08 特定の細胞株について
[特定の細胞株について]
1.Caco-2細胞の実験技術について
2.HUV-EC-Cについて
3.LLC-PK1の培地について
4.AH272-Tcの培養について
5.LLC-PK1の継代数について
6.浮遊系細胞をsingle cellにする方法について
7.B-16マウスmelanoma細胞
8.JCRB0253 MKN28細胞について
9.MKN細胞のp53遺伝子について
10.P388について教えてください
11.HL-60細胞について
12.血管内皮細胞
13.MCF7細胞について
14.K562細胞について
15.RERF-LC-FMの増殖パタ-ンについて
16.作成時培養記録
17.KG-1-Cの培養
18.MEB5について
19.RBL-2H3の培養について
20.B16melanoma細胞の培地について


1.Caco-2細胞の実験技術について
どうしても、細胞の接着がおこりません。また、かすかにコンタミがどうしても
確認されます。実験を始めて日が浅いので、細胞培養に用いる培地組成やディッ
シュのメーカーや基本的な操作やコンタミの原因などを教えてもらえませんか?

⇒ もう少し詳しい情報をメイルでお知らせ下さい。
アドレスはnamu@md.okayama-u.ac.jpです。
  1. コンタミは何で確認されたのですか?
  2. 細胞は生きていますか?
  3. 培養のトレーニングはどの程度受けましたか? などなど。

2.HUV-EC-Cについて
理化学研究所名取研の奥山由紀子と申します。お世話になります。
貴バンクからHUV-EC-Cを分譲して頂きました、有り難うございました。
この細胞のdoubling timeがお分かりになれば、ぜひお教え頂きたいのですが。
よろしくお願い致します。

⇒ ヒューマンサイエンス研究資源バンク・担当の佐藤と申します。ご質問ありが
  とうございます。
  IFO50271 HUV-EC-Cは、最大倍加速度の計算はしておりませんが、バンク
  での増殖チェックでの継代スケジュールが1:4スプリット/週でしたので、
  このケースで計算しますと倍加時間は3.5日となります。最適な条件ではもう
  少し速くなるかもしれません。しかし、本細胞においては、低細胞密度が増殖
  不良の原因となりますので、過度の希釈は絶対避けてください(せいぜい1:6
  スプリットまでだと思います)。
  ヒューマンサイエンス研究資源バンクから現在分譲しているロットは、解凍後
  10PDL以上の増殖を確認しておりますが、有限増殖株ですので、いずれかの時
  点で増殖は停止します。早い時期に凍結ストックを作製されることをお奨めい
  たします。

3.LLC-PK1の培地について
先日LLC-PK1について質問致しました、浅井と申します。丁寧な御返信ありが
とうございました。
先日頂きましたご回答の中で1点気になることがあるので質問させて頂きました。
カタログの指定培地は、Medium 199(3%FCS)になっていますが、この細胞を用
いている最近の文献が殆どDMEM(10%FCS)を使っているようです。
実際、比較してみないと分からないとは思いますが、このことに関して何か御知
見をお持ちでしたらお教え願えますか。
また、M199には緩衝化剤の違いで何種類かありますが、どれを用いたらよろし
いでしょうか。よろしくお願い致します。

⇒ ヒューマンサイエンス研究資源バンクの佐藤です。ご質問ありがとうござい
  ます。
  本株は樹立の際にはMedium 199が使用されており、バンクでは細胞が寄託
  された時点の培地組成を守って培養しております。残念ながら、10% FCS添
  加DMEMの使用による性状の変化についてはデータを持っておりません。
  バンクとしては、指定培地以外の培地での増殖の保証はできないのですが、
  多くの文献で使用実績があるようでしたらおそらく増殖そのものは大丈夫と
  思います。しかし、順化の問題もございますので、可能でしたら培養開始時
  は指定培地をご使用いただき、その上で別処方の培地の御検討を行っていた
  だきたいと存じます。
  CO2インキュベーターをご使用の場合はEarle処方のものを用いてください。
  GIBCOの品番では、11150(液体)あるいは31100(粉末)が相当します。
  日水製薬の場合は前回記載しましたように品番05909(粉末)です。


4.AH272-Tcの培養について
東北大学の前田と申します。初めて相談させていただきます。
AH272-Tcの細胞をVIVOとVITROと両方で増やしていこうと思うのですが細
胞をバンクから供給いただき、まずVITROで増やしてからVIVO…と思い培養
してみたですが、次の日には全滅してしまいます。
同じように培養したAH109の方は順調に増えているので手技の問題とも考えら
にくいのですが、なぜ272の方だけ全滅してしまうのか解決策ないし問題点をご
教示ください。ちなみに培地は、始めにDMEMを用いて失敗したので二回目は
RPMI培地にしてみましたが駄目でした。
またもう一つ質問させていただいてよろしいでしょうか?
Donryuラットを用いてブーストし、腹水が溜まり次第皮下移植をしようと思う
のですが腹水が溜まりません。
7週令(200?230g)に10の6乗個と思いましたが、細胞の手配が遅れて8週
に2x10の6乗個i.p.しましたが10日経過後も変化がありません。やはり歳をと
りすぎたでしょうか?今週7週令ラットがきますが、このときに移植する量とし
てはどのくらいが適当でしょうか?
愚鈍な質問で申し訳ありません。どうぞよろしくお願いします。

 ⇒ ご質問のあった2細胞は、東北大学がん細胞保存施設
   http://www.idac.tohoku.ac.jp/dep/ccr/
   の細胞と思われます。HPのCell line Catalogに
   ・培養条件
   ・細胞の顕微鏡像
   等が公開されているので参考にされたら宜しいかと存じます。
   生憎ご質問のあった細胞に関しては培養経験がないので良く判りませんが、
   一般的に解凍時のViabilityが低い場合は、培養容器を小さくして(細胞濃度
   密にして)培養したり、当初の血清濃度を20%程度に上げる等の操作をす
   ると培養が上手く行く場合があります。暫く細胞が増えるまで時間が掛かり
   ますので、経過を観察しながら増殖し始めるまで待つようかと思います。
   ご質問のあった2細胞について詳しいことは分譲された東北大学がん細胞保
   存施設の方に直接相談された方が良く判るかもしれませんね。

5.LLC-PK1の継代数について
お世話になっております。千葉大学薬学部 浅井と申します。
本日、JCRB0060 LLC-PK1 lot080996を受領致しましたが、Data sheetに継代
数の記載がないため問い合わせたところ、分からないとの返答を頂きました。
しかし、この細胞を用いている殆どの文献で継代数の記載があるため、どうして
も知りたいのですが、大体の数でもわかりませんでしょうか。また、継代数の分
かるlotが有りましたら、そちらをお譲り頂きたいのですが。
よろしくお願い致します。

⇒ ヒューマンサイエンス研究資源バンク・佐藤と申します。ご質問ありがとう
  ございます。
  本株の履歴は ATCC --> Flow Laboratorys Inc. --> JCRBです。JCRBが
  入手した際に継代数が不明であったため、本株全てのロットの継代数は不明
  です。ただし、P7*のように、後ろに星印がついているものは、バンクでの
  継代数を示します。お送りしたロットについてはバンクでの継代数の記録も
  ありません。
  履歴から考えますと、ATCCのLLC-PK1細胞が195継代で凍結されたとの
  記載があること、その後のATCCでやFlowでの培養、JCRBでの種ストッ
  クと分譲用ストックの作製を考えますと、200継代以下であることはまず考
  えられません。おそらくは210-220継代の間程度ではないかと思います。し
  かし保証はできません。たいへん申し訳ございませんでした。

⇒ JCRB細胞バンクにおります榑松と申します。該当ロットの記録を改めまし
  た。こちらの記録ではP6*(バンクにきてからの継代数です)となっており
  ました。HSバンクに記録が無い原因は前任者の時代のため不明ですが、お
  手数掛けて申し訳ありませんでした。お詫びいたします。


6.浮遊系細胞をsingle cellにする方法について
広島大学医学部 山崎と申します。脳腫瘍の研究をしているものです。
このたび、AtT-20というACTH産生下垂体腺腫の細胞を購入させて頂きました。
これまでは付着系細胞を扱っていたため、浮遊系細胞であるAtT-20の扱いがわ
からないので質問させて下さい。細胞数をカウントしたいのですが、浮遊してい
るAtT-20細胞には、single cellの状態のものと細胞塊となったものの2種類が
存在します。この細胞塊をsingle cell の状態にする方法を教えて下さい。よろし
くお願いいたします。

⇒ ヒューマンサイエンス研究資源バンク・佐藤と申します。ご質問ありがとう
  ございます。本細胞を実際に扱った者ではないのですが、単にsingle cellに
  することが目的でしたら、細胞をいったん遠心により回収し、0.1-0.25%
  trypsin and 0.02% EDTA in Ca, Mg-free PBSにサスペンドして、室温また
  は37Cで保持し、血清を含んだ培地などでトリプシンの作用を止めてからピ
  ペッティング(止める前でも構いませんが、細胞を傷めて浮遊液がどろどろ
  になる場合があります)し、単細胞としてカウントすることができると思い
  ます。トリプシン処理の条件は細胞によってまちまちです。しかし、15分を
  越えるトリプシン処理はしないようにしてください。細胞によってはトリプ
  シンでは全く解離しない細胞塊を形成するものもあり、また、ムコ多糖など
  に包まれているためにトリプシンが効きにくい場合もあります。
  なお、本細胞の培養においては、細胞塊として継代することが推奨されてお
  ります。
  細胞を維持・増殖させることを目的とする場合は、無理に単細胞まで解離し
  ない方がよいと思います。また、ホルモン産生などが、細胞塊を形成してい
  る条件と単細胞に解離した条件の場合に変わってしまうことも考えられます。
  これはバンクで検討したものではありませんが、直観的にそう思います。

7.B-16マウスmelanoma細胞
 大変お忙しいところ申し訳ありません。
melanoma細胞のメラニン合成が思うようにうまくいきません。
よろしければ、アドバイスをください。
倍地中のグルコース濃度によって、pHを調節でき、グルコースをガラクトース
+ピルビン酸に置き換え、pHを7.2?7.5に維持し、ビタミンD、アンモニアあ
るいはモネンシンを培地に添加するなどでメラニン合成が促進できるとありまし
た。その際の注意点や方法、アドバイスなどがありましたら、よろしくお願いい
たします。

⇒ ヒューマンサイエンス研究資源バンク・担当の佐藤と申します。ご質問あり
  がとうございます。実際にこの方法を行ったことがございませんので、詳細
  はお答えすることができません。組織培養学会の経験者のご意見をお待ちし
  ます。上記の方法は「動物細胞培養マニュアル」(共立出版)で入手された方
  法だと存じますが、まず、これに記載されている原著論文を参考にしていた
  だきたいと思います。
  B16 melanoma細胞にはいくつかの亜株があり、メラニン産生能や性質が微
  妙に違っていると思われます。上記「動物細胞培養マニュアル」に記載され
  ているB16 melanomaは、B16-C2Mという亜株ですので、もし別の株を用
  いている場合、実験が再現されない可能性もあります。正確に追試を考える
  場合は、B16-C2M株をご使用になるべきです。この株は東北大学加齢医学
  研究所医用細胞資源センターで入手できます。ホームページは
  http://www.idac.tohoku.ac.jp/dep/ccr/
  で、細胞の登録番号はTKG 0346です。
  また、B16 melanoma は継代するにしたがってメラニン産生能が低下する
  ことが多いとされております。このため、クローニングにより、メラニン産
  生能が高いクローンを選択するのもひとつの方法と思います。
  情報の入手先は明かせませんが、培地をDMEMにしたらメラニン産生が良
  くなったという経験も寄せられています。再現性があるかどうかは不明です。

8.JCRB0253 MKN28細胞について
お忙しいところ失礼します。
私は大学でヒト胃ガンMKN28細胞を用いて研究をしております。
先日、サイトを拝見していたところ、MKN28細胞について、JCRB保存ロット
はMKN74と同一であることが判明, (オリジ ナルのMKN28とは異なる)という
様に書いてありましたので、質問させていただきます。
私は今年の5月中旬にHS資源バンクからMKN28細胞を分譲購入しました。(受
付番号C-2002-0503)私が分譲購入したMKN28は、MKN74と同じロットの
ものなのでしょうか?(私が培養している細胞は厳密に言えばMKN74というこ
とですか?)また、MKN74と同一であるロットはいつからのものなのでしょう
か?(私の研究室では先輩方も同様にJCRBのMKN28細胞を用いていましたの
で。)また、MKN74について特にMKN28と異なる点があれば教えてください。
長くなってしまいましたが、回答よろしくお願いいたします。

⇒ たいへん申し訳ございません。JCRB0253で登録されている MKN28が
  JCRB0255 MKN74と同一であることが確認されたのは約2年ほど前です。
  その後、JCRBで寄託時のロットの調査などを行い、最終的にJCRホームペ
  ージに記載されたのが約1年前です。利用者の皆様には多大なご迷惑をおか
  けいたしましたことをお詫び申し上げます。
  JCRBの調査では、JCRB0253として寄託されたMKN28そのものが、当初
  より、MKN74であったとの結論です。JCRB0253で登録されているMKN28
  は女性由来とされているにも関わらず、Y染色体が確認され、また、MKN74
  (これは男性由来です)とDNAプロファイルが一致するからです。
  ところが、樹立当時はMKN28は間違いなく女性の核型を示していたことが
  当時の研究をおこなっていた研究者によって確認されております。したがっ
  て、MKN28という細胞株は実際に存在するはずなのですがJCRBに寄託さ
  れたMKN28はMKN74のコンタミであったということになります。
  たいへん申し訳ないことですが、JCRB0253の登録番号で分譲された MKN28
  はMKN74と同一です。本当のMKN28がどこにあるのかはJCRBでは確認
  がとれておりません。

9.MKN細胞のp53遺伝子について
過去にMKN28細胞の事で質問させて頂いた岩本と申します。今回はMKN74細
胞のp53遺伝子について質問します。
私が文献を読んだところ、MKN28細胞は突然変異型のp53遺伝子を持つという
記述がありました。MKN74細胞は突然変異型、野生型どちらの遺伝子型である
のかを教えてください。
また、野生型・突然変異型の違いにより、実験の再現性(細胞増殖抑制の試験)
というものは異なってくるのでしょうか?よろしくお願いいたします。

⇒ 細胞バンクに登録されている主なヒトがん細胞株のp53遺伝子発現状況は
  JCRB細胞バンクホームページ内の
  http://cellbank.nihs.go.jp/cellinfo/p53stat.htm
  に一覧と典拠文献(Mol. Carcinogenesis 19, 243-253 (1997))がありますの
  でご参照ください。トップページからは左側のフレームにリンクがあります。
  この文献によりますと、p53は転写因子として働き、いくつかの遺伝子の発
  現を調節しているほか、細胞周期をG1/Sに止める作用、apoptosisを誘起
  する作用があります。調査されたp53の変異の殆ど全てが、この転写調節活
  性がなくなってしまう変異であるらしく、例外として、変異が二つ入ってい
  るにもかかわらず、野生型の活性をもつ細胞が調べられた細胞の中にひとつ
  あるだけです。
  この意味では、p53変異を持つがん細胞では変異の種類に関わらずp53が働
  かなくなるという点では違いがありません。(もちろんp53以外の細胞の特
  性があります)しかし、私はp53の専門家ではありませんので、上記文献か
  ら孫引きするなどして調査してください。また、野生型を持つ細胞とは増殖
  特性が変わってくることが予想されます。
  実験の結果は違うと覚悟すべきです。
  少なくとも国内バンクに登録されているMKN28はMKN74の汚染であるこ
  とは先日申し上げたとおりです。表で見ますとJCRB0253 MKN28と
  JCRB0255 MKN74のp53はいずれも突然変異型で、共通の変異があるほか、
  MKN74ではもう一つ別の変異が見つかっているようです。この表の文献25
  はPNAS 92, 4407-4411(1995)です。
  上記の結果を考えますと、MKN28はMKN74に別のp53変異が起こる前に
  コンタミした株であり、JCRBに登録登録されたMKN74は、樹立当初の
  MKN74に更にp53に変異が入った株ということになります。

⇒ それでは、コンタミしたMKN28株と、JCRBに登録されたMKN74株のp53
  遺伝子は同じ物なのですか?(私も、p53遺伝子に関することは詳しくあり
  ません)
  登録されているMKN74細胞株とコンタミしたMKN28細胞株は厳密に言え
  ば、同じなのですか?p53遺伝子から見れば、違うものなのですか?

⇒ Mol. Carcinogenesis 19, 243-253 (1997)によりますと、p53変異は次のよ
  うに記載されています。私はこの文献の実験を行った当事者ではありません
  ので、詳細はご容赦ください。
  JCRB0253 MKN28:I251L (251番目アミノ酸のイソロイシンがロイシン
  に変化)
  JCRB0255 MKN74:I251L, E271A (271番目がグルタミン酸がアラニンに
  変化)
  ただし、MKN28については、文献PNAS 92, 4407-4411(1995)が引用され
  ておりもしかしたらPNAS情報を単に転記している可能性もあります。
  E271AがPNASの文献では見落とされていたのかもしれませんし、
  JCRB0253 MKN28には本当にE271Aが見られないのかもしれません。Mol
  Carcinogenesisの内容からは両者ともシーケンシングしているように思うの
  ですが、ほんとうにそうかと言われると、私にはわからないです。

  >登録されているMKN74細胞株とコンタミしたMKN28細胞株は厳密に言
  >えば、同じなのですか?p53遺伝子から見れば、違うものなのですか?

 ⇒上記の理由で、p53遺伝子が異なっているかどうかは、実は私には判断でき
  ません。
  JCRB0253 MKN28が MKN74の亜株であるということは明らかですが、p53
  については共通の変異がみとめられるものの、その他の部分が全く同じかど
  うかはわかりません。
  両細胞株はバンクに入る前にかなり長期間培養されていたはずで、その間に
  違いが生じる可能性は否定できません。非常に歯切れの悪い回答となってし
  まうのですがJCRBや理研に寄託されたMKN28とMKN74は同一細胞には
  由来するものの、株としての違いがある可能性はあります。申し訳ないので
  すがその違いについてはバンクでは把握できていません。
  先生はおそらく、MKN28で出ているデータをMKN74で再現しようとなさ
  れているのだと思います。おそらくその方がベターだと思いますし、結果も
  ほぼ再現できるのではないかと予想します(実際にやってみないとわかりま
  せんが)。細胞の正統性などの問題もクリアできます。

10.P388について教えてください
JCRBで保有・分譲されているP388(JCRB0017),P388-D1(JCRB0016)の違いに
ついて教えて頂きたくお願いいたします。特に培養液の違い(2-MEの有無)の
理由について教えて頂けますとありがたく思います。

⇒ オリジナルのP388は当初はDBA2マウスへの継代移植によって維持された
  きた株ですが、P388D1は、オリジナルのP388をin vitroで5ヶ月培養し
  て得られた亜株です。JCRB0017で登録されているP388も現在は培養で維
  持されており、その意味では、厳密な違いはJCRBでは把握できておりませ
  ん。
  2-mercaptoethanolはシステインの細胞への取り込みを促進する目的で入れ
  ていると思われます。とくにハイブリドーマの培養でよく行われる方法です。
  JCRBでは、寄託時に寄託者から指示された培地組成に従って記載を行って
  いるのですが、P388とP388D1でなぜ培地組成に2-MEの有無があるかは
  判断できません。しかし、P388D1がより「培養化された」株であるという
  面で、2-MEの必要性が低いのかもしれません。

⇒ 早速のご回答ありがとうございました。度々の質問で申し訳ありませんが、

  >しかし、P388D1がより「培養化された」株であるという面で、2-MEの必
  >要性が低いのかもしれません。

  ということはP388は継代が進めば2-MEの必要性が低くなる可能性もある
  かもしれないですね。
  実は私の所で、とある所より入手したP388を当初の指示どおりに2-ME含
  有培地で維持継代しているのですが、2-ME不含培地でも変わりなく生育す
  ることが判明したため、購入を考えています。
  寄託者の指示どおりの培地を使用されているとのことですので、検討はされ
  ていないかと思いますが、P388(JCRB0017)について2-ME不含培地での増
  殖の可否が分かりましたら、教えて頂けると幸いです。

⇒ バンクでは実際に2-MEを除いて培養したことがありませんのでどうなるか
  はわかりません。形式的なご回答で申し訳ございませんが、培養開始時には
  指定培地をご利用いただき、2-MEのオミットにかんしては、培養器を分け
  た上で、利用者の責任でおこなってください。おそらく大丈夫だと思います
  が。(絶対大丈夫と言えないのは、バンクの立場ですのでご了解ください)

11.HL-60細胞について
大変お忙しいところ申し訳ありません。
先日、貴社の細胞バンクよりHL?60細胞を購入し、培養を開始しているので
すが細胞がなかなか増えないように感じられます。
以前はU?937細胞を用いていたのですが、HL?60細胞は初めてなので、
この2つの細胞の違い、HL?60細胞が2倍になる培養時間、またHL?60
細胞の特徴などがあればアドバイスいただけないでしょうか?
回答の方、よろしくお願いします。

⇒ おそらくJCRB0085 HL-60をご利用になった方と存じます。(違っていたら
  申し訳ございません)ヒト血球系の細胞株は解凍からの立ち上がりが非常に
  悪い場合があります。HL-60株ではこれがかなり顕著です。これは、増殖サ
  イクルに入るためにautcrineな増殖因子を必要としているためだと思われま
  す。U937に比べると、培養難易度はかなり高いですが、増殖を開始してし
  まえば、それほど培養は難しくありません。
  解凍からの立ち上がりが非常に悪い場合の対策としては、
  1.増殖を開始させる因子として、血清が代替的な役割をはたします。従っ
    て、血清濃度を20%程度に上げて培養します。
  2.上記の理由で、細胞密度を上げてやりますと、細胞間で増殖因子の働き
    がおこりやすくなります。これを実現するために、当方が推奨する方法
    は、15mlのディスポ遠心管に5ml程度の細胞浮遊液を入れフタを少し
    ゆるめてガス交換ができるようにし、37℃のインキュベーターで立て
    て培養することです。
  3.本細胞の培地にはRPMI1640が基礎培地として指定されていますが、こ
    の培地はpHが非常に高くなりやすいです。予めpHを低めに設定し、(も
    し作成済みなら、少量の塩酸を入れても構いません。本当は良くないで
    すが、実践的に問題ありません。なお細胞浮遊液に直接入れるのは避け
    てください)、インキュベーター中でオレンジ色よりやや濃い赤くらいに
    なるようにしてください。高pHは特にHL-60の場合よくありません。
  4.この状態で、培地交換をせずに、1週間維持していただき、増殖が確認
    されませんでしたらバンクにご連絡ください。再分譲に応じます。
  5.増殖が確認されましたら、適宜継代してください。対数増殖期には血清
    濃度を10%に落としても問題ありません。なお、継代時には、古い培地
    に対して希釈するようにする方が良いです。培地全交換でもおそらく大
    丈夫ですが、この場合、遠心速度を1000rpm程度にしてください。
    1200rpmを超える遠心速度は不可です。
  6.HSバンクで最近作製したHL-60のロットでは、倍加速度は38時間(2
    日で2.4倍)でした。この数値は、培養条件によって変動し得るもの
    ですので、あくまで参考としてお考えください。

⇒ ご回答ありがとうございました。今回、私が購入した細胞はJCRB016
  3で、ホームページ上では説明していただいた細胞の亜株だと書かれていた
  のですが、この培養方法でもよろしいのでしょうか?
  お忙しいところ何度も申し訳ありません。

⇒ JCRB0163 HL60(S)は、JCRBホームページ上のカタログデータでは、5% FC
  を使用するよう記載しておりますが、これは寄託者の情報にもとづくもので
  す。しかし、JCRBでの分譲用ロット作製時には、10-20% FCSに変更にな
  っております。
  対数増殖期にはおそらく5%FCSでも大丈夫だと思われますが、増殖が悪い
  時は、20%血清としてください。また、対処の方法はJCRB0085 HL60と同
  じでよいと思います。

12.血管内皮細胞
お忙しい所,申し訳ありませんが,血管内皮細胞についてお教え下さい。
私どもの実験室にて,HUVECの培養を行いましたが,growthが悪く,400μg
以上のRNAを抽出するのには,とても事足りない状態だった経験があるのです
が,このcell以外に,出来ればcell line化されたものがあれば,お教え下さい。
もしくは,growthのいい,培養に手こずらないような,endtherial-like cellが
あればお教え下さい。なにとぞ,宜しくお願いいたします。

⇒ ご研究に沿うものかどうかはわかりませんが、ヒトangiosarcoma由来の血
  管内皮様細胞株として、ISO-HASという細胞株があります。原著論文では、
  この細胞の培養には他の細胞株の培養上澄を加える必要があるとされていた
  のですが、現在はDMEM+10%FCSでも維持できるようです。本株はがん由
  来株であり、老化の心配はありません。
  本細胞は現在、東北大学加齢医学研究所・医用細胞資源センター(下記)に
  登録されております。登録番号はTKG 0593です。
  http://www.idac.tohoku.ac.jp/dep/ccr/
  細胞株の登録内容は下記です。
http://www.idac.tohoku.ac.jp/dep/ccr/TKGdata/TKGvol05/TKG0593.html
  一時、私も培養を担当したことがありますが、培養は比較的容易であり、ヒ
  ト初代血管内皮細胞よりは増殖性もよいと思います。また、私どもの検討で
  もCD31はすべての細胞に発現していました。他の細胞株については申し訳
  ありませんが知識がありません。マウス由来でしたらほかにも血管内皮様細
  胞株はあります。

13.MCF7細胞について
一般的に使われているらしいMCF7細胞ですが、保有しているところのカタログ
によってはC型ウイルスに感染している可能性ありと書かれていました。これは
この細胞に一般的なことなのでしょうか?それとも保有しているところによって
違うのでしょうか?初歩的な質問ですみません。

⇒ ECACCのカタログには確かにCells may carry B or C type retrovirus ・・・
  と記載(検査したとは書いてないようです)とありますが、DSMZのカタロ
  グには ELISA: reverse transcriptase negative; PCR: EBV-, HBV-,
  HCV-, HHV-8-, HIV-,HTLV-I/II-と書かれています。
  またATCCは特に記載がありません。
  保有している場所でウイルスを保有(勿論あとから感染させた場合は別です
  が)が異なるとは考え難いと思います。
  ECACCは検査はせずに可能性を指摘し、取り扱いの注意を喚起していると
  考えてよいのではないでしょうか。


RBL-2H3について
以前、研究資源バンク様よりRBL-2H3細胞を譲渡いただいた春名健一と申しま
す。何度か凍結保存・解凍を繰り返しているのですが、解凍翌日の生存率がいつ
も著しく低く困惑しています。解凍直後の生存率は95%以上なのですが、培養開
始翌日には本来接着状態で増殖するはずの細胞のが90%以上が浮遊状態のままで、
接着しその後増殖するのは10%未満に過ぎません。
お送り頂いた凍結アンプルを最初に解凍した時(納品後直ちに解凍)からこの状
態が続いています。しかし、生き残った細胞の生育は順調で、形態的にも正常で、
ヒスタミン遊離も文献に近いパターンです。以降の継代にも問題は無いです。
解凍方法は通常の方法(37℃湯浴で解凍後、培地で洗浄)で行っております。ま
た増殖培地は15%FBS添加DMEMを用いております。
何かアドバイス等ありましたら書き込みお願い申し上げます。

⇒ 細胞に添付しているデータシートに記載されている細胞生存率は、当方でも
  解凍直後のトリパンブルー色素排除試験によるものです。この数値は、細胞
  膜に「穴」がないかどうか調べるもので、細胞の生存と相関があります。
  しかし、その数値=実際の細胞の生存・増殖の数値であるわけではないこと
  はどうかご理解ください。
  細胞によってはトリパンブルー試験の結果がよくても、実際には死んでしま
  う割合が多いものもあります。RBL-2H3がそれに相当するかどうかは、把
  握しておりませんでしたが、細胞密度が低いと全然増えないなど、気難しい
  細胞であることは認識しておりました。マスト細胞ということで、血球系に
  属することが原因かもしれません。血球系の細胞では、実際の生存率や増殖
  の立ち上がりが悪いケースが非常に多いのです。

  >また増殖培地は15%FBS添加DMEMを用いております。
  JCRB0023 RBL-2H3の指定培地はEagle's minimal essentiatl medium
  (EMEM) with 10% FCSです。DMEMはEMEMよりリッチですから、これ
  が原因とは思いませんが、順化の問題が発生する可能性もありますので、バ
  ンクから送付された細胞を解凍培養する際には、指定培地の使用をおすすめ
  いたします。また血清濃度も10%で開始してみてください。

  そのほか解凍時にダメージを与える原因としては、
遠心速度が高すぎる。または洗浄するための遠心回数が多い。
  遠心は1000 rpm 3分、1回をお奨めいたします。
洗浄の際ピペッティングが強い。
解凍に時間がかかってしまう。
  超低温からの取り出し後1分以内の解凍をお奨めします。
以外に気にされていない方が多いのですが、培地のpHが高い。
  オレンジ色は可ですが、少しでもピンクがかっていると血球系では大ダ
  メージを与えることが多い。
再培養時の播種細胞密度が低い。
  極端に希釈しますと、立ち上がりが悪くなってしまいます。

なお、場合によっては、遠心せずに、10倍量の培地に浮遊して1日培養し、培地交換する手法
をとるとダメージが少ない場合もあります。以上です。

14.K562細胞について
初めまして鎌田と申します。東北大学の細胞資源センターよりこちらに行き着き
ました。私は今レポーターアッセイを用いてあるプロモーターのcell-tropismを
調べているのですが、K562細胞(赤芽球)を分化誘導させるものとしてはどのよう
なものがあるのでしょうか?
そのK562は分けていただいた細胞なのですが、到着後すぐに培養を始めたサン
プルと一度DMSO存在下でストックし播きなおしたサンプルでは結果が相当異な
り困っています。DMSOはK562を分化させるのでしょうか?
なにとぞお答えよろしくお願いします。

⇒ 私はK562の分化誘導実験を行った経験がございませんが、文献上では驚く
  ほど多くの報告があります。どれが最も実験目的に合うのかは私には判りま
  せんので、文献を当たってみてください。検索には下記、PubMedサイトな
  どMedLine検索などが便利です。
  http://www.ncbi.nlm.nih.gov/PubMed/

  検索語はK562 differentiation erythrocyte(s) erythroid induction induce
  などを組み合わせてみるとよいでしょう。

  >そのK562は分けていただいた細胞なのですが、到着後すぐに培養を始め
  >たサンプルと一度DMSO存在下でストックし播きなおしたサンプルでは結
  >果が相当異なり困っています。DMSOはK562を分化させるのでしょうか?

  上記文献検索での結果をみますと、下記のような文献が出てきますので、D
  MSOはK562に分化誘導作用を持つらしいです。しかし、凍結保存液中の
  DMSOが問題になるかというと、これはやや疑問(決着していない)があり
  ます。細胞バンクでは、K562細胞の保存に際しては、DMSOを5-10%含む
  凍結保存液で保存しております。これは米国ATCC細胞バンクでも同様で、
  おそらく世界中の研究者がこうしたK562を使っているはずなのです。
  一方、DMSOで分化誘導がかかる株に対しては、万一の分化誘導作用を嫌っ
  て、凍結保存液にはDMSOの代わりに10%程度のglycerolを用いた方がよ
  いとする研究者もいます。
  この両者のどちらを選択するかは、研究者の判断です。DMSOにさらされて
  いる時間は、凍結保存ストックを調製するために細胞が生理的条件でDMSO
  にさらされる時間は、凍結保存している期間を除くときわめて短時間です。
  一方glycerolストックの作製の場合は、生存率がDMSOに比べてかなり劣
  り、また凍結保存液に細胞を浮遊してから、glycerolの浸透のために冷蔵庫
  中で二時間程度おいてから凍結に回さなくてはなりません。また、解凍後も
  glycerolを含む凍結保存液をそのまま10倍希釈して、翌日培地交換すると
  いう手続きが必要になります(浸透圧ショックがあるんですね)。
  先生の事例の場合ですと、バンクから送られてきた当初の培養と、研究室で
  凍結してからの培養で差が出ています。むしろ、DMSOの影響よりも、凍結
  条件や培養条件、あるいは、凍結保存されるまでの培養によって、細胞の性
  状が変化した可能性もあります。また、解凍直後の細胞は、実験に用いるべ
  きではなく、対数増殖をするような好調時の培養を用いることも重要です。

  Sutherland JA, Turner AR, Mannoni P, McGann LE, Turc JM.

  Differentiation of K562 leukemia cells along erythroid, macrophage,
  and megakaryocyte lineages.
  J Biol Response Mod. 1986 Jun;5(3):250-62.
  PMID: 2425057

  Baliga BS, Mankad M, Shah AK, Mankad VN.

  Mechanism of differentiation of human erythroleukaemic cell line K562
  by hemin.
  Cell Prolif. 1993 Nov;26(6):519-29.
  PMID: 9116119

⇒ 佐藤様お答えありがとうございました。pubmedで何度か検索を繰り返して
  いたところなのですが、あまりよいキーワードが頭に浮かばず、hit数が膨大
  だっためあきらめていたのです。ほんとに自分が情けないです。
  実験に使った細胞はもちろん対数増殖期の活きのいいのを使ってますので、
  当教室での継代と保存の繰り返しにより細胞が変化したとゆうのが一番考え
  やすそうですね。
  その仮定の実証のために少し実験をしてみました。
  1.センタ?より届いてから凍結保存していないK562        25倍
  2.届いてから3回の継代後凍結保存していたK562         10倍
  3.届いてから20回ずつの継代で二度凍結保存していたK562   1(基準値)
  ・すべての細胞はまき直してから対数増殖期となった物を使用
  ・1については6回の実験行い同値が得られる事を確認(半年前の実験)
  ・2と3は2枚のシャーレの値を平均し2度、日時を変えて実施し同値が得
   られることを確認
  ・器具、試薬、細胞へ導入したレポータープラスミド、プラスミド量(internal
   contorol plasmidも)はすべて同じ。

  結果から細胞継代中に変化したのとDMSOの少しの影響の両方かなと思いま
  した。どう思われますか?

⇒ これは難解ですね。通常は凍結から起こして2ヶ月くらいで新たな凍結スト
  ックから起こすという事を勧めていますが、注目する性状によっては、短期
  間の培養によってもかなり変化が生じてしまうことを意味しているように思
  います。
  解凍からのスケジュールなど厳密な実験の再現が必要になるのかもしれませ
  ん。これを考慮しますと、実験前に大量に同じロットの凍結ストックを作製
  しておくことが重要であると思います。
  一方、凍結・培養ロット差が大きく出るようですと、他の研究者が再現でき
  ない可能性があるというジレンマも抱えてしまうわけで、追試可能なように
  文献発表する場合にはMaterials and Methodsの記載に配慮が必要になるで
  しょう。
  DMSOの影響についても判断は難しいです。しかし、考えやすい因子では
  ありますので、実験に余裕があれば、DMSOの効果もみてみるとよいと思い
  ます。
  凍結に際してはDMSO濃度は5%まで下げる事ができます。

⇒ 多大なアドバイスありがとうございました。何とか解決できそうな気がして
  きました。また、質問の折りにはよろしくお願いします。

15.RERF-LC-FMの増殖パタ-ンについて
今回初めてmailさせていただきます。京都府立医大の柳田と申します。
現在、肺癌のRERF-LC-FMを培養していますがなかなか、passageまで辿り着
きません。増殖はしているようなのですが、この細胞のdoubling time・増殖パ
タ-ンを教えていただければ幸いです。浮遊型の細胞との記載はありますがいかが
でしょうか?宜しくお願い致します。

⇒ 本細胞は浮遊性で、細胞塊を形成しながら増殖します。お送りしました
  JCRB0102 RERF-LC-FM Lot#101698の作製時の培養記録から、おおよそ
  の倍加時間は約60時間と計算されております。こうした細胞の場合、細胞
  塊を完全に単細胞にせず、適当にほぐす程度で継代するのが好調に保つツボ
  です。
  当ロットの培養記録は下記のようになっております。よろしくご参照くださ
  い。

   Day Operation Scale Inoculum size

   ------------------------------------------------------------------

    0 Thawing T- 25 flask x 1 ( 5 ml) 3.0 x 10^5/cells/ml

    6 Passage T- 75 flask x 1 ( 15 ml) 1.3 x 10^5 cells/ml

   11 Passage T-150 flask x 2 ( 30 ml) 1.3 x 10^5 cells/ml

   15 Passage T-150 flask x 7 (175 ml) 1.0 x 10^5 cells/ml

   21 Add 20 ml medium to each flask

   22 Freezing 55 ampules, (1.7 x 10^6/ampule)

  以上です。もし全く細胞が増殖しないようでしたら、送付時等の事故も考え
  られますので、バンクまでご連絡ください。

⇒ 何度も申し訳ありません。以前にお伺いしたRERF-LC-FMについての文献
  があると思うのですが、掲載雑誌等、お解りになれば教えていただきたく思
  います。何卒、宜しくお願い申し上げます。

⇒ JCRBに登録されておりますのは下記の文献です。樹立に関する文献ではな
  いようで、モノクローナル抗体の反応性をみる対象として利用されたという
  記載だと思います。

Cancer Res 1985; 45: 3274-81

Monoclonal antibodies to human squamous cell carcinoma of the lung and their
application to tumor diagnosis.

Kyoizumi S, Akiyama M, Kouno N, Kobuke K, Hakoda M, Jones SL, Yamakido M.

Three immunoglobulin G1 monoclonal antibodies, LuCa2, LuCa3, and LuCa4,
were produced by fusing murine myeloma NS1 cells with splenocytes obtained
from a BALB/c mouse immunized with SK-MES1 cells derived from human squamous
cell carcinoma of the lung. These three monoclonal antibodies were shown
to recognize different protein antigens on SK-MES1 cells by indirect
immunoprecipitation and sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel
electrophoresis analysis. While the pattern of cell line distribution of
antigens recognized by these antibodies was not tumor type specific, their
reactivity with tissue and pleural effusion was much more informative than
with cell lines. The presence of target antigens in vivo was analyzed by
immunoperoxidase staining of frozen tissue sections and immunofluorescence
staining of tumor cells in pleural effusions. LuCa2 antibody was reactive
with lung squamous carcinoma and adenocarcinoma tumor tissues and pleural
effusions, but only infrequently with those of small cell carcinoma. This
antibody was also reactive with many tumor tissues from other organs as
well as with various normal tissues, including alveoli and bronchus. LuCa3
and LuCa4 antibodies reacted with lung squamous carcinoma in tissues and
pleural effusions, but not with lung adenocarcinoma nor with small cell
carcinoma. These two antibodies reacted only weakly with normal squamous
tissues of the esophagus, skin, and cervix uteri, but not with various other
normal tissues. Moreover, LuCa3 had weak reactivity with squamous cell
carcinoma tissue of tongue and esophagus, whereas LuCa4 had no reactivity
with nonpulmonary tumor tissues. LuCa3 and LuCa4 antibodies should be of
clinical interest, because our data suggest that these antibodies may be
potentially useful for the diagnosis of the histological type of lung tumor
cells in both cancer tissue and pleural effusions.


16.作成時培養記録
いつもお世話になります。以前にRERF-LC-FMの培養方法を質問させていただ
いた者です。その後、RERF-LC-FMは徐々に増殖しつつあります。ただ、倍加
時間はお示ししていただいたものと比べるとかなり遅い感があります。もう少し、
培養を続けていく予定です。
また、今回は新たにA549・PC-3・EBC-1を起こす予定です。つきましては、
RERF-LC-FMのような作成時の培養記録がありましたらそれぞれについて提示
していただけると幸いです。宜しくお願いします。

⇒ 細胞バンクの情報管理を担当している水沢です。
  培養記録というのは何を指しているのでしょうか。RERF-LC-FMについて
  の培養記録はホームページ上に公開していますが、同等のものはこの3種の
  細胞についても同じくホームページ上に公開しておりますので該当する細胞
  を左フレームのサーチで調べてください。それとも、これよりもさらに詳し
  いものをお知りになりたいということでしょうか。
  その場合は『細胞番号:細胞名:ロット番号』を明記していただければ提供
  できます。

⇒ ヒューマンサイエンス研究資源バンクの佐藤と申します。ご質問ありがとう
  ございます。いずれも肺がん由来の細胞と存じます。
  JCRB0076 A549
  JCRB0820 EBC-1
  については、培養記録がございますので、FAXにてご連絡いたしますので、
  hsrrb@osa.jhsf.or.jpまでご連絡ください。
  またJCRB0077 PC-3については分譲ロットについての培養記録が紛失しま
  した。
  この掲示板に培養記録を転載するのはご勘弁ください。打ち込みだけでかな
  りの手間となります。
  また、情報はできるだけ提供したいと考えておりますが、国内細胞バンクの
  実状は人手不足で火の車状態です。培養記録を全ての利用者に添付して送る
  ようなサービスは現状では不可能ですので、どうかご容赦ください。




17.KG-1-Cの培養
理研細胞開発銀行から「KG-1-C」(RCB0270, lot.no.004)を購入しましたが、上
手く殖えませんでした。
起こした直後は徐々に増殖して14日で80%コンフルエント程度になり、1:8で
スプリットしましたが、その後はほとんど増殖せずに細胞が剥離していきました。
KG-1-Cの培養について注意すべき点や「コツ」と言ったものがありましたらご
教授頂けないでしょうか?

⇒ 細胞バンクスタッフの榑松と申します。
  KG-1-C細胞の培養を直接したことはありませんが、JCRB0236 KG-1-Cの
  培養記録がございましたので見てみました。(HPのJCRB0236のLot.情報
  に記録の一部があります)
・ DMEM+20%FCS 培地交換4?6日毎
・ 13?19日で継代 Subculture ratio 1:4 to1:5
です。
記録をみると細胞はやや大き目の細胞でGrowthも遅いようです。Subculture ratio
1:8では少々細胞数が少ないように思います。細胞が少ない場合は、あまり頻繁に培
地を交換するとダメになってしまうこともあります。このあたりに原因があるのではな
いでしょうか。



⇒ 理研の 西條です。榑松さま、コメントありがとうございました。
  理研のユーザーの方でしたので、直接、電話でお話しいたしました。公の掲
  示板でのご相談ですので、大津先生の了解も得られましたので、簡単に内容
  を記載させ頂きます。

  >起こした直後は徐々に増殖して14日で80%コンフルエント程度になり、1:
  >8でスプリットしましたが、その後はほとんど増殖せずに細胞が剥離してい
  >きました。

  と言うことでしたので、まず、継代方法に若干の問題があるかと思い、お尋
  ねしたところ、EDTA-trypsin で細胞をはがした後、遠心除去をされていな
  かったようなので、その点の改善を申し上げました。
  また、榑松さんのコメントにありましたように、継代播種密度も1:4でお
  願いいたしました。
  当バンクにも「継代後の付着率が悪い」と言う問い合わせがあります。
  この場合、EDTA-trypsinで細胞をはがした後、遠心除去されていない場合
  が多々あるようです。EDTAを用いた場合は、必ず、遠心除去をされた方が
  良いかと思います。

⇒ 榑松様、西條様、早々のご指導をありがとうございます。早速、ご指摘の点
  を改善します。
  これまで「強い癌細胞」ばかり使用してきたために細胞培養一般の常識に疎
  いことを痛感しております。今後ともご指導を宜しくお願いします。

18.MEB5について
 幹細胞の培養を開始したいと考えているのですが、MEB5について、
  IFO50472と、JCRB 0145の相違点について、詳しく教えていただけないで
  しょうか。どちらを購入するべきなのか、迷っています。



⇒ ヒューマンサイエンス研究資源バンクです。ご質問ありがとうございます。
  MEB5細胞はJCRB0145とIFO50472で登録されておりますが、同じものと
  考えていただいて結構です。IFO50472は(財)発酵研究所・細胞バンクで
  分譲していたもの、JCRB0145は発酵研究所と同じ種ストックからJCRBに
  寄託されたものです。ややこしいですが、当時は二つの研究機関から分譲さ
  れており、その後JCRBと発酵研細胞バンクが統合したことにより二つの登
  録株があるものです。文献などに細胞の登録番号が記載されることがあり、
  二つとも登録番号を残しておく必要がありました。(佐藤(元))

⇒ 佐藤(元)様
  ご回答ありがとうございました。この細胞を取り扱う際の私の疑問点につい
  て、よろしければお答え下さい。
  1. passage を繰り返していってもEGF 存在下では stem cell としての性
    格というか状態は変化しないのでしょうか。何回くらいpassageを確認
    されているのでしょうか。
  2. 扱いとしてはP1でよろしいのでしょうか。それともP2 levelになるの
    でしょうか。

⇒ ヒューマンサイエンス研究資源バンク・佐藤です。ご質問ありがとうござい
  ます。

  >1. passage を繰り返していってもEGF 存在下では stem cell としての性
  >格というか状態は変化しないのでしょうか。何回くらいpassageを確認さ
  >れているのでしょうか。

  通常の培養では2ヶ月程度で新たな凍結ストックから起こすことを勧めます。
  しかしながら経験では半年以上は継代してもニューロンとアストロサイトは
  出ます。オリゴデンドロサイトは、そもそも出現する数が少なく、継代培養
  による変化はつかんでおりません。
  半年も継代培養したら何が起こっているかわかりませんので、長期間の継代
  維持は避けた方が無難です。(その前に細胞が過増殖などでつぶれる事の方が
  多いですが)。

  >2.扱いとしてはP1でよろしいのでしょうか。それともP2 levelになるの
  >でしょうか。

  規則にのっとりますとHPV16のE7遺伝子導入組換体ですのでP2扱いとな
  ります。しかし、実際にはがん遺伝子を含むウイルス等が産生されることは
  ありません。
  なお、この細胞は無血清培養ですので、培養に際しては予め必要な試薬等を
  準備されることをお奨めします。細胞バンクでこの細胞につけている培養の
  注意書きをここに添付します。

             ?????????
              MEB5細胞の培養法
             ?????????

1.継代と維持について

 MEB5細胞は継代・維持に際しては、通常の組織培養グレードのプラスチック上で培養してく
ださい。コーティングはしてはなりません。プラスチック上でMEB5細胞は継代直後は
non-specificに付着する細胞がありますが、増殖とともにsphere(浮遊細胞塊)を形成し
ます。

 解凍時には過度の希釈をすると、細胞塊を形成する前に死滅してしまいます。アンプル一本当
たり、T-25フラスコ一本程度から培養を開始してください。もし、細胞密度が低いようでした
ら、いったん小スケールに移して(たとえばwell)培養を継続してみてください。一週間たっ
ても細胞塊が形成されないようでしたら、細胞が死滅しています。

 トランスフェリンはapoよりもholoタイプの方がよいと思います。holoタイプは鉄が含ま
れています。バンクでの培養に使用されたものは伊藤ハム製(和光純薬販売)の品番300-01291
です。また、一般に培養に使用されている抗生物質の添加は問題ありません。

 継代に際しては、細胞塊をsingle cellにする必要がない場合は(単に細胞をexpandす
るような場合)、細胞塊をパスツールピペットでピペッティングすることにより小細胞塊にほぐ
し、新たな培地に希釈します。希釈倍率が高い場合、遠心せずに単にほぐして希釈することも可
能です(むしろ遠心操作を入れると細胞がプラスチックに非特異的にくっついてしまい、回収が
悪くなります)。対数増殖期の場合は当方では1:15希釈くらいでも大丈夫でした。対数増殖
期には増殖速度が速いので、継代時の希釈系列は、数ポイントとっておいた方が安全です。しか
しこの時期でも希釈しすぎますと全く増えなくなる場合もあります。5?20倍までの希釈系列
をとって、うまくいった培養を残すという方法が安全かもしれません。

single cellにする必要がある場合は、トリプシン処理を行います。

 ?細胞塊を遠心で回収し、0.1%結晶トリプシン in PBS(-)で2-3分処理
  通常の組織培養用トリプシンはトリプシン以外の活性も含むので不可。
  和光のカタログの結晶トリプシン207-09891などをご使用ください。

?処理後、finalで0.1%となるようにトリプシンインヒビター(Sigma type I-S)
 を加え混合。トリプシンインヒビターは、PBS(-)に10倍のストック液を作っ
 て凍結保存しておくとよい。

 ?遠心して回収し、新たな培地にサスペンド後、新たな培養器にうつします。

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2.培養器のコート

 分化誘導時、あるいは、接着した状態で実験をする場合はpoly-L-lysine(PLL)コートで
は不十分です。PLLコート単独では、接着はしますが、上皮様の形態にはなりません。細胞の
伸展を企図する場合は、さらにフィブロネクチン・ラミニンコートする必要があります。条件は
下記のとおりです(カバースリップ上の培養を想定)。

?カバーグラスの種類:松浪カバーグラス 14 丸 No. 0(松浪ガラス工業(株))
 カバーグラスの種類は適当なもので大丈夫だと思いますが、他のメーカーのものはこれまで使
ったことがありません。

?カバーグラスの洗浄:これはカバーグラスに油脂が残っている場合があるために行っているも
のです。

 1.乾熱滅菌したカバーグラスを24 wellプレートに入れる。
 2.オートクレーブ滅菌した 1N NaOHを0.5 ml加えて、1-2時間置く。
 3.NaOHをのぞき、濾過滅菌した 1N HClを0.5 ml加えて、1-2時間置く。
 4.HClをのぞき、滅菌水で3回洗う。
 5.すぐ使用しない場合はフタをしめたまま放置して風乾する。

?poly-L-lysinコート:
 1.poly-L-lysine塩酸塩を用いていますが、臭化物でも構いません。また
   poly-L-ornithineの使用も可能です。
2.濃度は 100 ug/ml in を使用しています。10 ug/mlでも大丈夫かとも思い
  ます。
3.バッファーはPBSを使用しています。ホウ酸バッファーでももちろん構いま
  せんが、残る可能性がある毒性がやや心配なのでそのようにしています。
 4.滅菌は濾過滅菌です。
 5.wellに0.5-1.0 mlの溶液を入れ、2時間からovernight処理。
 6.滅菌水で3回洗い風乾します。滅菌水で洗う段階でカバーグラスが水でしっ
   とり濡れる場合は非常にうまくいっています。

?フィブロネクチン・ラミニンコート
 このステップが最も影響します。というより、フィブロネクチンのメーカーによっては、細胞
がほとんど伸展しないことがあります。推奨メーカーは、和光純薬カタログ番号300-00571の
伊藤ハム製ウシ血漿由来フィブロネクチンです。このフィブロネクチンは他メーカーに比べて純
度が高いことが当方のウエスタンブロットで確認されています。ラミニンは各メーカーを使用し
ています。

1.20 ug/ml fibronectin 10 ug/ml laminin in PBSを少量(300 ul程度でぎ
  りぎり。余裕があれば500 ul程度ほしいです)wellに加え、37℃インキュ
  ベーター中で2-3時間、または冷蔵庫中でovernight処理。(overnihgtの
  方がよい)
2.風乾はしない。処理後直ちに使用しています。保存した場合、良い成績は得
  られていません。

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3.保存法

対数増殖期に保存してください。凍結保存の方法は以下の通りです。

凍結保存液の組成
0.1% methylcellulose, 10% DMSO を含む培養用無血清培地

メチルセルロースは4000 cPのものを用いています(和光純薬048-21985)。滅菌法は以下の
通りです。1%メチルセルロース原液をDMEMに100ml作ることを想定しています。

1. 1gのメチルセルロース粉末を滅菌可能な100ml瓶にいれ、さらにスターラーのマ
グネットも瓶に入れて、オートクレーブする。(溶かしてから滅菌することはできませ
んので注意してください)
2. 冷えたら、滅菌したDMEMを100ml加え、密封し、冷蔵庫中でスター
  ラー上で攪拌する。溶解まで2日ほどかかるかもしれません。また溶解して
  も、顕微鏡でみるともやもやしたものが見えますが、気にしないでください。
 3.これをストック溶液とし、冷蔵庫に保存する。
 4.凍結に使用時は最終濃度10% DMSO、0.1% メチルセルロースとな
   るように培地に混合する。

あとの凍結法は通常の細胞と同じです。また特に細胞をsingle cellにする必要はありませ
んが、あまり大きな細胞塊は避けた方がよいと思います。

なお、無血清培養細胞用に、凍結保存培地FM?1(株・極東製薬工業)が市販されています。
(使ったことはありませんが大丈夫だと思います)

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4.その他の注意

MEB5の場合、増殖がきわめて速いので、過増殖によって細胞が死滅してしまうことがままあ
り、また、分化誘導がかかったりします。先ほども述べましたが、MEB5では継代時の希釈系列
をいくつかとって、うまくいった培養を残すという方法をとったほうが安全かもしれません。好
調な培養では、光沢のある均一な細胞からなる細胞塊が形成され、その表面には毛のようなもの
が観察されます。また、培養の状態が悪くなると、巨大な細胞が出現するようになります。過増
殖しますと、突起を持つbipolarな細胞が培養器に多数接着するようになります。この場合、
過増殖でない培養から培養を再スタートすべきです。いずれにせよ、早めに凍結ストックを多数
ご作製されることをお奨めいたします。

⇒ 佐藤(元)様
  MEB5の培養法について、いろいろと細部にわたりお教え頂き本当にありが
  とうございます。いくつか、この培養法について質問させて下さい。
1. カバーグラスについてですが、1N NaOHはオートクレーブしたことが
  ないのですが、具体的にどのようにしたらいいのか教えて下さい。
2. カバーグラスのコートしたものは、フィブロネクチン・ラミニンコート
  後はすぐに使用しないといけないということですが、poly-L-lysinコー
  ト後ではある程度保存しておいてもよいのでしょうか。
3. 保存についてですが、無血清培地にEGFやtransferrinを添加すること
  は必要なのでしょうか?
初歩的な質問ばかりですいませんが、よろしくお願いいたします。

⇒ ヒューマンサイエンス研究資源バンクの佐藤です。
  ご質問の点ですが、
1. フィルター滅菌していますが、現実的には1N NaOH中で生存できる微
  生物はいませんし(本当か?)、カバースリップ上の培養はいずれにせよ
  一時的なものなので、滅菌しなくても大丈夫だと思います。(実はズルし
  て滅菌しないで行ったことがあります)
2. フィブロネクチン・ラミニンコートは冷蔵保存しても非常に接着の成績
  が落ちます。使用直前のコートをお奨めします。ポリリジンコートは洗
  浄後、乾燥して保存しており長期保存してもあまり問題はないように思
  います。
3. 増殖因子等の培養用supplement抜きでの凍結を行ったことがないので、
  わかりません。おそらくは大丈夫と思います。

19.RBL-2H3の培養について
はじめて相談させていただきます。現在、RBL-2H3細胞の利用を考えておりま
す。
RBL-2H3の指定培地はEMEM+10%FCSとのことですが、
(1) 血清のロット差の影響は大きいでしょうか?
(2) FCSの代わりにNBSやダイゴGF21(日本製薬製)のようなものを使用する
  ことは可能でしょうか?
(3) その他、本細胞の培養に当たっての注意点はあるのでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。

⇒ ヒューマンサイエンス研究資源バンクの佐藤と申します。ご質問ありがとう
  ございます。
  (1)これはわかりません。しかし、細胞バンクでは他の細胞で汎用している血
   清ロットを使用しており、特に問題は発生していません。
   (2)細胞バンクでは試していません。培養開始時はFCSをご使用いただき、
    シャーレを分けて保険をかけてから血清代替物を試してください。
   (3)特にありませんが、播種から長期間継代せずに維持するとかなり剥がれに
    くくなったように記憶しています(記憶が怪しいです)。


20.B16melanoma細胞の培地について
化粧品の業界でin vitroで美白効果を確認する手法としてB16melanoma細胞を使
って行うのが一般的であるようですが、培地には血清培地が使われています。
B16melanoma細胞を扱える培地で無血清の培地は存在するのでしょうか?

⇒ 経験はございませんが、MedLine検索での結果によると下記のような文献が
  見つかりました。検索語はB16 melanoma serum-freeです。他にもありそ
  うですので、どうか検索してみてください。
  試薬メーカーの販売している輸入正常ヒトメラノサイトの培養液はいずれも
  低血清で培養されているようです。これについては無血清培地は見つかりま
  せんでした。(HSバンク:佐藤)

  Exp Cell Res 1992 Jul;201(1):91-8

  Induction of B16 melanoma melanogenesis by a serum-free synthetic
  medium.

Johnston D, Orlow SJ, Levy E, Bystryn JC.

Department of Dermatology, New York University Medical Center, New York
10016.

Cultured murine B16 melanoma cells normally grow as spindle-shaped cells
firmly attached to tissue culture flasks. Pellets obtained from harvested
B16 melanoma cells are white to grey in color. When the same cells were
grown in synthetic, serum-free AIM V medium, cellular morphology and
pigmentation were radically altered. Within 3 days of subculture in AIM
V, cells rounded up and grew in clusters in suspension. Melanin content
increased to greater than 30 times and tyrosinase activity was found to
be 10-50 times higher in cells grown in AIM V medium compared to those cultured
in normal medium. A concomitant increase in the level of immunoreactive
tyrosinase was also induced. The individual growth factors and hormones
present in AIM V medium were examined to determine which component(s)
stimulates melanogenesis. Only those cells grown in the presence of 2.5%
human albumin were stimulated to synthesize melanin. These findings suggest
that albumin, or a component associated with albumin, has a major effect
upon the regulation of melanogenesis in these cells.

PMID: 1612131 [PubMed - indexed for MEDLINE]


Anticancer Res 1990 Jul-Aug;10(4):1029-33

Effects of FeSO4 on B16 melanoma cells differentiation and proliferation.

De Pauw-Gillet MC, Siwek B, Pozzi G, Sabbioni E, Bassleer RJ.

Department of Histology and Cytology, Faculty of Medicine, Universite de
Liege, Belgium.

The effects exerted by FeSO4, in the presence or absence of vitamin C, on
melanogenesis and proliferation in mouse B16 melanoma cells in culture were
analysed either in serum-free (MEM-N2) or in serum-supplemented media. These
cellular parameters can be either stimulated or on the contrary inhibited,
depending on the metal concentration, the presence or the absence of vitamin
C and serum, and on the type of culture (subconfluent or clonal). Vitamin
C toxicity for B16 cells was decreased in the presence of FeSO4.

PMID: 2382974 [PubMed - indexed for MEDLINE]

⇒ おはようございます。B16melanoma細胞は培養したことがございません。
  ただ以前Normal Human Melanocyteの培養を少しした(しようとした)
  ことがあります。そのとき使用した培地はほぼKeratinocyteの無血清培地
  と同様でした。
  biowhittaker社ではMelanocyte用のserum free mediumも扱っていると
  思います。(日本の代理店が以前は販売していましたが、現在も販売している
  かどうかは確認していません)
  内容的にはMCDB153(又はMCRB104やHam'sF12の場合もあるが)に
  Supplements and Growth Factors としてBPE, Hydrocortisone, hFGF-
  B, PMA ,Insulin, GA-1000を添加します。(各種の文献またはbiowhittaker
  のサイトにのっていると思います)
  Normal Melanocyteは無血清で培養できますが、非常にGrowthが悪いで
  す。通常の培養では0.5%?2%程度の血清を加えたほうが良く増えるのでは
  ないかと思います。(JCRB/HSRRB 榑松 美治)