O1-1 培養細胞株ムービーファクトリー作成の試み:生きている細胞の姿を みる

田辺 秀之 1、北條 麻紀 1、榑松 美治 1,2、安田 留菜 1、水沢 博 1 ( 1国立衛研 変異遺伝 細胞バンク、 2ヒューマンサイエンス振興財団)

各種培養細胞株の形態を位相差顕微鏡で観察し、その写真データを記録・整理 した「培養細胞画像データベース」は組織培養学会HPにもリンクされており、広 く活用されている。しかしながら、写真データは時間断面の記録であり、細胞の 挙動や性状を深く知るためには、生きた状態をビデオ撮影することによって、映 像として観察記録する必要がある。8ミリや16ミリビデオカメラによる撮影、映 像化は古くから行われており、「組織培養物語(高岡聰子編)」は名著の一つであ ろう。近年、冷却CCDカメラを用いた撮影技術の進歩により、デジタル画像を編 集し、容易にムービーとして記録することが可能になった。そこで細胞バンクで は、各種培養細胞株のムービー記録集として「培養細胞株ムービーファクトリー」 の作成を以下の要領で試みている。 【使用機器】顕微鏡:Zeiss Axiovert 135、レンズ:Achrostigmat 20x、32x、 Achroplan LD 40x、冷却CCDカメラ:Photometrics CoolSNAP、解析ソフト: MetaMorph Ver4.6、画像サイズ:640 x 480 pixels、ビデオ編集:MediaStudio Video Editor Ver5.2 【方法】通常の60mm培養ディッシュに細胞を播種後、1-2日後に5-10時間連続 してデジタル画像撮影を行う。1細胞株につきレンズ倍率2-3種類を適用する。 露出時間は100ミリ秒、タイムラプス45秒から90秒に設定し、合計タイムポイ ント400程度を1ムービーファイルとして編集する。現在、約20細胞株のムービ ーが完成しており、一部を細胞バンクHP(http://cellbank.nihs.go.jp)より公 開している。将来的には各種細胞内タンパクを蛍光標識して位相差像とmergeし、 マルチカラームービーに発展させる計画である。