【勝田班月報・6909】
《勝田報告》
A)RLC-10株について:
RLC-10細胞株(ラッテ肝)は4NQOを用いての培養内癌化実験に永く使われてきたが、最近その系列の一つが自然発癌したらしいので、その歴史の回顧と諸種の実験データを再検討してみることにする。
[起源]JAR-1系の純系ラッテF24生后11日の♀の肝を、1965-8-18に培養開始。その後、増殖率が高くなったので、発癌実験に頻用されてきた。
[系列](図を呈示)図のようにRLC-10株は、培養瓶ごとに区別して、次の3系列が作られてきた。後述するようにtakeされたのは(B)系列である。(A)と(C)については、目下検討中である。図に示すように(B)も(C)も(A)からの子わけである。
[復元接種試験]これが一番厄介な実験である。というのは、JAR-1系ラッテが子供をなかなか産まなくなってしまい、復元接種できるチャンスがきわめて少いからである。これまで4回、復元接種をおこなっている。その成績は次の通りで(C)については未だ検討がおこなわれていない。(A)は1968-7-8接種
0/2、1969-8-9接種は観察中。(B)は1969-3-1接種、0/2、1969-6-26に接種は観察中。
[染色体数モード]次に示すように各系列別に系統的にはしらべていないが、(B)は明らかに変異してきている。1968-10-4にAは42本。1969-3-5にBは40本と41本。
[細胞電気泳動像]山田班員にしらべて頂いているが、結果を略示すると次の通りである。1968-6-26
A:正常型。1969-2-7 B:中間型。4-23 B:中間型。4-23
C:少し悪性型。5-26 B:正常型。6-25 B:中間型。C:中間型。7-30
C:中間型。 型というのは、電気泳動値及びシアリダーゼ処理後の値の変化のタイプから判定。中間型は“なぎさ"変異の細胞に見られるタイプ。
B)ラッテの純系について:
JAR-1系は完全に純系であるが、産児数が少いので、この新館へ移ってから、JAR-1と雑系をかけ合わせ、第2系列の純系JAR-2を作りはじめた。外科の芦川博士に皮膚移植テストをおねがいし、次の成績を得た。JAR-2、F11(1969-6-6生)
1969-7-15植皮。
♀←→♀ 2/2。 ♂←→♂ 2/2。 ♂←→♀
2/4 takeしたと思われる(写真を呈示)。
《山田報告》
本研究連絡月報No.6906に「合成培地内培養条件でイノシトールを要求する株と、然らざる株がある」と云う現象を勝田先生が報告したが、今月はこのイノシトール要求の性質と、細胞錠面荷電との関係について細胞電気泳動法を用いて検索した。
用いた材料はなぎさ培養変異株RLH-4(要求株)と、RLH-5及びRLH-3(非要求株)で、それぞれのシアル酸依存荷電量と、カルシウム吸着性を分析した。シアリダーゼ処理は従来と同一条件であるが、カルシウム吸着性は泳動メヂウムに10mM濃度のCaCl2を添加し、カルシウムが表面にイオン結合することにより低下する細胞電気泳動度の多寡について検索した。(基礎実験によりこの条件でのカルシウムの大部分は細胞表面の燐酸基に結合するものと推定されて居る。)
(表を呈示)表に示すごとく、要求株RLH-4はシアル酸依存荷電量が多く、カルシウム吸着性が少い。非要求性RLH-5及びRLH-3は、これと対照的に、シアル酸依存荷電が極めて少く、カルシウム吸着性が多い。しかも両細胞とも、合成培地内培養条件では、それぞれのカルシウム吸着性はあまり差がない。(なおこの月報直前に行った実験では、イノシトールを要求しないRLT-1もかなりカルシウム吸着性があることを知った。)
細胞のイノシトール要求は、その増殖を中心とした細胞内代謝(栄養要求)に関係した性質かもしれないが、この成績から考へると、何か表面構造と関係するのかもしれない。特に細胞表面の燐酸基のかなりの部分がホスファチヂルイノシトールであること、また培養条件の細胞増殖が、その培養管壁との付着性と密接に関係があるから、このイノシトール要求の問題歯、或は細胞表面の問題と結びつく可能性があると考へたい。今後の検索を必要とする。
RLC-10とJTC-16(AH-7974TC)の細胞電気泳動の状態を映画にとろうと思い、種々試みましたが、失敗した。両細胞の比重が異るために、どうしても同一視野に両者を浮游させて、泳動を競走させる画面を作ることが困難であった。しかし更に工夫していつかは映画にするつもりです。
(図を写真を呈示)映画撮影のついでにRLC-10、JTC-16の泳動度を、写真記録式泳動装置にて測定した結果を表と写真に示します。RLC-10は従来の直接測定値より意外に早い平均泳動値を示しましたが、写真に示すごとく、特に大型の細胞が早い様に思われました。これに対しJTC-16は相変らず、その泳動度は早く相互のばらつきは大きい様です。しかもその細胞の型や大きさには全く無関係です。
なほRLT-1、-2、-3、-4、-5の細胞電気泳動度を再検してみました。前回測定してから、丁度1年を経過して居り、この間にcell
popultionの変化が生じて居るのでないかと思ひ測定したわけですが、その結果次回報告します。最も明らかなことは、RLT-1が明らかに悪性腫瘍型のパターンを示す様になったことです。
《佐藤報告》
☆培養細胞による培地内DAB消耗について、今度、今までのデータをまとめて次の結論を論文にして出す予定です。
[結論]
培地中にdimethylaminoazobenzene(DAB)を1μg/mlに添加して諸種の培養細胞を培養し、一定時間後、培地内のDABの消費を測定した。(夫々図表を呈示)
(1)ラッテ肝組織の初代回転培養において、1μg/mlのDABを培養開始と同時に培地に添加した場合には、4日間でその約80%が消失し、著明なDABの消費が観察された。又培養開始後16日目に培地にDABを添加した場合にも、同程度の消費がみられた。初代培養腎組織においても、肝組織と同様に4日間でDABを消費したが、その消費速度は肝組織よりやや遅かった。 (2)正常肝由来培養細胞、腹水肝癌、ナギサ変異株、肝以外の培養細胞系について、それらのDAB消費能を比較した。その結果、正常肝由来培養細胞は培地内のDABを著明に消費するのに比べ、DABによる腹水肝癌では培地内のDAB消費能が低かった。ラッテ肝由来のナギサ変異株では正常肝由来細胞と同程度の消費を示したが、しかし、ラッテ心由来細胞及びマウス・エールリッヒ腹水癌では消費能は低かった。
3)3'-Me-DABによる悪性化培養細胞株では腹水肝癌系培養細胞の培地内DAB消費能と同程度にDAB消費能は低かった。3'-Me-DABによる培養内悪性化過程にある培養株細胞と、その対照として用いられた培養内Tween20(3'-Me-DAB溶剤)長期添加培養株細胞では前者の方がDAB消費能が低くなっていた。培地内3'-Me-DAB添加による悪性化の過程では、培地内DAB消費能が漸減する傾向にあった。
《難波報告》
N-5 ラット皮下繊維芽細胞のクローン化
ラット繊維芽細胞のクローン化に成功したノデその方法について報告する。
細胞:生後1日目の雄ラットの皮下結合組織をピンセットで集め、その組織をトリプシナイズして細胞を得、それを培養に移した(初代)。
培地:20%BS+EagleMEM
クローニング:上記初代培養の継代1代目(培養6日目、8日目)のものを、クローニングに使用した。クローニングの方法は図に示した(図を呈示)。
説明:培地で細胞を100〜500コ/mlになるくらいに稀釋した細胞浮游液を、流パラを入れたシャーレ中に1滴ずつ落とし、顕微鏡で細胞をみながらsingle
cellを拾う。その拾った細胞を別のシャーレにまき、細胞がガラス面に附着する頃(だいたいまき込んで4時間前後で観察)にもう一度single
cellかどうかチェックして、状態の良いsingle
cellの生えているシャーレに培地を追加し培養を続けた。micropipettの細胞の出し入れは、図の左側のネジでesssistantの人が調節した。
結果:現在、17コのsingle cellを拾い、経時的に細胞をチェックして2コのクローンを得ている。増殖の悪いものは途中で捨てた。(増殖の悪いものは、sengle
cellから増えないもの、2〜3回程分裂してから以後増殖しないものがあった。)
現在2コのクローンの内、1コは継代可能なほど大きくなったので近日中に継代し、4NQOの発癌実験を開始する予定である。
N-6 ラット皮下繊維芽細胞のplating efficiency
月報(60-7.N-2)に報告したごとく、ラット繊維芽細胞はplating
efficiencyが高いことが判った。以後の実験成績を追加すると表のごとくなる(表を呈示)。この表から判ることは、ラットの繊維芽細胞は培養の若い時期に於いても十分高いPEが得られることが示されている。また、'69-7-5の班会議で安村先生から御指摘あったごとくまき込んだ細胞数と形成されるコロニー数との関係をみると(表を呈示)表のごとくなった。細胞は継代1代の培養8日目のものでsingle
cell rateは97%、培地は20%BS+EagleMEMを使用して2週間の培養をした。PEはだいたい30%で、かなり一定したPEが得られることが判った。
以上の実験から生後1日目のラットのFibroblastsの若い培養細胞では、PEが少なくとも30%はあるので、培養の若い時期の細胞でも十分クローニングされ得る可能性があることが判った。初代細胞のクローンでは(1)実際に1コのようにみえている細胞が2コぐらい堅く結合していることがある。(2)白血球、マクロファージ、組織球、mast
cellなど算え込む、などの危険性があるので、クローニングに使用する細胞は初代培養の細胞より少し継代したものを使用するほうが良いと思われる。現在、継代1代から5代目の細胞をクローニングに使用している。
《高木報告》
NQ-7のsoft agar内におけるColony forming
efficiencyについてその後のdataを報告します。(表を呈示)
前報(No.6908)の表に誤がありましたので訂正します。T-1からのcolonyで、Cl-3、Cl-9がlarge
colony、Cl-2、Cl-6がsmall colonyとなっておりますが、これは、large、small
colonyが逆になっておりました。本報が正しいので訂正いたします。なおT-1からのcolony
Cl-9は実験中止したためここに記載せず、T-3からのCl-1、Cl-4およびT-4からのCl-2は、その後に出たdataで追加します。また移植実験は皮下移植をやりかえましたため、まだdataが出揃っていません。
この表でみますと、1)T-1、T-3のseriesでlarge
colony由来の細胞がsmall colony由来の細胞よりCFEが高い様に思われます。T-4seriesでは、同じsmall
colony由来で可成りのCFEの違いがみられますが、このsmall
colonyは他のseriesのsmall、large colonyの中間位、すなわち径2mm位のcolonyです。
2)これまでの処、CFEの低いT-4からのCl-3に1/4に40日目に皮下に腫瘤を生じています。これは1万個cellsを脳内接種したものが生存し、皮下にもれて生じたものです。
《堀川報告》
培養哺乳動物細胞のDNA障害と修復機構(14)
4-NQOおよび4-HAQOでEhrlich細胞を短時間処理した場合DNAのsingle
strand breakが生じ、これらはその後の細胞のincubationによって再結合する(X線照射によるbreakの再結合ほどrapidではないが)ことについては、これまでの月報で報告してきた。
今回は4-NQOおよび4-HAQOで処理した場合のEhrlich細胞DNAのdouble
strand break動態について検討した結果を報告する。(夫々図を呈示)
第1図及び第2図は、共に種々の濃度の4-NQOまたは4-HAQOで30分間Ehrlich細胞を処理した直後のdouble
strand DNAのsedimentation profileの変化を示す。これらの図からわかるように処理濃度に依存してdouble
strand DNAは低分子化することがわかる。
一方、1x10-5乗M、6x10-6乗M 4-NQOまたは1x10-5乗M
4-HAQOでそれぞれ30分間処理した後、37℃でreincubateし、その後種々の時間に細胞を取り出してDNAのsedimentation
profileの変化を追った結果が第3、第4図および第5図である。これらの図からわかるように4-HAQO処理の場合は24時間のincubationでdouble
strand breakのそれ程顕著なrejoiningは認められないが、4-NQO処理後には24時間のincubationで僅かのrejoiningが起こっているようである。しかしこの程度のsedimentation
profileの変化が本物のrejoiningであるのか、それともDNAの単なる物理的な変化によるものであるのか、の決定は非常に重要な問題であるため、これら要因を用いては勿論のことX線照射によるdouble
strand breakの動態と比較して検討を進めている。
《安藤報告》
(1)H3-4NQOの核酸との結合解離のkinetics。
月報No.6906に報告したようにL・P3細胞の核酸各分劃への4NQOの結合は、薬剤の添加回数に依存し増加する。今回は4NQO、各10-5乗M、30分処理を3回連続的に行い、一たん結合したH3-4NQO代謝物がどのようなtime
courseでdissociateして行くかを調べた。L・P3細胞がTD40にフルシートとなった時点でH3-4NQO処理3回を行い、一部はそのままサンプリング、残りはPBSで洗った後DM120で培養を続ける。5時間目、24時間目にサンプリングをする。各サンプルから全核酸をphenol法で抽出し、メチル化アルブミンカラムによりtRNA、DNA、rRNA分劃に分ける(月報6812参照)。各分劃を濃縮し、OD260とradioactivityを測定した。
(表を呈示)結果は表の如くである。処理直後の各分劃の比活性は、以前に報告したようにrRNAが最高であった。放射性4NQO代謝物の各分劃からの解離は、やはりrRNA分劃が最高のようだった。次の問題は、(1)この両者の結合がこれ以後何日頃迄続いているか。(2)一たん結合してから解離した後の核酸と元の核酸とは同じか異るか。(3)DNAについてはこの間に鎖切断、再結合が起っているわけだが、RNAについてはそのような事が起っているか。等々である。
(2)細胞内DNAの鎖切断が起る間に細胞のコロニー形成能は如何に変化するか。
(表を呈示)フルシートの状態のL・P3細胞を4NQOの種々の濃度で30分処理をする。一部は直ちに洗滌後プレートする。残りは再びDM120培地中で回復培養24時間を行う。platingはEagleMEM+CS20%中で行った。結果は表の通りである。今回の結果は、PEが対照で4.4%でやや低い。いつもは約10%は出る。4NQO処理後の結果を見ると、薬剤濃度が高くなるにつれてPEは低下し、10-5乗Mではプレート当り3000個まいた分は0、popultion
dependencyがあるために15,000個まいた分は1.25%と出ている。一方24時間の回復培養後のコロニー形成能は各濃度とも、殆どコントロールの値に復していた。この表のコントロールのPE4.4%を100%とした時の4NQO各濃度のPEを計算し、プロットした図を呈示する。なおこの実験で注意しなければならない事は、4NQO処理直後にプレートした場合、プレート上では単個細胞であるとはいえ、回復培養をしているわけで、フルシートで24時間の回復培養をした後にプレートした場合に比して本質的な差はないのかもしれない。
いずれにしてもこの結果が意味する所は、細胞DNAに鎖切断を起すとコロニー形成能が低下し、DNAの再結合を起すと形成能も回復するという事である。
《安村報告》
☆Soft Agar法(つづき)
1.RLT-1A細胞とRLT-2A細胞: ようやくこれらの細胞系constantにSoft
agarでcolonyをつくるようになりました。しかし(表を呈示)表のごとくにそれぞれの復元再培養系であるCula-TC、Culb-TC細胞系のこれまでの結果とくらべると1order低いC.F.E.です。(RLT-1A、RLT-2AなどとAがつけてあるのはAgarを通してひろったということです。)
2.Cula-TC-Q1系とCula-TC-Q2系のS-L dissociation:
Q1系は現在S系、L系ともS→S→Sと3回、L→L→Lと3回クローニングされてきた。この段階でのS-L
dissociationがしらべられた。
Q2系はS系は2回、L系も2回クローニングされ、SS、LLとなっている。表はそれらの実験結果を示している。今回はうずれもC.F.E.がかんばしくなかった。またdissociationも、はっきりみとめられなかった。(表を呈示)
3.マウス胎児細胞系:さきにこの胎児細胞系を対照実験として10万個/pltのorderで、Soft
agarではcolony形成がみとめられなかった。それは7代めのものであった。今回は12代めのもので100万個/pltのorderでcolony形成があった。このものがmalignantであるか、どうかは今後の実験に示される。
《梅田報告》
N-OH-AAFと共に4HAQOを生后3日目のratの肝、肺、腎の培養細胞に、又hamsterのembryoniccells(3rd
gen.)に投与してその障害を生のまま観察し、更に続けて培養して、malignanttransformationを起す過程を追求している。
1)N-OH-AAF投与后の変化:rat肝培養に投与した場合、10-4.0乗Mで肝実質細胞は小さく萎縮して脂肪滴変性を示し、内皮系細胞、中間系細胞はかなり残っている。10-4.5乗M投与ではややcontrolより増殖は悪いが、肝実質細胞島も比較的きれいい見える。肺培養、腎培養に投与した場合、10-4.0乗Mで完全にlethalに働き、10-4.5乗Mではきれいでcontrolと差がない。
Hamster cellsに投与した場合、10-4.0乗Mで殆んどの細胞が障害をうけ、spindle-shapedcellsが少数残っているのみである。10-4.5乗M投与では相当数の細胞数が残っているが、旺盛に増生するとは思われない。
2)4HAQO投与后の変化:rat肝培養では10-5.0乗M投与で肝実質細胞より、その肝実質細胞島の間を埋めている内皮系細胞、中間系細胞の方が障害を強く受けている。全体として細胞は比較的強い増殖阻害をうけている。肺培養細胞にはこの濃度で弱い変化しか惹起しない。腎培養細胞には肝培養細胞と同じ程度の比較的強い増殖阻害を惹起している。
10-5.5乗M投与で上の変化は軽く残る程度である。
Hamster cellsに投与した場合、10-5.0乗Mで比較的強い増殖阻害、10-5.5乗Mで軽い障害を残す程度の変化を来している。
3)N-OH-AAF投与后長期培養例:rat肝、肺、腎については今迄に何回も繰り返し実験し、一部は報告してきた。今回もN-OH-AAF
1〜2回投与后、普通の培地で培養を続けた。肝培養では10-4.0乗M1回投与后、肝実質細胞島の萎縮が強く、又間葉系細胞は残っていても旺盛な増生を示さない。肝実質細胞部(?)より、一様な大きさの細胞質の広がった上皮性の細胞がゆっくりと生えてくる。この種の細胞はcontrolにも見られるので、特異的とは云えない。肝、腎培養では細胞の増生は認められない。
Hamster embryonic cellに、10-4.0乗M1回投与后普通の培地で培地交新を続けて培養を続けた場合、10日目頃には細胞は全部変性して残っていた細胞もはがれて了った。
10-4.5乗M2回(計4日間)投与后、培養を普通の培地で続けたものはやはり細胞が徐々にやられてはがれて行ったが、培養10日目頃にdenseなcolony形成部を認めた。顕微鏡観察によるとT-12
vessel(2ml培養)で4〜6ケ(2るのvesselで)あるcolonyのうちfibroblastic
cellから成っているものは、2ケしかなくあとはepithelialであった。fibroblastic
cellの部の写真を示すが、明らかなcriss-cross、piling
upが認められた。この培養を更に10日間2〜3日毎の培地交新で培養を続けた所、pHの下りが激しく、丁度3日間培地交新をしなかったN-OH-AAF投与后21日目に全ての細胞が顆粒変性して了った。colonyがたった数ケしかないにも拘らず、すごく増生の激しい細胞であった様で、残念な事をしたが、直ちに追試中である。
4)4HAQO投与后長期培養例:rat肝細胞に10-5.0乗M
2回投与后、control mediumで培養を続けた例で、4HAQO投与后6日目には、肝実質細胞部に肝細胞索を思わせる細胞群が集まって増生しているのが見られた。この部は更に培養日数を経て、やや縮小してきたが、30日后まだ保たれている。更に4HAQO
10-5.0乗M 2回投与したこの培養例には肝実質細胞部より、3)で述べた細胞よりやや大型で多角形のepithelialに並んだ細胞の増生が見られた。之等の培養は目下大事に培養を継続し、更に、追っかけ別の培養で4HAQO投与して追試験を行っている。