。この生存中のラットの血清(Frat 11.B、050869)が、Culb-TC細胞に対して29.6%、RLT-2細胞に10.0%、RLC-10細胞に6.7%のcytotoxic activitiesを示し、RLC-10が変異してRLT-2となり、復元後再培養されたCulb-TCに変って行く過程で感受性の変化を示したことは前号に記したとおりです。
 最近Linbro製の平底型のmicroplateが手に入り、小量の培養細胞でcytotoxicity test、agglutination test等が出来るようになりましたので、今までに得ている、抗Culb血清のcytotoxicity testを行ってみました。
 microplateは10%アルコール、蒸留水の順で洗滌后、紫外線で滅菌(30分間)します。高岡先生にCulb-TCを植えて貰いましたところ、1日で細胞はよく壁面につき培養状態は良好のようとのことです。
 培養細胞の洗滌は、199液あるいは補体反応時に用いるK-GVB(KをふくむVeronal buffer)を2〜4滴を加え、plateを逆さにして軽く下方に1回、水を切るようにして液を捨てておこないます。この操作で健常細胞は壁よりはなれません。
 Cytotoxcity testの方法:
 monolayer cells washed.1x 2drops of “199"sol. 1dorop of sera,1/1. 2drops of guinea pig ser.1/3(for C') 37℃.45min. discard the reaction mixture
add 2drop of “199"sol.then 1drop of 0.15% trypan blue count within 3minutes.
 (成績表を呈示) この表に示されるように、JAR-2で現在までに得た血清は、cytotoxic activityも低く、変異抗原を追跡しうるものではないと云えます。
遺伝研の吉田先生からWKA系ラットの分与をうけることが出来ましたので、JAR-2の免疫と平行に、鋭意同種抗血清をつくるつもりです。

編集後記


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