O1-13
公的細胞バンク(JCRB)への組織提供に関する意思決定を支援するビデ
オ及び文書の作成
増井 徹 1、高田 容子 1、水澤 博 1、田辺 秀之 1、榑松 美治 1,2、
北條 麻紀 1、安田 留菜 1、林 真 1 (1国立医薬品食品衛生研究所 変
異遺伝部 細胞バンク、 2ヒューマンサイエンス振興財団)
公的ヒト試料バンクは人体由来の研究資源の収集・品質管理、保存、分譲及び
それを支える基礎的問題に対処する活動をしている。現在多様な研究倫理指針が
策定され、状況の整備が図られようとしている。現状では、インフォームド・コ
ンセント、倫理審査、個人情報保護が重要な課題であるといわれている。しかし、
当座の問題に対処する形で策定されてきたヒト試料の利用枠組みは、根本問題の
多くを積み残していることも事実である。このような積み残された問題の一つに、
「将来どのように研究利用されるか未定である」という形でヒト試料を研究に提
供していただくという公的バンクとして避けることのできない問題がある。さら
に、提供者・研究参加者にはどのようなことを理解して頂くことが重要であるの
か、そのような理解を促進するために、どのような方策が可能であるのかという
問題がある。現状では、インフォームド・コンセント・プロセスでの説明に工夫
が必要であることが言われているが、根本的検討は行なわれていない。今回、JCRB
細胞バンクでは、この説明を補助する目的で、広い分野で使えるような説明補助
ビデオプログラムをNHKエデュケーショナルと共に作成した。また、基本的説明
文書を作成し、ビデオと共に国立医薬品食品衛生研究所、研究倫理審査委員会に
おいて審査を受け、一定の評価を受けることができた。しかし、この問題は予想
していたよりも大きく、今後の検討と根本的解決が不可欠と考えている。この問
題の解決のためには、研究者のみならず、社会全体の取り組みが必要となりつつ
ある.本発表においては、この問題についての理論的解析を行ない、ビデオと説明
文書を供覧に付し、会員諸氏のご批判を給わりたい。