【勝田班月報・6504】
《勝田報告》
A)なぎさ培養によって生じた変異細胞(RLH-1、-2、-3、-4)のラッテ復元接種及びハムスターポーチ接種の今日までの総合成績一覧表(表を呈示)。
以上のラッテ復元成績を纏めると次のようになった。RLH-1:0/17、RLH-1R*:0/1、RLH-2:0/10、RLH-2R*:0/4、RLH-3:0/2。計0/34。
*RLH-1Rは第1回30日間BSの代りに20%RS、その后BS培地に28日間、第2回10%RS+20%CSで70日間培養。*RLH-2Rは(10%RS+20%BS)で72日間培養したものと、90日間培養後20%BSで20日間培養したもの。
B)DABによる発癌実験:
RLC-1、-3、-4、-5細胞を用い、DABを比較的高濃度に与えて、変異細胞の出現を狙った。昨年秋以后のデータを次に示す。容器はすべてTD-15(カバーグラスなし)。培地は20%CS+0.4%Lh+salineD。静置培養。
Exp.CM#25(RLC-1細胞):1964-11-10(第0日)→12-3(第23日):新鮮なRLC-1を追加→1965-1-29(第80日)まで80日間DAB
10μg/ml。2-19(第101日)→3-22(第132日)まで31日間DAB10μg/ml。細胞のpleomorphism出現。増殖はかなり阻害された。
Exp.CM#26(RLC-3細胞):1964-11-10(第0日)→12-3(第23日)まで23日間DAB
10μg/ml。
12-7(第27日)→12-29(第49日)まで22日間DAB
10μg/ml。1965-1-8(第59日)→1-29(第80日)まで21日間DAB
10μg/ml。増殖が非常に阻害され、DABを除いても増殖再開せず。
pleomorphismあり。
Exp.CM#27(RLC-4細胞):1964-11-10(第0日)→12-3(第23日)まで23日間DAB
10μg/ml。
12-7(第27日)→12-18(第38日)まで11日間DAB
10μg/ml。12-25(第45日)→12-29(第49日)まで4日間DAB
10μg/ml。1965-1-8(第59日)→1-29(第80日)まで21日間DAB
10μg/ml。
細胞増殖が著明に阻害され、DABを除いても増殖が再開せず。形態的pleomorphismあり。
Exp.CM#28(RLC-5細胞):1964-11-10(第0日)→12-3(第23日)新鮮なRLC-5を追加→1965-1-29(第80日)まで80日間DAB
10μg/ml。2-19(第101日)→3-22(第132日)まで31日間DAB
10μg/ml。この細胞にこの濃度では、増殖や形態にDABが著しい影響を与えていないように見えた。3月22日の所見では変性に陥った細胞の小塊がシートのところどころに認められた。 Exp.CM#29(RLC-5細胞):1965-3-19(第0日)。3-20(第1日)→3-25(第6日)まで5日間DAB
10μg/ml。細胞シートが所々剥げ落ち、残った細胞も変性に陥りかけている。培養の半数にRLC-4のhomogenateを添加。3-26(第7日)DAB除去后、細胞に著しい回復が見られる。これはhomogenate添加群も非添加群とも特に差はない。
《佐藤報告》
1.発癌実験(DAB飼育Donryu系ラッテ肝の組織培養)
最近65'2−組織培養を開始した◇C82実験の復元で漸くDonryu系ラッテnewbornにTumorを作る事ができました。理論的には当然Tumorが出来る筈で、喜ぶにあたいしませんが、
Primaryに動物から動物にTumorをつくり、且つ培養に成功するものをつくってDAB発癌の移行を見ようとする企が一応終ったことになりますのでほっとしています。標本その他の詳細は班会議でお話します。この系列の実験についての概略だけメモしておきます。
DAB投与日数 陽性率 判定日(培養開始后)
◇C52 44日 0/5 44日
◇C53 57日 3/5 81日 株化14代349日
◇C57 72日 5/14 31日
◇C58 72日 5/14 44日
◇C60 107日 5/14 42日 株化7代299日
◇C61 142日 6/11 41日 株化5代264日
以上、第1シリーズDAB投与日数と共に増殖をおこす試験管が現れるが、培養中の試験管から、或は株細胞からの復元でTumorは作らない。まだこの程度の投与日数では再生結節すら明瞭でない。株化させたものは
◇C62 65日 2/5 43日
◇C63 107日 4/10 65日
◇C65 121日 4/16 51日
◇C68 149日 6/15 27日
◇C74 191日 結節部8/8 50日 2代124日
対照部2/8 50日
Donryu newbornへ結節部をつぶして2匹、対照部をつぶして2匹両方共84日后Tumor(-)
しけん培養開始后第12日結節部を、対照部共にnewbornへ接種したが第87日Tumor(-)
結節部増殖細胞は大小不同でTumorかと思われたが復元は不成功。
対照部にも少数ながら同様の細胞群が見られる。
◇C76 199日 結節部5/5 29日 2代115日
対照部5/5 29日 2代115日
Donryu系newbornへ組織のHamks(3x)乳剤を結節部及び対照部よりこしらえ各々6匹及び
2匹移植。第90日でTumorをつくらない。
◇C78 199日 結節部2/5 43日
対照部1/5 43日
◇C80 199日 3/10 37日 本例には結節は認められない。
DAB投与日数をここで一応打きっておいたのは◇C74、◇C76でTumorが発見されたためこれ以上の投与はラッテを死亡せしめると考えたためですが、◇C78、◇C801と実験して見て結節が未だ不充分と思い、一応試験的に開腹したところ残りの動物で強い変化がなかったので更にDAB投与を再開した。
◇C82 199+38=237 結節部5/5 36日 2代41日
対照部5/5 36日 2代41日
開腹時、結節部のHanks乳液をDonryu newbornの脳内3例(1例は第13日目に脳内水腫をおこして死亡、その脳をすりつぶして腹腔へ接種、結果不明。第2例は第21日目死亡。第3例は第38日脳水腫と共に脳質腔内にTumor発見。継代中)。皮下3例(共に全例皮下Tumor発生)。
◇C83 199+66=265 結節部5/5 8日
2代13日(結節は灰白色)
結節部3/5 8日 2代13日(結節は灰白赤色)
Donryu脳内3、腹腔内3、皮下3移植。観察中。
上述の材料をつかって実験を計画中。
2.RLH-1の復元
No.1(9代)418万個/mlの細胞浮游液を、脳内、3例、12万5千個 腹腔内、2例、62万4千個。胸腔内、2例、41万8千個。本例は親にくわれて失敗。
No.2(10代)脳内1匹当り27万個cells。腹腔内1匹当り90万個cells。77日后Tumor(-)。 No.3(14代)細胞浮游液に墨汁液を交ぜて脳内接種して、RLH-1細胞の追求を行った。
2日后及び4日后の連続切片で観察した処、脳膜の蜘蛛膜下腔と思われる部に、核分裂を示す島岐状の細胞(RLH-1細胞)を発見した。
3.JTC-2の毒力(移植性について)
newbornに対する腫瘍性については、AH-130と比較して前回に報告したが、そのご幼若
Donryuラッテに接種を行った所、一時腹水をつくりTumor
cellの増殖があったが、その后腹水が消失した。接種脳脳:JTC-2の1,000個脳内接種、18日后殺す→生后32日Donryuラッテへ全脳をすりつぶし接種、11日后→100,000個、10,000個、1,000個を接種、夫々62日Tumor(-)。2,800万個接種、生后43日ラッテ、現在62日腹水消失。同11日后→2100万個接種、現在
31日腹水はない。同11日后→16后腫瘍死。
成熟Donryuラッテに対しては移植率は低い様である。
《高井報告》
1)btk mouse embryo cells、Actinomycin
S処理群のその後の経過。
前回の班会議で御報告いたしましたActinomycin処理群に発見されたコロニーは、その後、徐々にではありますが、大きくなって来る様です。細胞の形は前報通りで余り変っていない様に思われます。しかし乍ら、control群の方も長期間(第4代のままでMedium更新のみを続けていたもの)同一の培養瓶でmaintainしていたものでは、細胞の形態が上記Actinomycin処理群に生じたものとかなり似て来ていることに最近気がつきました。このことから考えると処理群に現れた変な細胞も単に長期間、同一の瓶で培養している間にselectされただけでmalignant
transformationとは無関係かも知れないという可能性が非常に高いのではないかと思われ、ちょっと悲観しております。
2)btk mouse、newborn皮下組織培養の試み。
先日、奥村先生に色々操作上のコツを教えてもらい、その後、3回程試みました。第1段階の皮下そしきをピンセットで集める段階は、今迄よりかなりうまくなった様に思います。しかし、第2段階のトリプシン処理で細胞がうまくバラバラにならず、少数の細胞しか得られませんでした。又得られた細胞もErythrosineBで染まるものが極めて多く、何れも失敗に終りました。今迄、生後3日目のmouseを用いていましたが、もっと若いものでないと駄目なのかも知れないので、今后は1日目位のものを用いる予定です。
3)btk mouse whole embryoの培養。
2)がうまく行かないので、再びwhole embryoの培養をstartしたところです。1)に記載した細胞は大分古くなりましたので、近日全部復元してみる予定です。
《奥村報告》
A.ウサギ子宮内膜細胞に対するホルモンの影響
内膜細胞の培養が連続5回失敗してしまい、残念ながらH3-Progesterone、H3-Estradiolの取り込み実験をすることが出来ずにいます。近日中に再び実験を始めるつもりです。
B.ヒト子宮内膜細胞の培養
ウサギの内膜細胞での実験と並行させて、ヒトからの材料を用い、やはりホルモンとの関連性を探ることを試みはじめました。最初にヒトの子宮内膜細胞の採取を検討した結果、不妊症患者の細胞が汚染が少なくて培養に適していること、培養は初代から多くの細胞を植え込むと(1万個、10万個/ml)繊維性細胞ばかりが増殖してくるので、トリプシン消化后、single
cell rateを40〜50%にした浮游液を1,000〜3,000ケ/mlの細胞濃度でシャーレに植え込む方法を用いた。出来てくるコロニー数は現在のところさまざまで0〜8ケ程度そのうち1ケ程度が比較的上皮性のものである。培地はウサギの場合と同様No,199に仔牛血清20%を用いる。血清濃度は30%、40%にすると若干細胞増殖が促進される程度で20%のものと余り差はない。CO2ガス量は約10%、pH7.4〜7.8に調整。
C.当面の実験計画(子宮内膜細胞に対するホルモンの影響)
これから数ケ月のうちに行う実験計画は主にautoradiographyを用いる実験である。
用いる細胞:ウサギ及びヒト子宮内膜細胞、HeLa細胞、ハムスター肺からの分離株(Negative
controlとして)、ヒト子宮癌からの細胞の5種類。
標識物質:ホルモン・H3-progesterone、H3-estradiol。その他・H3-TdR、H3-UdR。
実験方法:1.ホルモンの細胞内への取り込みを時間を追ってしらべることと、その細胞内局在性の検討、同時にホルモンの代謝をどの程度までcheckできるかをしらべたい。例えばestradiolが細胞内で代謝されて、estrial、estroneになり細胞外に出てくることがあるかどうかなど。2.ホルモン存在下での細胞のDNA、RNA合成の推移を検討すること。
《黒木報告》
このところ種々の事情で研究の方は余り進展をみていません。今迄ためておいた実験を論文にすべく一日の半分をそれにあてていますが。慣れぬ英文故なかなか捗りません。最近行った仕事の一つに、悪性度の分析の試みがあります。これは生存率曲線に「何かものを云はせる」ために、先ず生存率をprobit変換し(実際には正規確率紙を使用)直線化した上で、傾斜、並行性等を検討し、悪性度の問題にせまろうとするものです。これは三島の組織培養学会での山田正篤先生の質問(probitの平行性の意味)への回答として行はれたものです。まだ検討が不十分ですので次の班会議までには発表出来るようにします。
トキワのCO2 incubatorは3月12日に新品と交換、今度は順調に動いています。(5%CO2でpH7.2を維持、NaHCO3
0.7g/l)、目下L細胞でplating-efficiencyをみています。Ratのembryoを培養するのが私の発癌実験の第一歩になる訳ですが、全然ドンリュウラットが妊娠してくれず、困っています。現在、実中研固型飼料CA-1にvitaminEを添加していますが効果の程はさだかでありません。(VitaminE
1gをオリーブ油約10mlにとかし、約7kgの固型飼料とよく混合して用いる。
(図を呈示)図は、この前の班会議で一寸述べた培地のNaHCO3とpHの適定直線です。縦軸のNaHCO3をlogにすると直線が得られます。(当たり前の話ですが)。実線はEagle
MEM、破線はそのBaseのHanksです。
《高木報告》
さて前回までintroductionを書いて来たつもりですので、今週からはいよいよ実験に入らなければならないのだが、残念ながらまだやっと着手したばかりでdataらしきものは出ていない。何せCO2incubatorなしでorgan
cultureをやる訳であるから可成り無理がある様である。一応CO2
3% O2 97%ガスボンベを購入してみたが、1本4,000円で、私の現在やっているタンクからSelas
filterを通して滅菌蒸留水をbubblingさせてcontainerに入れる方法では、ぶっ続けに通気すると2週間位しかもたない様である。成丈けeconomizeしてintermittentに通気している積りであるが、それでも3週間位がやっとと云う事で、可成り高くつく実験である。それともう一つの欠点はcontainerのcapacityが小さいためpHの調整が困難な点である。・・・何はともあれ強引に実験をstartしている。先達っての班会議でも御話しした様に、先ずrat
skin←→4NQO系を考えて生后間もない(7〜14日)rat
skinのorgan cultureを試みたが現在の処培養9日目まではまず大丈夫の様で、epidermis、Corium、subcutaneous
tissue、hair follicleなど比較的良い状態に保たれている。
培養方法であるが、これは私がこれまで行って来たteflon
ringの上にnylon meshをのせてその上にtissue
fragmantをのせる方法、organ culture用特製のdisposable
petri dishによる方法(これだと0.7〜0.8mlのmediumですむ)(図を呈示)、及びagar
mediumによる方法を検討しているが、まだはっきりしたことは云えないが今日までの所見に関する限り後二者が良い様である。
mediumについてもいろいろと検討すべきであろうが、一応modified
Eagle's mediaをbasalmediaとしてそれに10%CEE(1:1)と10%BSを加えたものを用いている。勿論L-15とかRPMI#1579(Moor's
media)などもbasal mediaとして面白いと思うが、現段階ではあまり培養するためのfactorを多くするとかえって複雑になるので一応mediaを一定にして様子をみる事にしている。・・・amino
acidsの入手の問題もあるので・・・。
それとgolden hamsterのsubmandibular gland(SMG)のorgan
cultureもStartしている。
これは、SMG←→dimethylbenzanthraceneの実験に関連して行っているもので、まだ3日目のCultured
tissueのstainingを行っていないので何ともいえないが、3日目のmediumを交換するためtissue
fragmentをforcepsでつまむ時、ズルズルすべって中々つまめなかった。explantした時はこの様にズルズルしていなかった様で、唾液の分泌(?)をつづけているのかも知れない。これが何日つづくことか・・・面白いと思う。
次回の月報にはもう少し詳しいinformationをのせる事が出来ると思う。
なお本月報を利用して当研究室の構成人員を御紹介します。
◇梶山猛浩君(入局5年生)
Cell strainの免疫学的差異を調べて行く彼の仕事も一応終りそうで、あと一息と云う処です。これからそのまとめと補足、それにferritin抗体を使った組織のEM的検索−つまりinsulin、glucagon、ACTH、growth
hormonなどがどの細胞のどの部分から分泌されているか?更にin
vitroでcultureしたものについては?と云った様な問題・・・を山田英智先生の協力の下に一緒にやるつもりです。目下遠賀療養所に出張中で週2日こちらに出て来ています。 ◇岡田楷夫君(入局4年生)
奥村先生の処で一応chromosomをいぢくれる様にして頂きました。現在はその方面の仕事、特にdiploid
cellの培養、“functioned"cell lineの分離と云った仕事と共にantiglucagonserumを用いたpancreas
& cellsの仕事もstartしています。この5月で“Bettfrei"からあけますので、彼も臨床、研究と多忙なことになります。
◇緒方佳晃君(入局3年生)
あと一年“Bettfrei"の期間が残っています。彼はrat
pancreasを用いて(young rabbitの入手困難な事及び高価な事からratで仕事をする予定で目下ratの自給自足の態勢に入っています)、更に培養条件の検討、βcellsに対する諸種agents(hormon、diabetagenic
agent・・)の検討、更にはin vitroにおけるinsulin合成の問題などやってもらいたいと思っています。 ◇池上隆君(入局2年生)
今年の5月から研究室に入ります。この人には、organ
cultureによる発癌実験と癌組織のorgan cultureなど一緒にやってもらうつもりです。
◇藤野春代さん
昨年9月から当研究室で仕事を手伝ってくれています。
その外、3年の学生が2人位遊びに来るかもしれません。
《堀 報告》
今年度からこの研究班に入れて頂き、in vitroの発癌の問題をratの肝を主に使って、組織化学的方法により追求させて頂くことになりました。班長の勝田先生をはじめ班員全てこの道の大先輩であり、authorityであられる方々の御指導御鞭撻を御願いする次第であります。実際にやる事としては、in
vivoとin vitroにおけるhepatic cellの比較を主にしたいと存じます。hapetic
cellを特徴付けるG6Pase、Phosphorylaseなどの酵素を中心として、その他種々の酵素類、その他組織化学的に特異性の確立している方法を用いて、in
vivoの細胞を培養に移すとどの様な変化が起るかを、Weilerがtissue
specific antigenの変化を見た様に追求したいと思います。しかし乍ら、当研究班が既に第3年目の総まとめの時期に入っているということは、新参者がのうのうと我が道を往っていたのでは申訳ないのではないかと思わせます。従って、今年はまず組織化学的方法の培養細胞えの適応をmasterした後、各先輩方の注文に応じて染色一手引受けの染色屋にならうかと思いますのでよろしく御引立て下さい。なお、染色というものは、はためには簡単の様ですが、fluorescence-antibody法に見られる様に色々なfactorsがあって面倒なものですので、一応の結論を出すのには或る程度時間を必要といたしますので、御含みおき下さい。なお、昨年秋の班会議の折に御話いたしましたexplantsの組織像の事ですが、その後色々検討した結果、使用したcoverglassの質が悪かったため、特にA20でtreatしないcontrolののび方が悪く、従ってexplantsがnecrosisを起したことが分りました。今はAdam製の良質coverを使っていますので、controlでもごく簡単にのびてくる様になりました。今迄はroller
tubeを使っていましたが、CO2-incubatorが入りましたので、今後これを活用していと思っています。しかし目下の処不調で困っています。
《土井田報告》
培養条件下での放射線誘発染色体異常のAutographyによる解析
放射線照射後生じる染色体切断と染色分体切断の量は、用いる電離放射線の種類や線量、線量率、一回照射、分割照射などいろいろな条件によって異なるが、両者の相対的な量は照射後の時間によって変化する。即ち照射後比較的短時間で細胞を固定した場合には、染色分体切断が多く、ヒトの末梢白血球培養の場合には照射後固定までに20時間以上経過した時には、染色体切断が殆んどで分体切断は少ないという。このことの理由はヒトの白血球培養の場合、培養状態におかれたあとDNA合成を行なうので、S期以前に起った染色分体切断はすべて染色体型の異常として次の分裂で捉えられるというのである。
しかしこの考えは少し無理なようで、私には培養後の最初の分裂である時には、やはり染色分体切断として観察される筈であると考え、この点を確かめるためAutoradiographyの方法を用い研究を始めた。
方法はヒトの末梢白血球を常法通り分離後、0.5uc/mlのH3-thymidineを含む25%AB人血清+75%LE培地で(培養開始時より)、24、40、48時間培養し、そのあと二度H3-thymidineを含まない上記血清培地で洗い。全部で72時間になるように、AB人血清-LE培地で、それぞれ48、32、24時間培養した。細胞はこれも常法通りcolhicine処理、低張液処理、固定をしたあとair
dry法で標本を作成した。
サクラ・オートラジオグラフ用乳剤でコートし、現在露光中である。結果は次号月報に報告できるのではないかと考えている。
猶、私のデータでは、乳癌手術後毎日250Rづつ、上胸部に照射されている患者の末梢白血球培養で平均6.12%とかなり高い染色分体切断を観察しているが、正常健康人、原爆被曝者、職業性被曝者、乳癌患者の照射前の個体においては、それぞれ1.90、1.42、1.66および0.60%とかなり低かった。
(インドの報告)