【勝田班月報:6503:兎子宮内膜細胞に対するホルモンの影響。胸腺細胞。】
《勝田報告》
A)発癌実験
 “なぎさ”培養によって第4のMutantができ、これまでのと合せて4種のMutantsを目下hamster pouchに復元している。これでtumorができたら、それをratに接種してみる予定である。しかし同時にもっと沢山mutantsを作ることも計画しており、10種作れば1種ぐらいはtakeされると踏んでいる。またrat liverの株も、古いのは細胞の形態に若干異型が現れてきたので、なるべく新しい株、或はprimaryに近い細胞を使うように考えている。しかし細胞数をはじめに多目に入れてやる必要があるがその点が仲々困難で支障をきたしている。
 DABによる発癌実験も併行しておこなっているが成果はその内括めて発表する。
B)ラッテ胸腺細胞の組織培養(顕微鏡映画も展示)
 胸腺は免疫学的に活性のある一系の細胞を生み出すところとして注目され、またリンパ組織発育にも重要な関係を有するものと見做されている。同時に体内に生じた腫瘍細胞との間にも極めて特異的な相互作用をおこない得る可能性が感じられたので、正常ラッテ胸腺より株細胞を作ることを企て、現在までに4株とcolonial clone1種を得ている(RTM-1、-2、-3、-4、clone1A)
 これらの株について各種の検索をおこなった結果、培養細胞はおそらく細網細胞(reticulum cells)であるらしいが、その細胞質にきわめて特異的な顆粒が存在し、これは分泌顆粒と想像される。ケンビ鏡映画によると、この顆粒は核のまわりに密集して限局し(ゴルジ部は除く)、動きのきわめて少い点から推して、顆粒外に粘稠度の高い物質の在ることが想像される。映画によると、ときにより、この顆粒の内容物は培地中に放出される。顆粒及びその膜面あるいは顆粒外物質について各種の検索をおこなった結果、次のような結果が得られ、この細胞が抗体産生をおこなっている可能性が強く暗示され、今後in vitroでの抗体産生実験に用いられる見込が濃くなった。
 ラッテ胸腺細網細胞内の特異的顆粒:
HE(フォルマリン固定)で染色すると顆粒内容はエオジン好性(++)で、蛋白或いはポリサッカライド等が考えられる。
ギムザ染色は、フォルマリン固定では顆粒外物質がpurplish red(アヅール顆粒)に染まるが、メタノール固定では染まらない。
マロリー染色では、顆粒内容はpinkish redに染まる。
PAS(メタノール固定)は、顆粒内容は(−)、顆粒膜と顆粒外物質は若干(+)で(ポリサッカライド、グリコーゲン)の存在を示唆する。
ピロニン染色では顆粒内容はPink(RNA)に、顆粒膜はPinkish red(RNA)、顆粒外物質はRed granules(RNA)に染まる。
SudamIIIは(−)であるが脂肪顆粒が若干見られる。
チオニン(フォルマリン固定)では顆粒内容は(−)、顆粒膜と顆粒外物質は(+)である。Metachromasia(Hyaluronic acid,chondroitin sulfate)は(−)である。
酸性フォスファターゼは顆粒内容と顆粒外物質は(−)、顆粒膜は(+)。
Fluorochrome(アクリジン・オレンジ)で染めると顆粒内容が緑〜黄緑に染まるがDNAとは思われない。顆粒外物質は赤く染まる(RNA or degradedDNA)。
抗ラッテglobulin家兎血清-γ-globulinによる蛍光抗体で染めると(直接法)、顆粒膜と顆粒外物質は染まらないが、顆粒内物質は(+)である。これはglobulinの存在を思わせる。(但し蛍光抗体で光るのはRTM-1と-2だけです。
電顕では顆粒膜は膜の表面にribosome様の粒子がついている。

 :質疑応答(
[高木]培養日数が経つと顆粒の内容物を出してしまった死んだ細胞が増えますか。
[勝田]死ぬとこわれてしまうのか、死んだままという細胞は余り目につきません。
[黒木]位相差で見える顆粒と、電顕でみてリボゾームがまわりにくっついている顆粒と、蛍光抗体法で光るのと、皆同一の顆粒ですか。
[勝田]同じものだと思います。
[高木]この細胞ではミトコンドリアは桿状ですか。
[勝田]桿状です。
[高木]顆粒をもったまま分裂し、培養と共に顆粒が増えるのですね。
[勝田]そうです。培養と共に増えるのは一寸不思議ですが・・・。
[高木]いや、私の膵臓の株も培養につれて糖の蓄積がふえます。
[勝田]我々はこれまで細胞の内部にばかり多く目を向けてきましたが、これからは細胞外の細胞間物質についてもよく考える必要があると思います。こんど訪れた印度HyderabadのDr.Bhargavaはラッテ肝のsliceでmetabolismをしらべた時と、free cell suspensionにしてしらべた時とはmetabolismのちがうことを見出し、細胞表面或は細胞間の物質の失われることによる、と考えていました。高木君のJTC-4もあのころとしてはCollagenを作る能力を維持しているFibroblastの株として唯一のものでしたが、あれも継代期間が永いし、うちの色々なdiploidの株も継代期間が永い。余り頻ぱんにsubcultureして、細胞間物質を除いてしまうと、細胞が脱分化して変化しやすくなるのではないでしょうか。この胸腺の株にしても初代は半年もおいているのですから・・・。なお、映画で分裂をみていると、胸腺の細胞はhematopoiesisのような分裂をやっているのではないかと想像されます。
[黒木]その分裂しない方が機能と結びつくのではありませんか。
[勝田]そうかも知れません。とにかくもっと長期間映画をとりつづけてみます。なおこれまでのin vitroの抗体産生のexp.はin vivoで抗原を与えておいてから細胞をとり出してin vitroに移し、そこで抗体産生をしらべています。さっき蛍光抗体法で光らなかったとお話したRTM-3、-4のような株こそ、in vitroでの抗体産生Exp.に使えるのではないかと期待しています。
[奥村]New York Academy of ScienceのBieseleの論文で、trypsinを使って継代すると染色体数が変るというのがありますね。
[黒木]Continuous labellingをやってみれば分裂するのとしないのと判るでしょう。
[勝田]映画の方が早いですね。
[佐藤]in vitroの抗体産生のexp.のとき、培地の血清に対する抗体はどうなるのでしょう。こういう抗原過剰の場合・・・。
[勝田]この細胞に直接抗原を作用させても、抗体を作るかどうかは疑問です。むしろ、中間にリンパ球とか、組織球、白血球のようなものが介在する可能性の方が大きいでしょう。
[奥村]他にああいう顆粒を持った細胞というのは報告されていませんか。
[勝田]無いですね。このあとで気がついたのですが、蛍光抗体法で見たとき対照ラッテ肝の株を使ったら、そのなかにときたま胸腺と同じように顆粒の光る細胞が混っている。位相差でも胸腺のとそっくりで、おそらく網内系の細胞、とくにKupfferの星細胞と思います。だから網内系の細胞はみんな抗体を作る能力を持っているということも考えられます。しかし蛍光抗体法では特異性を余り強く主張できないから、いま細胞をためていますが、これをすりつぶして、電気泳動でγ-globulinを分劃証明しようと思っています。ただしこの細胞は増殖がおそいので、ためるのが大変です。
[高木]早く増殖するようになると機能がなくなってしまっているでしょうね。
[勝田]その通り。

《黒木報告》
 昨年11月末トキワの炭酸ガスフランキを一台購入したのですが、炭酸ガスの出が悪く、pHを維持できませんでした。又ボンベも急速に空になり(12日間で7.0kgボンベ2本)回路のleakが想定された訳です。2週間前の2月1日に東京から修理に来てどうやら使えるようになったところです。pHの維持は非常によくなったのですが、上下の温度差(1℃)が修正できず困っています。現在、L-cellsを用いてplating exp.の練習中です。
 炭酸ガスフランキの故障、Ratの入手難で現在のところ、まだ発癌実験に手をつけておりませんので、今回は吉田肉腫のコロニー形成法についての二三のデータを示します。
 吉田肉腫は御承知のようにsuspendの状態で増殖し、ガラス壁に附着することはありません。このためplatingが出来なかった訳ですが、寒天中に植えこむことにより、ある程度コロニーを作らせることが出来るようになった訳です。
 寒天はDifcoのBacto agarをアルコール・エーテルで脱脂し、0.3%のtryptose phosphate broth中に5%にとかし、Autoclave EagleMEM培地で1%、0.5%稀釋します。通常下側の寒天層は1%、上方には細胞を浮遊させた0.5%の寒天をおきます。炭酸ガスフランキにincubateし、コロニーを散乱光でみてcountします。
#1(2,000cells/dish、BS20%、EagleMEM、2mMPyruvate)
1.0xEagle 297、73、201、258、252 10.6%
1.5xEagle 373、320、312、367、224 16.0%
2.0xEagle 229、258、179、132 9.9%

#2(200cells/dish、BS20%、EagleMEM、2mMPyruvate)
1.0xEagle 6、0、4、4、6 2.0%
1.5xEagle 9、5、8、6、6 3.4%
2.0xEagle 4、0、2、4、1 1.1%
*1.0x、1.5x、2.0xはアミノ酸、Vitaminを1.0x、1.5x、2.0xしたもの。

 :質疑応答:
[勝田]アミノ酸分析のときの技術的問題ですが、最近うちで日を逐って標準試料の分析をやってみましたら、ニンヒドリンの発色性がかなり激しく落ちて行くことが判り、びっくりしました。こういうことを考慮に入れておく必要がありますね。
[高木]なぜ寒天を使ったのですか。
[黒木]吉田肉腫はsuspensionのままで増殖するからです。
[奥村]Puckが重曹量とpHとの関連のcurveを発表しています。それからExptl.Cell Res.に立体的にCell coloniesを作らせるというのが出ていましたね。細胞を混ぜるにしては寒天0.5%というのは濃すぎませんか。
[黒木]0.3%もやってみましたが同じでした。あとで寒天を包埋して切ってみましたら、細胞は居ましたが、バラバラでした。
[勝田]本当のpure cloneを作るのに、英国の連中がやっている方法で、流パラの中へ、培養液にsuspendしたcell suspensionを1滴宛おとし、細胞1ケ居るのを探して吸い取るという方法がありましたね。液の濃縮を防ぐ上で非常に良い方法だと思います。

《佐藤報告》
 RLN10にDABを10μg時に20μg投与してStrain cellよりDABの吸収乃至代謝の少ないCell populationを作った。即ちD2である。この細胞は形態学的には大小不同或は異型性がある。復元において腫瘍発生を期待しているものである。
D1は同様にDABを10μg投与したが、後、比較的長い間DABをのぞいて後、検索したものであるが、D2と同様DABの消耗の少いことを期待したが、現在の所予想に反して高い値を示している。
D.C.53はDABで57日飼育したラッテ肝よりとりだした株であるがラッテ肝細胞群のDAB吸収よりやや少い程度である。更に長期飼育の株ができれば、更に下がると予想される。
C44はnew bornラッテ肝をPrimary Cultureし直ちにDABを投与し変性の度合に応じてDABを除去しながらselectionして取り出した株である。
 AH-130動物株の細胞をnew born ratsの脳内に入れて腫瘍死するまでの日数と、JTC-2細胞を同様にして脳内接種した場合の比較をした。接種細胞数10ケ、100ケ、1、000ケのどの群においても延命日数はJTC-2の方が長かった。また顕微鏡的には前者が浸潤性であるに反し、後者は脳室内に膨張性に増殖する点、簡単に言えば培養によって良性化している。併し、後者の脳をすりつぶして生後32日目の呑竜ラッテ腹腔内に入れると明かに腹水腫瘍となって死亡する。このときの像は大網或は腹壁に結節が認められる点、AH-130 originalと異る。

 :質疑応答:
[勝田]DABを培地に入れたり抜いたりしている群では、入れているときも細胞は増えているのですか。
[佐藤]ケンビ鏡でみた範囲では増えている感じです。
[勝田]DABを入れたり抜いたりすることが、どうしてDAB摂取量の低下に効果があるのだろう。
[佐藤]色々な問題を含んでいると思いますので、また検討してみるつもりです。
[勝田]こういう変化が可逆性が不可逆性が、問題ですね。DAB肝癌では肝癌になってしまうとDABを代謝する酵素がなくなってしまう、と寺山氏が云って居られましたが、どういう方法でそれをしらべているのでしょう。
[佐藤]知りませんでした。
[勝田]腹がふくれる−と云われたが、それは癌細胞のふえたことですか、腹水の水がたまったことですか。
[佐藤]癌細胞がふえるのですが・・・。培養株のは腹水中に浮遊しないで、腹壁にtumorを作るのではないでしょうか。脳内でも脳組織の内部に侵入しないで、まわりにくっついています。
[勝田]JTC-1、-2の復元接種をそんなにやる目的は・・・。
[佐藤]いま発癌実験に使っている培地が腫瘍性を落すということと関係があるかどうかをしらべたかったのです。結果としては、腫瘍性は低下しないが良性腫瘍に傾くような気がします。
[奥村]勝田班長のところで以前にJTC-1、-2の腫瘍性が低下した、というデータがありましたね。
[勝田]それはデータにするほど沢山のラッテに入れたのではありません。ただ腹腔に復元して、死ぬ筈のものが死ななくなった、ということです。
[高井]脳内接種は脳室内に入れるのが本当なのですか。
[佐藤]いや、狙ったわけではなく、結果としてそこで増えていたのです。
[奥村]接種時のテクニックにもよるのではないでしょうか。
[黒木]若し培地のselectionによって腫瘍性が落ちるのならば、その先どういう培地にすれば良いのですか。
[佐藤]血清をラッテにするとか、色々考えなくてはならないでしょう。でも実際にはそう低下させるような培地ではないと思います。
・・ガヤガヤ(以後同時に何人も話し出したので速記者がこう記して以後空白)・・

《高井報告》
 btk mouse embryo cells、Actinomycin処理群のその後の状態について。
 昨年10月2日より培養をつづけているbtk mouse embryo cellsのActinomycin群は、段々増殖が悪くなり、上図の如く(継代図を呈示)11月16日の継代後、1本は細胞が消失し、残りの一方も益々心細くなったので、12月1日以後はActinomycinを含まない、対照群と同じmediumに変更しました。ところが、その後も段々と細胞が減少して来ましたが、週2回のmedium交新をつづけていました所、本年1月下旬に、2〜3コの直径3〜5mm位のcolonyが出来ているのを見付けました。このcolonyを形成している細胞は、下の写真(顕微鏡写真を呈示)の通りで、細胞及び核の形の多様性、大小不同等の特徴をもっています。
 一方、対照群の方も、増殖はかなり落ちて来ていまして、下の写真の如く、細胞は割に少ない様ですが、繊維様の突起が極めて豊富であり、一見してActinomycin処理群の細胞とは著明な違いがあります。しかし乍ら、よく探しますと対照群の方でも処理群の細胞に似た様な細胞が少数乍ら、所々に見つかります。
 従ってActinomycin処理群に見出された細胞の由来、乃至成因に関して:i)元々あった細胞が、selectされて残ったのか、ii)元々あった細胞から変化して生じたのか、更に、それらのselection乃至mutationに対して、Actinomycinが何らかの役割を演じていたのか否か、については、今の所何とも言えないと思います。又、この現象の再現性についても、今後の追求が必要です。

 :質疑応答:
[勝田]アクチノマイシン発癌の動物実験で途中経過をしらべた報告はありますか。
[高井]ないようです。
[勝田]やっておく必要がありますね。それからEvansらのデータで、mouse embryoの組織だと3月以内にみな癌化してしまうと云いますから・・・。
[高井]培養内の経過をもっと早くしなくてはなりませんね。
[勝田]染色体の標本を作る練習もしておくと良いですね。それから材料としてFibroblastだけうまく採るということ・・・。何か良い方法がないですかね。培地にはCEEを少し加えると良いでしょう。
[高井]今までの例では、培養以前の、−皮下組織を採る−という段階がうまく行きません。
[奥村]どうしてかなぁ。時間があったらまたお教えしましょう。
[勝田]前に伊藤君が印度のBhargavaたちの方法をまねて、肝実質細胞のsuspensionを作ろうとしてうまく行かないで困っていたようですが、こんど実際にやるところを見てきましたから、紹介しましょう。(Exp.Cell.Res.,27:453-467,1962)
 2〜15月rat(頭を叩いて殺し、すぐ使用)→すぐ腹を開き、門脈から環流(心のとまらぬ内)環流液は0.027MSodium citrate in Ca-free Lockeを冷やしたもの→肝は見る見る白くなって行く→50ml環流したところで肝を切り取り→(必要なら環流液で表面を洗い)濾紙で表面の液を除き秤量→シャーレの中で細切(ハサミ)→0.25M(8.5%)Sucrose6mlにLiverを1gの比でsucrose液を加え→手製ホモゲナイザー(管の内径は2.15cm、ゴム栓は赤い軟か目のゴム栓、上端の径は2.2cmとなっているがこれは数値では表現できない由)で、手で5〜6回ゆっくり強く上下してすりつぶす→金属メッシュ(200mesh)で濾す。メッシュは丸めただけのものでconnective tissueが内に残る(ガラス棒を沿えると濾過が早い)→さらにsucroseで洗い→200G(600rpm)1〜2分→free nucleiは浮き、living parenchymal cellsは沈む→再びsucroseで洗う(他のbafferで洗っても良い)→Exp.。

《奥村報告》
A.ウサギ子宮内膜細胞に対するホルモンの影響
 この実験をはじめてから今月で丁度1年になる。最初は内膜細胞を出来るだけ多く採取し、しかも活性を失わない様に培養へ移すことの条件を検討し、結局子宮摘出後すぐに細胞のTrypsinizationを行って、短時間(せいぜい摘出後2時間以内)で細胞をバラバラにして培養に移すことが肝心であることを知った。次いで培養には培地として、YLE、LE、N16、NO.199など用いてみたが中でもNO.199(塩類組成がHanks)が最も良好で、血清は牛血清、仔牛血清、ウサギ血清をテストした結果仔牛血清が比較的よく、特に2〜3週間、あるいはそれ以上培養を続けるのに一番効果的であった。しかし、同じ仔牛血清でもlotによってかなり差があって8lotsをテストして、うち2lotsだけがよく、他のlotsは普通の組織(一般に用いられるKidney、Lungなど)の培養には十分使い得るし、HeLa-S3細胞でのplatingには80%、又はそれ以上のe.o.p.を示したが内膜細胞にはあまりよくなかった。更に少数細胞の培養条件をしらべ、NO.199にcheckした仔牛血清を20%に添加(30%、時には40%でも可)した培地を用い、細胞数を10,000、5,000、1,000ケ/mlの段階で植え込み、1,000/mlでcolonyが1〜3ケ程度出来てくる条件を見出した。それは培地中の重曹を0.07〜0,1%に加え、培養開始後24〜48hrs.は炭酸ガスを10〜15%時には8%(フランキ内の炭酸ガス量)の状態におき、その後5〜7%に減少させる。勿論この種の培養条件は未だ決定的なものではないが、要するに培養初期はpH7.2〜7.4程度に保ち、あとでpH7.8前後に移す事が成功を高めるための1つのコツであることを知り、以来少数細胞を培養するときにはこの条件にしている。
 ホルモンの投与実験:Progesterone及びEstradiolを用い、内膜細胞の増殖促進を目標にいろいろの濃度をしらべ、植え込み細胞数が5,000〜10,000ケ/ml(他の細胞数2〜30,000ケ/ml、又は500〜1,000/mlの場合も畧同様の結果)でProgesteroneは0.1μg/ml、Estradiolは0.01μg/mlが夫々他の濃度に比べて、より増殖を促進することを見出した。又e.o.p.もホルモンを加えない細胞よりも高いことがわかり、次いでチューブを用いて増殖度を測定すると、controlの細胞よりもホルモンを添加したときの方が1.5〜4倍程度高く、しかも3回の実験結果からみて、内膜細胞の増殖へのホルモンの促進効果もProgesteroneとEstradiolとで若干作用機序が異なっていることを示唆するような傾向を得た。そこで、次にH3-Progesterone及びH3-Estradiolを用いて細胞内へのuptakeをみると、JTC-4細胞では10%前後の細胞にgrains(autoradiographyによる)が存在したのに対し、内膜細胞では30〜50%(ラベル-ホルモンを培地に加えて後1週間位)、ホルモン投与後10日目には15〜25%に減少していた。つまり、JTC-4細胞へのホルモンのuptakeは常に畧10%程度であるが、内膜細胞では培養期間中に取り込み細胞の頻度分布に極めて大きな変動があるらしい。なお、この実験は現在続けて進行させているので近いうちに明かな傾向を知ることが出来るであろう。以上、今年度の最後の班会議で今まで掴み得たことを報告した。
B.JTC-4Y細胞の基本染色体型の解析に関する実験
 今までJTC-4細胞から各種のクローンを分離し、最少染色体数の細胞クローン系を得るべく努力してきたが、やはり様々な困難に会い、現在までのところ染色体数分布が30〜34本のところに約80〜90%の集まっている系が最も安定であり、実験にも使い易いために、一応この系を用いて実験をすすめている。方法は各細胞に共通な核型を決定し、オートラジオグラフィーでその各染色体のDNA合成の時間的相関性を見ることを当面の目的とした。しかし、染色体上に小さな、しかも出来るだけ大きさの均一なgrainをつくることがむづかしく、ここ5ケ月間その条件を見出しつつある。少くとも、私のところで検討している範囲では低濃度のH3-TdRを長時間作用させるよりは高濃度(2μC/ml程度)で短時間作用させる方が染色体の拡がり、grainの出かたなどから比較的よい結果を得ている。この他にexposureの条件も問題があるし、乳剤なども十分検討の余地があって、未だ最適条件をみつけていないが、是非とも、はやくtechniqueを確立したい思いで奮闘中です。

 :質疑応答:
[勝田]さきの文献の、動物体内のpH、というのはどうやって変えるんですか。(子宮内膜)
[奥村]局所のpHを測ると、酵素活性の強い時は8.0位で低い時は7.2位となっています。肥厚した時が8.0位というわけです。
[高井]内膜細胞にラベルするときはContinuous labellingですか?
[奥村]そうです。
[勝田]H3だとすごい内部照射で、その影響が出る可能性も考えなくてはならないでしょう。崩壊するときすごい放射能を出すという話もききましたが・・・。
[奥村]Estradiolは0.05μC/0.01μg/ml、Progesteroneは少し多いのですが、0.2μC/0.1μg/mlで使っています。
[高木]Autographyで実際にとりこんでいるgrainsは核当りいくつ位ですか。
[奥村]Max.100位、Min.10位ですが、back groundがとても多くて定量的に物を云えません。この次はcoldのhormoneで洗ってちゃんとやります。
[高井]細胞内のどういうところに入っていますか。
[奥村]ほとんど細胞質です。核に少し入っている像もみましたが、これだけでは何とも云えません。
[勝田]問題はホルモンが本当に取込まれているのかどうか、蛋白にでも結付いているのかどうか、培地内のホルモンをcoldにおきかえて、しばらく培養してからautographyなり生化学分析なりをやって、しらべてみる必要がありますね。
[奥村]この問題は今年充分にやってみる予定です。ただ細胞が沢山とれませんので実験がむずかしいんです。それから染色体当りのgrain数はどの位が良いかというと、大体5〜6コ位でしょうね。
[勝田]染色体数の少くなった細胞というのは、染色体がその代り大きくなっているのではありませんか。
[奥村]いいえ、小さいのもあります。ラベルされた染色体は、どうもよく枝が分れません。Tritiumのせいかと思います。
[勝田]Coldでもthymidineを沢山入れると分裂を抑えるという報告がありますが、TdRによる阻害と言うことも考えられませんか。
[奥村]この濃度では無いと思います。それから、さっきの高井班員のFibroblastsですが、生後24hrs.位のハムスターですと、1腹分のハムスターから5万個/mlで25ml位とれます。皮膚を引張りすぎないことが大切で、透明な膜が張っているのをピンセットで捲きとって室温で2hrs.スターラーでトリプシン消化します。
[勝田]あまり難しかったら心臓を母培養して、出てくるFibroblastsを使う手もありますね。

《高木報告》
 発癌実験においては、1つの種類の細胞が発癌するためには、他の種類の細胞とのinterrelationshipも大切なのではないかと思う。そこで細胞をバラして培養する方法でなく、組織片をそのまま培養してそれに発癌剤を作用させる実験方法をとりたいと思う。つまりorgan cultureによる発癌実験である。この方面の研究でまず眼を引くのはLasnitzkiのprostateにMethylcholanthreneを作用させた実験である。最近のCancer Researchにも彼は発表していたが、そのhistological findingをみるとき、controlと比較して作用群にみられるepithelial hyperplasiaは如何にも上皮性細胞の癌化過程を思わしめるものがある。私はこれからしばらくの間mouseまたはrat skin←→4NQOのsystemで仕事を進めてみたいと思っている。動物のskinを培養する事が先決であるが、skinの培養についてはこれまでMcGowan、Maeyer及びJonesと云った人々の仕事がある。これらの人々の培養法及び用いた組織のageなどはそれぞれ異なるけれ共いずれも一応一週間から四週間位まで観察をしている。従って三週間位幼若動物のskinを培養することは、方法を検討するならば不可能ではないと考える。その方法として、
培養方法:1)Teflon ringを用い、nylon meshの上に組織片をのせた従来行って来た方法。2)agar mediumの上に組織片をのせるwolffなどの行っている方法を考慮している。
培地:いろいろ検討の余地があると思うけれど、basal mediaとして、1)3xEagle's medium。2)1xEagle's medium+10%CEE+10%Serum。3)LYT(又はLT)medium。を検討の予定である。なおL-15mediumもpHの点できわめてstableであるのでこれについても検討したい。(Am.J.Hyg.,75:173-180,1963)
gas phase:95〜97%酸素+5〜3%炭酸ガスで行う予定である。なお液体培地を用いる場合bubblingさせたいと思うが、現段階では一寸実施が困難である。
4NQO:0.25%benjeneにとかしたものを用いる。他の発癌剤に比較して溶解度に対する心配はない。作用濃度は10-4乗M〜10-5乗Mを考えている。

 :質疑応答:
[勝田]炭酸ガスフラン器のない場合、英国の連中はデシケーターにgasを入れてフラン器へ入れていますね。それから、いつも云うことですが、DNA以外のもののprecursorなどにラベルして組込ませる場合、本当のincorporationとturn overとの区別をつけるのが大切ですね。
 次に今年度の具体的な研究計画について、これまで話を伺ってない方に伺いたいと思います。
[高木]この1年はorgan cultureを主体とした仕事をやって行きたいと思っています。そして発癌実験もorgan cultureで、4NQ-Oと若いラッテかマウスの皮膚−という組合せをやり、それ以外の仕事としては、正常組織のorgan culture或は2種類の組織の併置培養をやりたいと思います。
[奥村]昆虫では細胞のgenic functionがホルモンで変ることを報告されていますが、私は家兎のendometriumを使って、progesteroneやestradiolの影響、特にgrowthに対する影響をしらべたいと思っています。またhormone-dependent、-independentの細胞を作り、それを発癌剤とも組合せて影響をみたいと思っています。
[勝田]女性々組織細胞のホルモンによる発癌exp.として私が可能性ありと思う方法は或期間progesteroneを次第に増量しながら与え、その後急にprogesteroneをやめてEstradiolに切換えるのです。人間で妊娠中絶したあと乳癌ができ易いことからヒントを得たのですが・・・。こんなこともendometriumでやってみてもらいたいと思います。
[高木]正常な機能をin vitroでできるだけ維持させるということも発癌exp.の裏返しとして必要だと思いますが、そういうことを奥村班員にやってもらったら如何でしょう。
[勝田]班が1年目か2年目ならばそれも良いのですが、3年目ですからもう少し積極的にやってもらわないと困ります。
[佐藤]Endometriumの細胞は培養内で上皮性ですか。
[奥村]そうです。ただとても扱い難いので・・・。
[勝田]しかし他にやっている人がいませんから有利です。
[佐藤]ヒト材料で掻把した材料で培養したらFibroblastsが出てきてしまいました。
[奥村]掻把した材料はその傾向があります。
[勝田]高井班員は・・・?
[高井]今までの方針通りやります。勿論再現性もみます。
[佐藤]私は今まで通り続けてやってみます。DAB20μgで細胞をほとんど殺してしまってからDABを抜くと、細胞が生き返ってColoniesができてきますが、この細胞をラッテへ復元してもつきません。どうしたらつく細胞が出来るものでしょうか。
[勝田]動物による実験的発癌のような苛酷な条件が人癌の発生の場合、ヒトの生体の中でも期待して良いものか、私は疑問を持ちます。むしろたとえば発癌剤とウィルス、それも非発癌性ウィルスとのsynergismのようなものを重視したい。しかし今、研究室にウィルスを持込むと、たとえ他の方法で癌ができてもcontaminationではないか、なんて云われますから、ここしばらくはこの仕事はやりません。やはり当分は“なぎさ”を続けます。DAB実験についても、なぎさ理論の上に立ったようなexp.をやって行きます。
[佐藤]発癌剤が細胞のどのstageに働くか、ということも問題だと思います。生体で云えばはじめに食わせたときのDABの作用と、一度肝細胞がやられて再生してきた細胞に対して働くDABとは異なるのではないでしょうか。【勝田班月報・6502】
《勝田報告》
 A)発癌実験:
 (1)なぎさ培養による第4番目のMutant(RLH-4)
 1964-8-9:RLC-2より、なぎさ培養開始。9-4:RLH-1のCell homogenate添加。顕微鏡映画の撮影を開始。9-7:Mutant発生を示唆するような所見。9-8:カバーグラスを取除く。10-5:継代(平型回転管よりTD-15へ)。11-2:継代(TD-15よりTD-15へ)。12-25:新コロニー発見。映画撮影開始。その后順調に増殖をつづけているが、このMutantが果して何時ごろPopulationの中に生まれたものか、簡単には推測できない。
 RLH-4の染色体数:(図を呈示)13ケしかかぞえてありませんから、決定的なことは云えませんが、Hypertriploidのようです。RLH-3は63本がピークで頂度3nでした。
 (2)なぎさ培養細胞のフォスファターゼ染色
 Alkaline-phosphataseとacid phosphataseの2種について次の各種標本について染色を行ってみた。対照細胞のL・P3はよく染まったが、なぎさ細胞は(シート部も)何れも活性がよく認められなかった。これはさらに追試確認すると共に染色法自体も検討する必要を考えている。RLC-5:1964-12-3→1965-1-30(なぎさ培養58日)。1965-1-15→1-30(なぎさ培養15日)。1965-1-22→1-30(なぎさ培養8日)。RLC-6:1965-1-22→1-30(なぎさ培養8日)。
 (3)なぎさ培養へのlabelled cell homeogenateの添加
 RLC-5:1964-12-24:なぎさ培養開始。1965-1-12:H3-thymidine-labelled homogenate添加。添加1日、2日、3日、4日后に標本を固定してautoradiographyでしらべた。
 mitosisの細胞の染色体のどこか一部にgrainsが集中して認められないかどうかしらべたが、染色体にgrainのあるものは認められなかった。
或はもっと長期おいてからautoradiographyをおこなった方がよいのかも知れない。
 (4)Mutantsの復元接種試験
 (a)1964-12-12:雑系ラッテ生后24hrs以内のものに脳内接種。RLH-1、RLH-2、RLH-3(300万〜700万コ宛)・2匹宛。1965-1-5:RLH-1接種ラッテの1匹が死にかけたので剖検したところ、脳水腫と判明。腫瘍細胞の増殖した兆候なし。1-21:残りのラッテ全部を殺して剖検。RLH-3接種の内1匹が発育不良で脳水腫。他は全部健全。異常なし。
 (b)1965-1-22:生后1ケ月のハムスターのポーチへ次の如く接種。RLH-1、RLH-2、夫々に100万個/ハムスター。ハムスターは何れもCortisone0.1ml(2.5mg含有)を週2回接種。ポーチ内の腫瘤が大きくなったら、これをラッテへ移植してみる予定。
 B)その他の実験:
 (1)ラッテ胸腺細胞
 正常ラッテ胸腺より樹立した4種の株(RTM-1、-2、-3、-4)について、その細胞質内の特異顆粒の性状をしらべるため、DNase、RNaseをかけて、その后アクリジオンレンジで蛍光染色をおこなったが、特異顆粒がきわめて少かったため、この結果については信頼できない。(光らなかった。)
 なおこの特異顆粒中にγ-globulinが含まれているか否かを電気泳動法で証明するため、少し宛継代のたびに細胞をためて凍結貯蔵中である。
 (2)ウマ末梢血白血球の培養
 Cell countingをおこないながら、白血球、特に単球細胞の延命に好適な培地と培養法の検索につとめている。

《土井田報告》
 RLH-3の核型分析
 RLH-3の染色体数の分布は先に報告した通り、63本のところにpeakを有した。今回は核型分析の経過を報告する。(図を呈示)。2つのn=62の細胞では、telocentric chromosome(TCC)が共に42本で残り20本はmetacentric又はsubtelocentric chromosome(MCC or STC)である。これらの染色体の大きさは漸進的に変化していて、特長となるものはないが、最小の2本のMCCは他のものとは稍々目立つ程度に小さい。染色体数53本のものでは、同一細胞内に2ケのdicentric chromosome(DCC)を含む例がある。TCC以外の染色体数は22である。この例でも稍々小型の2本がみられる。
 64の例でTCC以外の染色体は19本で、1本の著るしい大型のSTCがある。
 この系統の細胞ではtelocentricでない染色体の総数は18〜22の間にある。
 RLH-1との比較
 著しい特長はTCCがRLH-1では15本前後で総体的に少ないが、RLH-3では逆にTCCが多くそれ以外の染色体数が20本前後と少なかった。
 同じ起源の細胞で、同様の処理を受けたと思はれるのに、核型構成の上に大きな変化が起り、非常に異なったものが生じたことは現象的に興味あることである。

《高井報告》
  )btk mouse embryo cells(第5代目)のgrowth curve
 10月2日より培養をつづけているControl群に、Actinomycinを作用させて見ようと考えていますので、まづそれに先立って、この細胞の増殖率を調べてみました。最初startする時、生の状態では細胞が見えにくく、又ある程度の細胞塊があり、極めて細胞数の算定が困難であったため、inoculum sizeが少なすぎました。従って、細胞数のバラツキもかなり大で、良い実験ではありませんが、lag phaseが相当長くて6日目になって漸く増殖の傾向が見えて来ました。このあと更に日を追って追求中ですが、何れにしても増殖は緩慢です。
  )mouse皮下そしきの培養。その後もくり返し、btk mouse(adult及びnew born)の皮下組織の培養を試みていますが、まだうまく行きません。又たとえうまく行ったとしても皮下そしきのみからでは極く少数の細胞しか得られないのではないかと思いますので、この方法は一応中止しようかと考えております。
 細胞に発癌剤を作用させて、腫瘍化させるのが一番大事な目的であるのに、その発癌剤を作用させるべき材料を得る段階に余りに大きな労力を費すことは、賢明とはいえないと思います。whole embryoでは得られる細胞が、色々の組織に由来することが不利だというので、皮下そしきのみを材料にしようと考えたわけですが、たとえmixed populationであっても、培養し易い材料をえらぶ方が実験の能率が上ると思います。又、発癌のmechanismがおそらくはDNA合成の何らかの過程と密接に関連していると考えられますので、DNA合成の盛んな、つまり増殖の速い細胞を材料とする方が有利と考えられます。この意味で上記I)の如き細胞は余り適当ではないと思いますので、株細胞も扱ってみようと考えています。  )btk mouse embryo cellsおActinomycinを作用させたものを、現在Actinomycin(-)の培地に戻して観察していますが、最近生残った細胞が少し増殖して来ましたので、今後更に追求して行く予定です。

《黒木報告》
 吉田肉腫の栄養要求(3)
 前報でセリンが有効との結果を得ましたが、その至適濃度の決定を行ったのがこの報告です(Exp.#248-2)。(表を呈示)すなはち、optimum conc.は0.2mMです。なお、pyruvateは本実験では2.0mMを用いていますが、その后のExp.で(Exp.#248-1)で0.5、1.0、2.0mMがほぼ同様の結果を得ました。
 血清濃度との関係は(表を呈示)表の通りです。SERINEが入っても5%ではNo growthです。5%WholeでGrowthさせるのを次の目的とします。なお、10%C.S.、1.0mM Pyr.、0.2mM SER.の条件におけるGrowthは6回測定しましたがバラツキが多く、23.0±5.9hrs.です。

《高木報告》
 in vivoの発癌実験を考えてみる時、私はOrrの仕事に興味を覚えます。彼はepidermal carcinomaを作る実験で、carcinogenをapplyした場所に隣接する部分のstromaが、この発癌に大いなる役割を果すらしい事を述べています。つまり彼はM.C.をマウスの右肩にapplyしてそこからepidermal graftをとって左肩に移植した場合にはtumorを生じないが、もとのgraftをきり出した処にはtumorを生ずると云う事・・・を行っております。
またこれは発癌実験ではないのですがGrobsteinのdifferentiationに関する興味ある仕事もあります。この場合彼はpancreatic rudimentのepitheliumからacinal differentiationmesenchymと共に培養した場合においてのみである事を述べております。・・・これらは1、2の例ですが、この様に考えて来ますと、differentiatinにせよ、dedifferentiationにせよ、これらの場合、実際に変化を被る細胞(組織)の外に上の例ではConnective tissue stroma、またはmesenchymと云ったtissueの存在、つまりこれらのtissue相互間のInteractionが大切な役割を果している様に思えます。もう一つin vivoの発癌で考慮されねばならないのは広い意味のCo-Carcinogenic factorであろうと思います。兎も角生体における発癌の過程をみる時、これは決してsimpleなものではありません。
今in vitroの発癌実験をふりかえってみると、今日までCell-medium-Carcinogenと云った比較的Simpleなsystemで実験が続けられて来ました。そして癌らしき細胞も出来るのですが、癌細胞のcriteriaがその細胞を復元して無規制な増殖を示すと云う事にあるため、その過程で今一歩と云う処かと思います。私共も、今日まで同様なsystemでStilbesterol−hamster腎を用いて仕事をして来た訳ですが、薬剤のえらび方か、臓器のえらび方か、或いはculture techniqueの問題かは知りませんが、先ずはっきりしたdataを出す事は出来ませんでした。勿論この様なsystemでも発癌する事は充分考えられますが、今后は新しいsystemで出発したいと考えています。つまりよりpotentなcarcinogenをよりorganizeされたtissueに作用させ、更にCo-Carcinogenic factorをも考慮して仕事を進めて行きたいと思い、その準備をしている訳です。

《佐藤報告》
 研究員の関係で1月は少しペースをおとしてので新しい研究はしていない。
DAB投与による発癌はDAB 10μgの投与をつづけているものにDAB消費度の減少を来たしたものが現われたので復元を準備中。
 3'-methyl-DABを投与すると投与日数によって染色体の移動3nがおこる様である。
 RLH-1:1965年1月5日、呑竜ラッテ新生児に1匹当り脳内27万、腹腔内90万、各々2匹宛注入したが、目下(-)。
 DAB飼育ラッテ肝からの肝腺腫様細胞の一部は増殖中で、なんとか株細胞にしDABの追加実験をして見たいと思っています。此の細胞をとるために一部のものはJTC-2或はラッテ肝細胞株のconditioned Mediumで培養している。
 AH-130動物株とJTC-2と比較
JTC-2は腫瘍性(復元性)は殆んどおちないが、悪性度(脳内における増殖態度が膨張性)は少くなっている。継代は可能で目下3代目。動物通過で悪性度が恢復するかは検討中。


編集後記


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