【勝田班月報:6207】
A)発癌実験:
DABによるJAR系ラッテ肝細胞の発癌実験をつづけています。これまでの月報で初めからの成績は一覧表として報告しましたので、本号ではその后の成績だけを報告します。
なお、この一連の実験に於いては、培地は便宜上、次のような作り方をして居ります。
a:DAB液
前にかいたようにTween20でDABをとき、Saline(D)で稀釋します。DABは2mg/mlとなります。(これが保存液I) 次に即座に使える液を作るため、このI液を段階稀釋します。即ち
保存液I:1ml+(血清20%+Lh0.4%+D):9ml(この稀釋液をAと仮称)
A液1ml+(血清20%+Lh0.4%+D)19ml(これが保存液 )
保存液I、 とも低温で保存(5℃)します。 がなくなったり、別の血清でといて見たいとき、Iから作ります。ときにはIも作り直します。 は1w〜3月の間これまで保存して作ってみました。 液中のDABは10μg/mlです。
b:実験培地
上記のように保存液 はすでに通常の肝細胞用の(血清+Lh+D)の培地になっていますので、実験のときは、第 液+(血清20%+Lh0.4%+D)9容、に混合して培地に用い、Controlの方は右辺の培地をそのまま使えばよい訳です。(第 液に特種血清を用いたときは勿論対照にもそれを加えます)
このようにarrangeしますと、仕事がやり易くなりますので、おすすめします。なお我々のところでは、佐藤班員の云われるような、保存中のDABの沈澱(再結晶化?)は見られて居ません。血清加培地に早くといて 液で保存するためでしょうか。
[結果]
C-14からC-18に至る5実験をしましたが、大体成績はconstantです。しかし色々な経験も得られました。C16〜C18はまだはじめたばかりで、増殖期まで入っていませんが、班会議のときには報告できるでしょう。
[実験成績]
Exp.C-14: (18-day rat:DAB 4days) Since 1962-6-7
1)(Rat serum+Lh+D+DAB)1vol.+(Calf serum
medium)9bol.
2)(Calf serum+Lh+D+DAB)1vol.+(Calf serum
medium)9vol.
3)(Rat serum+Lh+D)1vol.+(Calf serum medium)9vol.(Cont.)
4)(Calf serum+Lh+D)1vol.+(Calf serum medium)9vol.(cont.)
上記の4種の群を作った。第4群はDAB(-)の対照。成績は次の通り。
11th 13th 30th day 継代后の成績
1) 4/5 4/5 sheet Rubber cleanerでよく コロニーができ、ゆっくり
2) 4/5 4/5 sheet 生えているところだけ 増殖中、現在第2代
3) 1/5 1/5 かき落とし各群TD-15
第2代はふえなくなった。
4) 1/5 1/5 2ケに継代
この実験は復元接種できそうなので、近日中に脳内接種をおこなう予定。
Exp.C-15: (18-day rat:DAB 4days and long
addition) 1962-6-19
(Calf serum+Lh+D+DAB)1vol.+(Bovine serum
medium)9vol.
1)(DAB:4days)
2)(DAB:Long term addition)
3)(DAB:Newly prepared and immediately used)
4)(calf serum+Lh+D)1vol.+(Bovine serum
medium)9vol.(Cont.)
上記のようにDABを長期間作用させてみる群と作ってすぐのDAB液の群も加えた。結果は
18th day 現在
1)4/5(増殖は余り良くない) 初代のまま
2)4/5(増殖は余り良くない) (現在までDABを継続しているが(1)と差なし)
3)1/5() (途中で中止した)
4)1/5 初代のまま
上の実験は頂度生え出す頃の日が学会で北海道へ行って居り、培地交新ができなかった。 そのため、実験群は生えだしたが、増殖が悪い。
Exp.C-16:(16-day rat)Since 1962-7-7 DABは4日間、Calf
Serum培地にとかした
Exp.C-17:(18-day rat)Since 1962-7-9 古い液、添加培地は牛血清培地
Exp.C-18:(21-day rat)Since 1962-7-12 (仔牛血清不足のため)
この3実験は同腹の仔を使っているので、日齢の検討にも役立つ。C-17は3群分用意してある。7日目頃から、再刺戟としてグリセオフォルビンとαナフチルイソチオシアネートとを夫々1μg/mlの濃度で(一緒に加えるのではなく)数日間加えてみる予定。C-18は3群分用意してあり、これは佐藤班員の追試になるが、DAB作用期間の比較に当て、4日、8日、12日の3種をしらべる予定。
[考察]
1.C-15の実験で判るように、培地交新は株細胞よりも注意が要る。折角の実験が学会で不在のためうまく行かなくなって残念ではあったが、非常によい経験にはなった。生え出しの頃の交新の如何に大切であるか。
2.同じくC-15の第3群は、無菌室の中でDABを新しくといて、すぐ使った群であるが増殖がControlと同じ結果になった。つまり血清とまぜて暫く保存しないと効果が現われにくい、ということらしい。非常に面白いことであるが、班員諸君のところではこの点如何ですか。 3.DABをといて保存しておくとき、Ratの血清でもCalfの血清でも、結果は似たようなものであった。(C-14の結果) だからこの点は今后気にする必要は無いらしい。
4.成牛の血清より仔牛の血清の方がどうも少し成績が良いのではないか、という感じがする。仔牛の方が元気の良いのを殺すためかも知れない。ただ仔牛の場合には無菌的に血液をとれないらしいが、目下のところではそのため血清が駄目になった例は起っていない。 5.C-17で追加刺戟に用いるグリセオフォルビンは水虫の薬であるが、発癌の促進効果があるとかいわれる。αナフチルイソチオシアネートは皮膚炎を起すとか、endothel系の増殖を促進するとか云われている。これ以外に、はっきりした発癌剤を追加刺戟に用いることも予定している。
[その他の発癌実験]
これまでに報告した内の#C-6(9日rat.DAB4日間、Exp.Cont.共6/6に増殖したもの)の細胞は約5ケ月半経っているが、殊にExp.の方がきれいな実質細胞様で、増殖率も高くなってきたので、これをまず復元接種する予定で、目下ラッテの適齢を待っている。
B)その他の研究:
最近は発癌実験に主力を注いできたので、他の方は殆んどストップである。しかし夏休みの学生実習を利用して、やりたかったこと若干もやる予定なので、来月、再来月はもっと色々のことが報告できると思われる。
《佐藤報告》
1)発癌実験
前報に引続いて実験を行いExp.24迄行っています。(呑竜ラット、DAB
4日作用の場合の結果表を呈示)。以上23例の実験から凡そ次の事は結論し得ると思う。
*1.試験管内に組織片を附着させて回転培養し、組織片からの増殖(継代を考えない)が対照において起る日数は生后20日を限界として著減する。
*2.生后27日以后ではcontの増殖は殆んど起らなくなる。
*3.上記の条件でExp.とCont.の間に最も差が現われる時期は生后22〜27日の間であるが、この条件ではCont.が1/6程度に増殖している。
次にDABの濃度を同じくして作用日数を4、8、12日に変化させて見た。(表を呈示)。
その結果からは現状の作用方式では4日間より培地交換して作用期間が8日間の方が明かによい結果がでている。従って生后27日以后でCont.0/6、Exp.4/6〜3/6程度の期待がDAB8日間作用で出来る可能性が多い。
次いで3'-methylDABを通常のDABと比較する実験を始めた。
◇21、第14日に、DAB4日は3/6、3'-methylDAB4日は2/6、Cont.は2/6の順であったが更に実験を続けて行った。ラットは生后25日。
◇22、第13日に、DAB4日は2/5、3'-methylDAB4日は5/5、同じく3'-MeDAB8日は3/5、同じく3'-MeDAB12日は1/5で、明らかに3'-methylDABが有効であった。ラットは生后26日。
以上の結果からCont.が0/6、Exp.が6/6になる可能性は3'-methylDAB4日或いはDAB8日でラット生后27〜30日の場合に発生する頻度が高いと思われる。
今后の目標としては「ラットへの復元とDABの試験管内消費、及びExp.Cont.比の上昇」にしばらくの間力を注ぎます。
2)C3H自然発生癌の株化が漸く成功して増殖率が急上昇しました。3株できましたが、何れも培養開始后6ケ月程度で増殖率急上昇しました。
《高木報告》
1)発癌実験
先報にひきつづき報告します。
なお以下、A細胞・石垣状に増殖を示す本命と思われる細胞。
B細胞・箒星状の間質細胞と思われる細胞
E細胞・epithelioid cells
F細胞・fibroblast-like cells・・・・・と略記します。
◇C5(生後21日目のW.K.rat肝←DAB 1μg/ml延べ8日間)、LT+20%牛血清培地。
7日目 D群に2/10、B細胞のmigrationおこる。K群にはなし。
20日目 D群には4/8、B細胞のcell sheetを作る。K群にも3/8におこる。
以後は細胞の増殖は止り、そのままの状態。
37日目 継代するも細胞の増殖をみず。
◇C6(生後14日目のG.hamster肝←DAB 1μg/ml
4日間)、LT+20%牛血清培地。
8日目 D群3/6、K群2/6にA細胞わずかに増殖。
18日目 D群4/6、K群5/6にA細胞の増殖をみる。
この日、各群2本→2本に継代するも細胞増殖なし。
22日目 継代しなかった残りの細胞の増殖かえって不良になる。
◇C6'(生後14日目のG.hamster腎←Stilb.1μg/ml
4日間)、
LT+2%牛血清で培養開始、4日目以後5%牛血清を用う。
4日目 S群、K群共E細胞の増殖をみる。
8日目 S群の方がepithelioidの傾向やや強し。
12日目 各群2本→2本に継代、7日後いずれの群もわずかながら細胞の増殖あり。しかし、19
日後にはS群の1本をのぞき細胞の増殖止る。
18日目 各群2本→2本に継代、12日後S群の1本にのみF細胞の増殖をみる。
22日目 残りを継代するも8日後K群の1本を除き細胞の増殖みられず。
◇C7(生後15日目のG.hamster肝←Stilb./ml
4日間)、LT+20%牛血清培地。
8日目 S群1/5にややA型細胞の増殖をみる。
11日目 S群2/5、K群3/5にA細胞の増殖をみる。
18日目 S群3/5、K群4/5にA細胞の増殖をみる。
25日目 増殖しているもの各群2本→2本の継代、4日後細胞増殖なし。
29日目 残りの各群の細胞増殖のみられたものを継代するも細胞増殖なし。
◇C7'(生後15日目のG.hamster腎←Stilb.1μg/ml
4日間)、LT+5%牛血清を用う。
4日目 各群共E細胞の増殖。
11日目 各群共F細胞がまさって来る。
18日目 各群共F細胞predominantとなる。
この日、各群2本→2本の継代。 11日後S群の1本を除き細胞増殖なし。
22日目 残りの各群2本→2本に継代。7日後S群の2本のみ細胞増殖あり。
◇C8(生後8日目のG.hamster肝←Stilb.1μg/ml
4日間)、LT+20%牛血清培地。
8日目 S群1/6にややA細胞の増殖みらる。
18日目 S群4/6、K群3/6にA細胞の増殖。
30日目 S群4/5、K群5/6にA細胞の増殖。・・・・・しかし差程強い増殖はみられない。
◇C8'(生後8日目のG.hamster腎←Stilb.1μg/ml
8日間)、LT+5%牛血清培地。
4日目 両群共E細胞の増殖。
8日目 両群共F細胞がまざって来る。
15日目 両群共F細胞がpredominantになる。継代するも失敗。
18日目 各群2本→3本に継代、2日後F細胞の増殖あり。
◇C9(生後14日目のG.hamster肝←Stilb.10μg/ml
4日間)、LT+20%牛血清培地。
11日目 S群6/6、K群5/6にややA細胞の増殖をみる。
18日目 これら細胞の増殖強まる。増殖可成り良好。
◇C9'(生後14日目のG.hamster腎←Stilb.10μg/ml
4日間)、LT+5%牛血清培地。
4日目 S群6/6、K群5/6にE細胞の増殖をみる。
11日目 両群共F細胞の増殖をみる。
各群2本→2本へ継代。 9日後S群においてF細胞の増殖良好。
14日目 各群2本→2本に継代、6日後S群がK群より細胞の増殖よし。
◇C10(生後21日目のW.K.rat肝←DAB1μg/ml
8日間の予定)
startしたばかり。
[気付いたこと]
1)◇C5で、細胞の増殖があまりなかったのは、この頃培地の調子が少し変ったので、その為と思う。
2)◇C6で培養の途中から、かえって増殖が悪くなった傾向があるが、これはroller
drumの孔に“トメ"がないため、roller
tubeがからまわりすることも関係すると思う。
3)◇C6'腎の培養でLT+2%〜5%牛血清培地を用うれば、20%牛血清培地を用いた時より少くとも培養の初期においてはE細胞が発育する傾向がつよい。12、18日目に継代したものにF細胞の増殖がみられる。S群の方がK群よりややよし。22日目に継代したものでS群の増殖のみられなかったのは母培養(初代)の細胞が可成りよわっていたためかとも思われる。 4)◇C7はS、K群に有意差なし。
5)◇C7'18日目、22日目に継代せるもの共にF細胞の増殖あり。S群がややよい。
6)◇C8 特に有意差ない。
7)◇C8'18日目に継代。7日後までS、K両群共増殖を示す。
8)◇C9 ややS群の方がA細胞の増殖がよいか?
9)◇C9'11日目、14日目継代共7日後までS群にF細胞の増殖よし。G.hamster腎←Stilb.で11日〜22日に継代したものは少くも2代目まではF細胞の増殖がみられる様である。それもS群がK群よりよい様である。しかし、3代に継代出来る位までに増殖さすのは割に難しい。 なお先に◇C4'を継代したものは:11日目に継代したものはS、K両群共細胞の増殖がみられるが、14日目、18日目、25日目に継代したものではK群において殆ど細胞の増殖はみられず、S群を更に14〜17日目に3代目に継代するとわずかにF細胞の増殖がみられるに止った。 肝細胞の継代はまだ成功していない。
2)免疫学的研究
株細胞の免疫学的差異を、更に広範の株細胞につき検討せんとしている。
A)血球凝集試験
予備試験としてO型人血球にChang肝細胞、JTC-4細胞、FL細胞の家兎免疫前、後血清を作用せしめ、この際血清を稀釋するPBS中にMagnecium
ionを含むものと、含まぬものにつきtiterを比較したところ、Mg++を含む方がはるかに高いtiterを示すことが追試出来た。なおChang肝及びFL細胞とJTC-4細胞との間に明らかな有意差がみられた。
B)蛍光抗体法
梶山は蛍光抗体法の習得もかねて、予研伊藤氏の所に数日御邪魔し、HeLa、Chang肝、FL、JTC-4細胞家兎免疫前、後血清をこれら細胞に作用せしめ、これら株細胞間の免疫学的つながりにつき検討を加えた。詳しくは次回班会議の時報告する。
《堀川報告》
やっと本格的に仕事が出来るようになり現在はDABによる発癌実験とPinocytosisによる株細胞の腫瘍化に重点を置き仕事を進めております。
1)発癌実験
培養法:廻転培養器がないのですべて静置培養法、TD-15培養ビン使用
培地 :20%bovine serum+80%YLHsolution
発癌剤:300γ及び500γX-ray、1μg/ml・DAB
培養細胞:mouse CAB系の肝
Exp.1 生後45日のDAB系mouse肝細胞にDABを4日間作用。5日目迄、Exp.区はControl区と共に何の変化も認められず。静置培養のせいか細胞の剥離ははなはだしい。12日目に至るもExp.区は殆ど変化なし。むしろControl区では剥離した残りの細胞がFibroblast状に増殖するのがみられる。18日目に至っても変化みられず実験中止。
Exp.2 生後49日のCBA系mouse肝細胞大量にDABを4日間作用。Control区は3日目頃から増殖が起る。しかもactiveに。一方Exp.区は5日目にFresh培地に返した頃から増殖を始める。6、7、8日目迄はFibroblasticな細胞が9日目頃からEpithelial
likeに変る。この時期にはExp.区はControl区よりもたしかに有意な増殖をしている感じがする。
15日目にmouseCAB系(生後28日目)♂に復元実験する。Control区250万個/mlを1匹に1mlづつ腹腔内注射→5匹。Exp.区320万個/mlを1匹に1mlづつ腹腔内注射→5匹。いづれも注射28日後の今日になる迄何の変化もなし。残念に思うのは一寸した手ちがいで、Ehrlich細胞同様に腹腔内注射をやってしまったことに失敗の大きな原因がある。直ちにSystemをかえてExp.3に入る。
Exp.3 ラッテ、マウスから得たin vitroの各細胞の増殖ならびに形態面に及ぼすDABの影響はむしろ班員の多くの人がこれまでねらってやっていてくれているので、私の所では出来る限り早く復元実験に持ち込む目的でいづれも多量の細胞を塗抹してDABとXrayを併用して処理した(図を呈示)。動物はmouseCAB系♂(生後31日)。培地はYLHsol.
処理13日目の現在の結果。
(1)群無処理Controlは4日目からFibroblasticなcellが増えて、8日目でSubculture、現在でも最初程ではないが増えている。
(3)群500γX-ray照射と、(5)群500γX-ray照射後1μg/mlのDABで4日間処理は、X線doseが強かった模様で増殖なし、特に(5)は細胞質に黒い顆粒が出現してdenaturateする傾向あり。今後は照射するX線doseを考えねばならない。
(2)群1μg/ml DAB処理4日間と、(4)群1μg/ml
DAB処理4日間後300γX-ray照射の、結果が一番よいようだがこれも(1)群と比較して現在ではまだ殆ど大差なし。(2)群と(4)群の今後をたのしみにしている。
この様にX線を併用してみましたが、初回は使用したX線量が一寸大きかった様で次いでこれらの点を考慮してExp.4を開始しております。尚Exp.3の今後の状況如何で復元実験をやってみます。更にX線だけにたよらず、他のChemicalagentを併用するつもりです。
2)Pinocytosisによる株細胞の腫瘍化は今回は特に報告できる結果がありませんので省略します。
《遠藤報告》
1)HeLa株細胞の増殖に対するステロイドホルモンの影響(各実験の図を呈示)
1)Dehydroisoandrosterone(その2)
前号では増殖促進傾向を示したDehydroisoandrosteroeが、その後極めて慎重に行った実験では殆ど無影響ということになりました。ただ4日後には、0.1〜10mg/lの濃度で20%前後の増殖促進を示していますが、果たして意味があるかどうか?
前号の実験の際のControlの6日間の増殖率は10倍、今回のは41倍という違いがどの程度こうしたresponseにひびいてくるかどうか?
2)MethylandrostenediolとMethylandrostanolone
前号ではMethylandrostenediolについて若干報告しましたが、その時予想された増殖促進傾向はその後の実験ではあまり著明でなく、4日あるいは6日後においてたかだか10〜20%に過ぎませんでした。この培養での6日間の増殖率は17倍でした。
3)4-chlorotestosterone
これは比較的新しいそしてかなり強力なanabolic
steroidであります。ただこれはエタノールにあまり溶けないのでCMCを使ってsuspensionを作り、これを培地に加え所定の濃度としました。CMCを加えない群も作ってCMCの影響もみました(CMCのMfinal
cocentrationは0.005%です)。
結果はこの4-chlorotestosteroneでも何の影響も認められませんでした。ただここで言えることは、1.0及び10mg/lを比較して4位にchlorが入っただけで明らかにTestosteroneとはちがってくるということです。この培養での6日間の増殖率は41倍でした。
次にprogesteroneの場合と同じ発想で、BS濃度を2%にして全く同じ実験をしてみました。 結果は、10mg/lでのTestosteroeの増殖抑制作用が著しく顕著になると同時に、この濃度では、前実験では増殖抑制作用を示さなかった4-chlorotestosteroneも同等の抑制作用を示しました。増殖促進作用は4日後に20〜36%であまり顕著ではありませんでした。この培養でのControlの6日間の増殖率は16倍でした。
2)発癌実験
前回にstartのもようだけ書きましたものは、何らpositive
dataを得ることなく終りました。申し訳ないころ乍ら、その後進捗をみておりません。
《伊藤報告》
◇発癌実験
其后4回実験をstartしました。呑竜はなかなかうまく子供を産んで呉れませんので、今までのところ雑系の20〜25日のものを使って居ます。
主としてDABの作用日数について検討を行う積りでやって居ますが、回転培養での細胞の増殖の判定がむづかしく困って居ます。explantの周囲に何か出来て来る事は確かだし、而も培地のpHは2日目毎の培地交換でも相当に低下しますから、細胞が増殖して居るのだろうとは思ふのですが、試験管のまま弱拡大で検鏡したのでは、細胞である事の確認が出来ません。そうして居る間に日数も経つ事ですので、subcultureに移してみて居ますが、これが成功せずどうも弱って居ます。
先日来、Leberの一部を使って静置培養の方も始めました。細胞はとれて居る様ですので、此れにもDABを添加してみたいと思って居ます。
此んな事で仲々はっきりしたDataを御報告出来ませんが、今度の会合の時にもう一度皆様のお話をよくきき、又高岡さんの実験もみせて戴いて、判定の基準を確認させて戴き度いと考えて居ます。
◇増殖促進物質
腫瘍よりのS2分劃と、正常肝よりのS2分劃との間に、その高濃度による増殖抑制の有無、加熱に対する態度等で、何か差異がありさうです。此の点、次の会合で詳しく御報告出来ると思います。
又AH-130よりのS2分劃のPurificationは、従来のIRC-50
Columnによる分離が思はしくありませんが、CM-Cellulose、DEAE-Cellulose
Columnを用ひての分離を開始しました。此れも近くDataが出る筈です。
◇高井君のところで、Actinomycin Sarkom(マウス)の培養株化が出来ましたので、今度の癌学会に出す積りです。これは復元した際の態度等で、以前の人癌腹水由来の細胞との比較に利用し度い考えです。
◇別に、前報でも一寸報告しておきましたmytomycinのin
vitroでの作用機作について、Dose、添加時期、添加時間等の検討をして居ますが、此れもまとまれば癌学会に出したいと思って居ます。
編集後記