【勝田班月報・6507】
《勝田報告》
 [なぎさ+DAB]の発癌実験:
 RLH-1〜4のNagisa mutantsの復元テストについては班会議のときにゆずり、今月は上記表題の実験について報告します。
 これはラッテ肝由来のRLC系の株(control由来)を或期間なぎさ状態で培養し、それをTD-15瓶にsubcultureし、同時にDABを高濃度に添加したものです。[なぎさ]にしておいたままDABを加える実験もやっていますが、それは別の機会に報告します。
 この実験で非常に面白いのは、TD-15にsubcultureして間も無く、DABの消費が急に減ってしまう例が多いことです。(一覧表を呈示)消費する培養よりも、しないものの方が多いのです。まだ定量的には測ってありませんが、週2回のrenewalのときに眺めても、10μgDABが、入れたときよりむしろ濃い位の感じで残っています。これは、TD-15に移して、2回目のrenewalのとき、つまり約1週間目にすでに気付くことが多いのです。
 これらの細胞の形態は一般に核小体がギムザで濃染することが目につきます。細胞質の形は、case by caseで差がありますが、一般にはcell sheetを形成して上皮様のものが多い。しかし、RLH群のようにシートの上に立体的に積重なる細胞もよく見かけます。その内、表に示した[C]群はもっとも面白く、シートを形成せず、細胞質もbasophiliaが強く、肝癌の培養像にそっくりです。
 [A]と[B]は1965-6-24に、生后約24hrsのラッテ各1匹に2万個宛腹腔内接種しました。しかし勿論まだ結果は判りません。その他のも復元したいのですが、ラッテが生まれないので待っている始末です。
 培地内のDAB消費の有無が、若し悪性化の標識たり得るとすれば、何と簡単に(この場合)悪性化してしまうものでしょう。一旦殆んど消費しないようになった培養がしばらくするとまた消費するようになったりします。populationの中でちがう細胞が交代するのでしょうか。この辺は今后に残された問題と思います。
 実験中の色々な細胞は変ってしまってから映画をとりましたが、そのせいかしばらく増殖の落ちてしまったものがあり、[C]などは従って今だに復元テストができません。
 [表:註][なぎさ]日数の+は、そこでsubcultureしたこと。[DAB消費]の(+)は消費する。(−)は消費しない。(--)は殆んど全く消費しない。RTMは現在roller tube methodで回転培養中。名称欄の[]はその固定染色標本を作ったもの。(6:+Homog.)のごとき記載は、第6日にcell homogenateを添加したことを示す。
 DABは10μg、5μg、1μgなど時々かえて添加した。処理日数は6月27日現在です。
 [M]と[Q]は、DABを高度に与えても、それに耐性があり、消費しながらどんどん増殖している。合計18本の内、上のごとく2本はDABの消費をつづけて居り、他の2本は切れてしまい、残り14本というものが、多少の差はあるが、何れもDAB消費能が低下してしまった訳である。
これは一体どうしたことなのであろう。
 顕微鏡写真その他は次の班会議の折りに展示する。

《佐藤報告》
 1.AH-TC86a(復元して出来た腹水肝癌の性状)。
 animal transplantationは現在4代を進行中です。生存日数は適当なラッテができませんので明瞭ではありませんが、20〜30日です。腹水中細胞数は2000〜3000/mlで初代より増加しています。PAS染色はInselの中心部が弱陽性です。腫瘍死した動物の腹腔内所見は初代のものと全く同様です。皮下Tumorの性状は目下準備中。
 2.AH-TC86t(前動物の腹水中の腫瘍を再培養したもの)とRLD-10 strainとの比較。
 この両者の比較での差が動的状態における癌細胞と正常(?)細胞との本質的差になる筈である。それと共に現在の段階では再現実験のMarkerになる。
 ◇酵素の組織化学で現在、 Succinic dehydrogenase:Diphosphopyridine nucleotide(DPNH)dehydrogenase:Adenosin triphosphatase(ATPase):Acid phosphatase:Alkalinephosphatase:Glucose-6-phosphatase。以上の6種類を行なって見ましたが本質的な差はありません。量的な多少の差はありますが目下の結果では未だなんとも云へません。
 ◇DABの消耗C.100(図を呈示)。縦軸はone cellが24時間の間に消費するDAB 10-8乗μg数を現わす。横軸は実験開始から24時間までを1、24〜48時間までを2、以下同様です。
左は対照、右は癌よりの再培養です。対照(RLD-10)よりDABの消耗が少い。(小生はもっと強い差を期待していました。この件については更に検討して見ます)
 ◇培養発癌細胞の癌性の決定に対する復元部位の問題。
 1)再培養細胞 2代(再培養后13日)65'5-14=0日:10,000/animalで接種。I.C.・異常なし。I.P.→2/3(+) 6-22=39日、穿刺により癌細胞がみつかった。Subcut.・観察中。
 2)再培養細胞 5代(再培養后41日)65'6-11=0日:10,000/animalで接種。 I.C.。I.P.。Subcut.。何れも観察中。
 3)再培養細胞 5代(再培養后44日)65'6-14=0日:10,000/animalで接種。 I.C.。I.P.。Subcut.。何れも観察中。
 (1)の実験が開始され30日を経て所見がなかったので細胞数を10万/animalとしたが、本日腹水の貯溜を明かにしたので、今后は細胞数を減少する。
 ◇RLD-10及びAH-TC86tに含まれる物質。
 PAS染色で弱陽性物質が核及び細胞質に認められる。Pyronin-Methylgrunn染色では、AH-TC86tの方がPyronin好性物質が多いと思われた。併し定量において下記の様な著変がみられた。RLD-10:RNA-P・5.520 picogram/cell。DNA-P・0.844 picogram/cell; RNA/DNA=6.54。 AH-TC86t:RNA-P・0.252 picogram/cell。DNA-P・0.970 picogram/cell; RNA/DNA=0.26。RNA/DNAはlife cycleにも影響されるし、細胞質の大きさにも関係するのでこの定量は今后繰返してやってみたいが、[Erwin Chargaff and J.N.Davidson: The nucleic acids chemistry and biology Volume 2 1955]の中からRNA/DNAをみて見ると、正常成熟ラッテ肝:RNA-P 3.26〜3.24picogram/cell、DNA-P 0.89〜0.87picogram/cell・RNA/DNA=4.38〜3.64。肝癌:RNA-P 1.3picogram/cell、DNA-P 1.0picogram/cell・RNA/DNA=1.3。ラッテ肝について、生后日数においてRNA/DNAを見てみると、下記の通りである。10日目(1.76)、21日目(2.29)、41日目(4.21)、182日目(4.62)で若いものほど低くなっている。前記の自家実験と比較して興味深い。
 3.RLD-10(10μg〜20μg)株、即ち2-20日復元してAH-TC86aを作ったものはその后そのまま10μg〜20μgで継続されているもの、駒込で上に浮いて見える様なもののみ継代するもの(RLD-10S)、15μgで継代するもの等の亜株になっている(図を呈示)。以下に記載するのはこれらの系から復元されたC.85において発癌したと思われるものがあるので特記した。 ◇C85 65'4-28=0日
RLD-10(15μg)8.16万個/animal I.C.2例。(1)33日目 死、脳内水腫Tumor(-)。(2)37日目Agonal脳内水腫:脳室腔内に灰白色粟粒大のTumorが数ケ、生后38日のラッテ腹腔え移植。
 RLD-10(S)9.6万個/animal I.C.2例。(1)(2)共に10日以内死亡親に喰われる。
 RLD-10(10μg〜20μg)45.6万個/animal I.C.4例。(1)15日目 脳内水腫Tumor(-)、全脳を生后21日腹腔へ。(2)32日目喰われる。(3)34日目 死Tumor(-)。(4)49日目 Agonal。
この第4例は大脳左半球に弾力性硬の0.7〜1cm位の灰白色Tumor(組織は未だみていない)。又脳底部に浸潤があった。生后28日ラッテへ継代すると共にそのTumorをきざんで回転法で再培養した(再培養后現在6日目、肝細胞らしい増殖部あり)。この例は確実に発癌していると思う。
 4.
 C.87 65'5-4=0日
RLD-10C:I.C.、I.P.各々2例、50〜100万個/animal(49日)異常なし。
 C.89 65'5-11=0日
RLD-10(control):I.C.4例 21.7万個/animal、I.P.4例 36.2万個/animal(42日)異常なし。
C.91 65'5-21=0日
RLD-10(control):I.C.2例 128万個/animal、I.P.2例 353万個/animal(32日目)異常なし。
RLD-10(10μg〜20μg):I.C.2例 75.4万個/animal 1例少しおかしい。
I.P.2例503万個/animal異常なし
 C.92 65'5-24=0日
RLN-8(control):I.C.3例 133.8万個/animal(29日目)親に喰われる。I.P.3例 312.2万個/animal(29日目)異常なし。
C.94 65'5-27=0日
injection后翌日全例死亡。
 C.96 65'6-2=0日
RLD-10(15μg)I.C.2例、I.P.2例 28万個/animal(20日目)異常なし。
RLD-10(S)I.C.2例、I.P.2例 27万個/animal(20日目)共に異常なし。
 C.97 65'6-2=0日 (20日目)
RLN-36(control)I.C.2例、I.P.2例 31万個/animal。
RLD-10(10γCo)I.C.2例、I.P.3例 27万個/animal。65'6-14日以后の復元は省略する。
 5.発癌の再現のための実験
 1)正常(?)培養肝細胞からDAB又は3'-Me-DAB投与によって発癌させるため、まづ現在保有するRLN系の細胞(RLN-21のみ箒星状)の染色体パターンを調べた。(図を呈示)表に示すように、42の所にあるものは見当らない。それでこれらの細胞からは不利と思われるので、一寸見合わせている。
 2)C.88 65'5-6=0日
RLD-10細胞をTD15に10本つくり、10μg、20μg、30μg等の組合せで投与実験をつづけている。6-8日に3例を復元した。詳細は班会議で報告。
 3)C.105 65'6-3=0日
同様の実験をRLN-21で開始。
 4)C.98 65'6-3=0日
3日目のDonryu系ラッテ。タンザク9本、経日的にギムザ染色。6-21、試験管9本→内5本を合せてTD40(培養開始后18日)。これはPrimary Cultureから出来る限り短時日に発癌させる目的で行っているもので、これが真の再現実験となる。 *教室の野田が予研でこの出発細胞のクローン化を企てているが果してうまくいくかどうか。
 6.DAB飼育Donryu系ラッテ肝から出発した株について
C-60strain(DAB 107日)、C-74strain(DAB 199日)、C-82strain(DAB 237日)の各系を脳内接種した。C-82strainのみtakeした。C-74はC-82にかなり似ているが細胞の索状増殖が少く一応Adenom或は再生結節肝細胞の株と考えられる。
そこでC-74株に3'-Me-DABを再投与すれば比較的短時日に動物復元陽性の株が出来る筈で、C.104 65'6-9=0日としてDAB投与実験を始めた。この実験でC-74に脂肪?化がおこりつつある事は興味深い。
ちなみにDABを飼食させてから、とりだされた肝細胞株の傾向は次の通りである(DAB投与日数と共に)。(1)細胞単位では細胞質に次第に空胞化が多くなり、細胞は大型し、癌になると又小さくなる様である。(2)最初は一面のシート形成をするが、次第に索状の構造をとる様になり、次いで小Inselをつくる様になり、更にバラバラの細胞となる様である。
詳細は班会議で報告の予定。

《高井報告》
 5月の班会議以后、別の学会の準備に忙殺されておりましたので、その間、新たな発癌実験を開始することは出来ませんでした。そこで、前報の三系列の観察をつづけていたのですが、これが梅雨時に入って雑菌のため相当な被害を受け、全く悲惨な状態になってしまいました。
 殊に一番望みをかけていたbEI.Ac群が殆ど全滅してしまい、残念でなりません。
 1)bEI群:control群は5月末にcontaminationのため全滅。Ac群の方は、5月23日トリプシンでコロニーの一部から短試1本に継代に成功(第4代)、その後、5月25日にその短試が破損したため、急いで第5代に継代(短試1本)、6月12日にこれを短試2本に継代(第6代)。 このTD40に残った細胞(第3代)がかなり急速な増殖を開始しました。この方の細胞の形は前月報の写真4)に近い状態と、写真2)の様な状態が交互に現われる様な傾向が見られ、大分細胞数も多くなって来たので、近い将来に復元出来るのではないかと期待していたのですが、6月19日に継代を試みたところ、雑菌のため絶えてしまい、現在上記第6代の短試2本のうちの1本のみ助っています。
 2)bE 群:control群の方は、今迄bEI.K群につき屡々記載した如き細いセンイ状の突起の多い細胞です。Ac群の方は、殆ど細胞が消失し、TD40に1カ所のみ細胞群の残っている部分があり、この部分では大部分の細胞がこわれて、前月報、写真1)、2)に見られる様なcelldebrisと思われるこまかいゴミの様なものの集まりの所々に、写真2)の細胞に似た様な細胞が散在しています。つまり、bEIAc群にみられた変化に幾分似通った様な現象がおこっている様にも思われ(bEIAc群の時より残った細胞の元気が悪い様です。)、今後の変化を興味をもって観察したいと思います。
 3)bE 群:今の所、Ac群もcontrol群とよく似た細胞です。以上の如く、bEIAc群が殆ど全滅したのは、手痛いDamageではありますが、bEIAc群におこった変化が、再現性のないものならば、全く問題にならないわけで、もし、あの変化がActinomycinの作用に関係したものならば、当然再現性がある筈なので、今後更にくり返して、実験するつもりです。

《高木報告》
 発癌実験
 Exp.I:前回の班会議の時御話しした様に、終局の目的にadult animalのskinを長期間培養してこれに対する4NQOの効果を観察し、更に同一動物への復元まで持って行く事であるが、それに至るまでの一つのstepとしてWistar ratのfoetal skinを用いて培養をこころみ、それに4NQOを作用させてみた。
 4NQOはここの癌研の遠藤教授からもらいうけたもので、時間がなかったのでabsolute
Ethanolにとかしたものを用いた。はじめ10-2乗M/mlの割にalcoholにとかし、これを1000〜10000xにうすめて最終濃度10-5乗、10-6乗M/mlとし、alcoholをこれから実験群と同様の濃度にうすめた2つの対照群をおいた。
 培地は80%Eagle's basal Media+10%BS+10%CEEで、これにagarを1%の割に加えてsolid mediaとした。
この実験は一つにはorgan culture levelにおける4NQOの毒性をみるためのものでもあったが、実験群が多くて12日目までしか観察出来ず、またtissue fragmentが小さきにすぎてhistologicalにはっきり物を云う事は出来なかったが、しかし次の様な傾向が示唆された。 1)一般にtissueの維持は、この実験に関する限り不良で、その理由としてこれまで試みたsuckling animalのtissueとちがい毛が生えていないので、培養と共に表裏を区別する事が困難になり、tissue fragmentsをtransferする際に表裏逆にした可能性のあったこと及びagarが少し軟すぎて(かたまり方不充分で)tissueがその中にうまった様な場合があった事等があげられる。
 2)4NQO 10-5乗M/ml添加群では、毒性つよく、培養6日目ですでに多くのpyknotic、又はdegenerativeな変化が細胞にみられた。
 3)4NQO 10-6乗M/ml添加群で培養と共に、original tissueに殆どみられない角化層の増加がみられたが、これは対照群でも可成りみとめられた。またZona granularと思われる細胞のhyperplasiaを思わせる部があったが、これも対照にこれと似た所見がみられる場所があり、有意かどうか断ずる事はむつかしい。
 Exp.2:mouse foetal skinを用いて、同様な液体培地より新たな実験をstartした。今回は4NQOは水にとかして、最終濃度10-6乗、10-7乗M/mlとして添加し、より大きなtissue fragmensを用いている。

《土井田報告》
 各種の放射線被曝者の晩発性障害の機構の解明を目的とし、人の体細胞−末梢白血球−に存在する染色体異常の量的変動についての観察を行なっており、此の班の研究について報告できるような結果はあまり得られなかった。
 11回班会議の時に報告したマウスの胚の細胞培養をつづけているが、此の細胞に放射線照射を始める前に細胞学的研究を行なうためsubcultureした。この際トリプシン処理を行なうと悪性化を促進するという結果が幾つか報告されているので、出来る限りこの様な影響のないようにと思いラバークリーナーで機械的にガラス面よりはなしたところ、一部の細胞で相当障害があり、相対的にみてこの処置はあまり適当でないことが判った。現在はこの細胞を大事に育てているが、出来るだけ早期に放射線照射を行なう予定である。
 既にRLH-1とRLH-3の染色体数と核型については調べ月報に報告したが、その後の両者の細胞遺伝学的研究と、調査の進んでいないRLH-2、RLH-4について細胞遺伝学的研究を行なった。材料を入手して間がないし、更に最初に記した人間の染色体調査をせねばならず、現在は図に示したごとき予報的結果しか得られていない(図を呈示)。

《黒木報告》
 Rat胎児肺組織の培養(2)
 前報でDonryu RatのEmbryo肺の培養(REL-101〜106)について報告しました。この培養はもともと、培養条件方法その他をテストするための謂ばパイロットであった訳ですが、継代3代目よりGrowthが落ちて来、現在ではやっと植え継いている有様です(培地・EagleMEM+20%Bov.S+1.0mMPyruvate+0.2mM Biotin)。
 これではExp.の材料として用いることが出来ないので、いくつかの改良を行い、6月16日及び19日より培養を開始しました。
 改良点:(1)継代をrigid scheduleのもとに行う。とりあえず10万個/ml、4日置きで継代する。(2)容器をCO2-incubator-dish系にする。三春のdish(径50mm、培地量3.5ml)を使用。位相差観察にもよい。(3)培地 EagleMEMに次のsupplementを加える。(a)Bov.alb.fract.V 1.0%w/v。(b)GLY 0.1mM。(c)PRO 0.1mM。(d)SER 0.2mM。(e)Pyruvate 1.0mM。(f)CYS 4x。(a)の1.0%Bov.alb.はTodaro、GreenらのDataによるfibroblastのGrowthとmaintenanceは、alb.により相当いよくなっている。(b)(c)のGrycin、Prolineはcollagen合成を考えて加えたももの。(d)(e)のPyruvate、Serineはpopulation dependent nutrientとしての意味。(f)Cystineの量を4倍にしたのはdiploid cellが(1)Met及びGlusose、(2)homocystine、Serから、(3)CystathionineのいずれからもCystineを合成出来ないと云う知見(H.Eagle)による。

《堀 報告》
 Explantsの組織化学的変化
 前報ではシロネズミ肝の培養初期のoutgrowthの細胞にG6PaseとPHosphorylaseが検出困難であることを書きましたが、僅か一週間位の間にこの様な大きな変化が起るとるれば、その変化の過程を見ることが重要なことと考えられます。そしてそのためには、explantより出て来た細胞丈でなくexplantに残っている細胞を調べる必要があります。従って今月は培養開始後、3、6、20時間、2日、8日の間隔で1回当り約20コのexplantをとり、-70℃のアセトンで冷却後、クリオスタットで切片としG6Pase、PAS、toluidine blue(TB)、SDH、Phosphorylase、の染色をHEと共に試みました。各種の染色は同一のexplantよりの連続切片を用いて行いました。その結果は下表の通りです。なおexplantは小さくてそのままではクリオスタットで切りにくいので、大きな肝臓片の中に埋め込んで切りました。こうすれば、台に用いた組織を染色のcontrolとすることも出来、一石二鳥です。
   3hr  6hr  20hr 2d  8d outgrowth
HE  +  +  ±  ±  −  −
PAS  − − − − ± ±
G6P ++ ++ ++ + +  +
TB + + ++ ++ ++ ++
SDH ++ ++ ++ ++ ++ ++
Phos. − − − − − −
(HE:eosinophilia。Phos.:Phosphorylase)
 以上は生き残っている細胞についてのみの結果です。今年一月三島の班会議に傍聴させて頂いた時報告しました様に、生き残っている細胞はexplantのfree surfaceに接する部分に限られて存在します。central necrosisは3hrで既に始っていて、この時生き残っている細胞が後にoutgrowingすると考えられます。今回の実験での収穫はG6Paseが弱い乍らも游出した細胞に検出出来たこと、游出する細胞中には明らかに実質細胞を含むことが判明した事です。テクニックを改良すれば、きっとPhosphorylaseも染る様になるのではないかと思います。G6PaseやPhosphorylaseが培養初期に存在することが確認出来れば、その後どの様な変化を起すかを見ることは興味ある事と思います。

編集後記


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