S2-6 養子免疫療法と自家がんワクチン療法について

大野 忠夫 (セルメデシン株式会社 本社)

当社は理研ベンチャー企業群の1つで、演者が理化学研究所にいる間、培養ヒ ト細胞によるがんの治療研究を試行していた。脳腫瘍術後再発症例では放射線・ 化学療法とも無効例がほとんどであり予後が非常に悪い。そこで患者自身の末梢 血から培養したキラー細胞による養子免疫療法を開発してきた。試行した自家細 胞傷害性Tリンパ球(CTL)療法では評価可能症例10例中、CR1例、PR4例という 好結果を得た。またナチュラルキラー(NK)細胞を用いた脳腫瘍治療例でも2年 以上の生存例がでている。しかし、培養操作が入ると必然的にコスト高となる点 は避けられず、現時点で当社はビジネス化を見送っている。一方、この反省から、 当社では培養細胞を用いない患者自身の固定腫瘍組織を材料にした「自家がんワ クチン」を開発した。これであればコストは相対的に低く、肝癌患者を対象にし た自家肝癌ワクチンの場合はクリアーカットな術後再発抑制効果もあり、現時点 では小規模の自由診療ベースながらビジネスとなっている。[一部助成:文科省振 調費]