O2-11 血管新生調節因子angiopoietin-2の転写調節機構の解析

長谷川 康弘、安部 まゆみ、山崎 研、照山 和秀、佐藤 靖史 (東北大学 加齢医学研究所 腫瘍循環分野)

〔目的〕本研究の目的はangiopoietin-2(Ang-2)の転写調節機構を解析すること である。

〔方法〕各種刺激による血管内皮細胞のAng-2 mRNAの発現変化を定量的 RT-PCR法で解析する。Ang-2 のgenomic DNAを単離し、そのpromoter領域のDNA を同定、レポーター遺伝子を用いて、Ang-2 promoter領域を解析する

〔結果〕ア デノウィルスを用いてHUVEC(human umbilical vein endothelial cells)に転写 因子ETS-1を発現させると、Ang-2の発現は上昇し、dominant negativeに機能す るETS-1変異遺伝子を発現させると、ang-2の発現は抑制された。Ang-2の genomic DNAをスクリーニングし、promoter領域を含む部分のDNAを同定した。同部位を 約3kbp調べたところ、ETS-1 binding motifが10箇所認められた。この領域の promoter活性をluciferase assayで解析したところ、ETS-1遺伝子の co-transfectionでpromoter活性は上昇し、ETS-1 binding motifを順次削ると、 8個目を削ったところでpromoter活性が明らかに低下した。また8個目のETS-1 binding motifにmutationをかけたところ、promoter活性が明らかに低下した。 以上のことから、転写因子ETS-1がAng-2 の転写調節に重要な役割を演じている ことが明らかとなった。