【勝田班月報・6604】
《勝田報告》
 1.Nitrosodiethylamine(DEN)による培養内発癌実験:
 DENがラッテ肝細胞の増殖を促進するらしいと前月号の月報にかきましたが、cell countでDEN各種濃度の肝細胞増殖に対する影響をしらべたところ、低濃度では明らかに増殖を促進して居り、阻害にはmg orderに入れなければならないことが判った。(DENは、2日培養してcell sheetのできたところで添加した。) (表を呈示)μg orderでしらべた結果では、2日后、4日后には40μg/mlが最も促進したが、7日后になると80μg/mlがピークになった。7日后(総計第9日)には100μg/mlがピークになった。これらの濃度を細胞数あたりに換算してみると、0.5μg〜0.2μg/1,000 cellsのとき最も増殖を促進し、1μg/1,000 cells以上になると抑制するらしいという結果になった。
 2.“なぎさ"培養→DAB高濃度添加の実験:
 “なぎさ"培養からDAB高濃度添加に移すと、変異細胞株が短期に高率にできると前に報告しました。その内SubstrainMというのは一寸変った細胞でRLC-3由来ですが、DABを異常に消費します。20μg/mlにDABを加えても3日間でほとんど完全に消費してしまいます。これは染色体数のピークは77本になっています。

《佐藤報告》
 発癌実験
 月報NO.6602の計画に従って実験中です。現在私の研究室で飼育中のDonryu系ラッテの染色体の核型をつくりました。方法は『Yosida,T.H. and Amano,K.:Chromosoma:1965』に従いました。ラッテ体重3.5μg/gr.のコルヒチンを使用(文献には一律ラッテ当り400μg)2時間后殺して大腿部骨髄からair-drying法で標本作製。(♂♀の核型図を呈示)。
 標本での疑問点・(1)大きさの順位にならべてあるが、非常によく似ているものがある。実測はどの様にしてするのか? (2)(1)の理由により、♀のX染色体は区別がむつかしい。♂のY染色体は周囲にacrocentric chromosomeがないので発見が容易。
 C.163−前報NO.6603に報告したC.163株は現在5th、Subculture、122日。染色体標本は4thSubculture、培養112日のものを材料として使用した。タンザク培養后3日目に培地交新、翌日コルヒチンを1μg/mlと4μg/mlに最終的になる様にして、6時間、12時間、24時間を検索した。1μg/ml 12時間が最もよく、次いで1μg/ml 24時間がよかった。
染色体数は核型分析が可能のものは13個、いづれも42であった。無理をして数えると以下の通りである。染色体数42以上のものはない。25本:1、33本:1、39本:2、40本:5、41本:1、42本:20。C.163はRLN-163と名付け以后cloningを行う予定。

《黒木報告》
 ハムスター胎児細胞に対する4NQOの効果
 今までラット胎児肺細胞、ハムスター新生児腎細胞を培養し、4NQO or 4HAQOを添加する実験をくり返して来ましたが、すべて発癌又は形態学的変化をみないままに終ってしまいました。今まで用いていた4NQO、4HAQOを吸光度曲線により検討したところ、かなり吸光度が低下していることがわかりましたので、新たに作り直すと同時に培養細胞も新たに、実験を再開しました。(4NQO、4HAQOは今后2w毎に作り直す予定です)。
 細胞:golden hamster、whole embryo(ただし、頭部及び肺、心は除く)Zen-1と略する。
培養方法:Explant outgrowth法による。培地:Eagle+1.0mMpyruwate、0.2mMSerine+
1mg/l af biotine & 20%B.S.(但し血清は培養17日以降は10%にした。節約のため)。
digestion:0.02%pronase、37℃ 4〜5min.。Bottle:主としてTD-40、P-3dish(三春、45mm)。Incubator:主としてCO2-incubator、growthが安定になれば、閉鎖ガス環境。
 発癌剤:4NQO、4HAQO 10-2乗MにEtOHに、水を加えて10-3乗でstock soln.とする。
milipore filtration。
 培養は3月5日に開始した。(角ビン10本、TD-40 1本、90mm dish 1枚、計12本)。5日後full sheet。pronase digestion後、(表を呈示)表の如く培養を行った。(TD-40 4本、dish 20枚)inoc.sizeは1万個/ml、dishは10,000、1,000、100/dishでコロニー形成をみる。残りは凍結(10本、5万個/amp.DMSO 10%、液体空気)、今后thawingして使う予定。
 4NQOは前回までの実験からみて4x10-6乗M(10-5.4乗M、0.76μg per ml)で与えた。
 Controlの細胞はepithelialのものが多く、細胞質はうすく核の回りにgranulaのあるものが多くみられた。なかにfibroblastがmixしている。継代を重ねると、特にひんぱんに継代したcontrol-2、-3ではきれいなfibroblastだけのsheetとなる。
 4NQOを加えると細胞の大部分は剥れおち、残った細胞はspindle、配列はcrisscrossし、multilayerになる。肉眼的にみると、その部分はフェルトのようにみえる。controlでも
crisscrossはみられるが、それはfibroblastの流れの重り合ったところに限られているようである。(図を呈示)図はZen-1-NQ-1に4NQOを1w加えた後のcellの残った部分で、あたかもtransformed fociの如く思はれる。
 ここに残った細胞はいずれもspindleでcrisscrossしています。他の4NQOを加えたびん(NQ-2)でも同様の変化がおこっています。45mmのdishで4NQOを添加したのは16日目、(4NQO添加後10日)で染色したところ直径8mmのfocusが5つ程みえました。
4HAQOは4x10-6乗Mでは変化なく、10-5乗Mでmultilayerになります。
 このような変化が細胞のSelectionによるのかどうかはわかりません。しかしmultilayerはcontrolにはみられない所見ですので、何らかの変化を考えてもよいと思はれます。
 Zen-1-NQ-1は4NQOを1w加えてから4NQO free med.で培養していますがfocusからmigrateする細胞は初めのうち(2〜3日)は、focusと同じようなspindleのcellでしたが、6〜7日後にはフラットの細胞で核が大きく、核小体の明瞭な細胞をみるようになり、今后も注意深く観察する積りです。
 Zen-1-NQ-2、Aen-1-HA-1は10日、12日間4NQO、4HAQOを加えましたが、今后(継代后)carci-nogenを加えつづけるのと、中止するものに分けてみるつもりです。
 今後の方針として、
 (1)transformationを明確にするため、colonial colonyレベルの仕事にもっていく、そのためfeederlayerの作り方を検討しています(softex使用)。
 (2)継代による変化:1.controlは3つおく。2.4NQO、4HAQOは加えつづけるものと、途中で中止するものの二つにする。3.適当なときにまずcheek pouchにinoc.してみる。4.形態の観察。5.必要に応じて凍結アンプレからとり出し、再現性をみる。等です。
 また4NQOの種々のderivativeも手に入り次第実験に用いていきます。

《高井報告》
 1)bEII.Ac.群のその後の経過:
 前月報に間に合わなかった写真を、お目にかけると共に、その後の経過について報告します。(写真を呈示)写真1)はbEII.K群、即ち対照群の培養30日であります。写真2)はbEII.Ac.群の37日目(Ac.0.01μg/ml.28日処理)で、小型紡錘形の細胞が大部分を占めていた時期です。ところが、44日目(Ac.処理35日)からアクチノマイシンを含まない培地にかえたところ、その後わずか3日間で、写真3)の如くcontrol群に極めてよく似た形になってしまいました。 そこで3月1日(66日目)から、再びアクチノマイシンを添加したところ、TD40、4本のうち、2本において高度のdegenerationがおこり、この2本は3月10日(75日目)から再びAc(-)にして様子を見ています。
 細胞の形態は(図を呈示)図の如くで、顆粒が多くて、丸くかたまった細胞があちこちに細々とガラス壁についています。この状態はbEI.Ac.(月報6503〜6506参照)の時に見られた最初の変化と似ている様に思われますので、目下、大切に育てています。残りの2本では、こういう変化もおこってはいますが、なお、その他に対照群の細胞と似た細胞もかなり残存しており、まだアクチノマイシンを含んだ培地で飼っております。
 同様な処理をしているのに、どうして、この様な異った経過(程度の差だと思いますが)をとったかについては、よく分りませんが、培地のLot(contamiをおそれて、2群に分けている)によってアクチノマイシンの濃度が少し異るのかも知れません。(非常に稀釋しなければならないので、多少の誤差は避けられないと思います。)
 2)in vivo固形アクチノマイシン肉腫のprimary culture:
 前回報告したASSVは雑菌(カビ)のため絶滅。
 あらためてASS をstartしました。(材料はASS  10個移植で生じたTumor)。今回は接種細胞数が少かったためか、余り調子よく増殖しなかったのですが、(写真を呈示)写真4)は20%BS・199の9日目、写真5)は20%CS・YLHの同じく9日目です。どうも199の方が少し良さそうですが、何れの培地でも約3週間で変性が強くなり、充分な培地では無い様です。

《高木報告》
 (1)引続いて人胎児皮フの長期培養を試みた。方法は前報と全く同じでPlasma clotを用い、胎児の月数もほぼ同じ6ケ月位と思われる。培養后12日目までは健常に保たれmitosisも認められたが20日目に固定してみると4NQO添加群、対照群共に殆んどの細胞がPicnoticになっていた。また2週間遅れて培養開始したハムスター胎児の皮フも4日目ですでに全部変性におちいっていた。
 この様に今回の実験で壊死が早く起った原因として採血の際、シリコンをコートしたばかりの新しい注射器を用いたので何かtoxicなものが附着していたのではないかと考えています。このことはシリコンコート注射器を使いはじめのPlasma clotによる培養の結果が非常に悪く、その后日を経るに従ってうまくいきだした点とを考え併せると、何か意味がありそうです。目下、人胎児を用いた実験を再出発しています。
 (2)ハムスター胎児のorgan cultureを三回に亙り行った。第1回目は(1)にも書いた様に途中で駄目になった。第2回は生下前2〜3日と思われるハムスター胎児の皮フ及び腎の培養で、これは復元実験の一つの足がかりとして行ったものです。培養方法はこれまでのPlasma clot法と全く同じで夫々4NQO 10-5乗Mol.添加群及び対照群をおいて4、9、15日目にBouin固定H.& E.染色して観察した。
 a)皮フ:培養前のものにはかなり多数のmitosisを認める。4日目のものでは角質の増生、及び表皮の肥厚(2〜3層のものが4〜5層になる)、及び基底細胞層の規則正しい配列をみるに至るがmitosisは非常に少くなり、又真皮には幾分Picnosisが認められる。9日目のものでは角質、表皮共に4日目以上の肥厚はなく表皮に幾分のPicnosisを認め、mitosisは全くない。更に15日目のものでは、全層殆んどnecroticとなり表皮層にpicnoticな薄い層を認めるのみです。従ってここまでで培養を中止した。
 b)腎:a)で皮フを取った同じハムスター胎児より腎を取り出し、約1x2x1mmの腎をそのまま前記同様のPlasma clotにて培養し、矢張り4、9、15日目に観察した。培養4日目central necrosisを認めるが辺縁部は殆んど健常に保たれている。9、15日目のものでは、管腔が少し拡大してはいるが、尿細管の構造は大体正常に保たれている。培養前の組織には多数のmitosisを認めたが、培養4日目以后mitosisは全く認められない。
 この実験でも4NQO 10-5乗Mol.添加群、対照群の間に特別な差を認めなかった。a)b)の実験を通じてみると15日目の皮フが腎に比べて非常に状態が悪いと云うことがどうも納得出来ない。今后いろいろ検討すべき問題がある。先ずその一つとしてclotの成分について、C.E.E.の代りにHamster embryo extractの使用、又ハムスター血漿の使用、或は現在用いている3%CO2、97%O2ガスをO2又はAirに変えること、又は温度の問題等色々考えられる。
 (3)ハムスターを用いた3回目の実験は上記同様生下前2〜3日のハムスター胎児の皮フをPlasm clot及び液体培地を用いて培養した。Plasma clotは上述のものと同じで、液体培地はi)70%199+20%B.S.+10%C.E.E.よりなる半合成培地、及びii)70%B.S.+30%C.E.E.よりなる天然培地を用いた。両者のうち天然培地は血清源は異るが、Plasma clotを液体にした状態に近いと考えることが出来ると思う。現在8日目までの培養結果はPlasma clotを用いた皮フでは(2)において記したものと大同小異であるが、液体培地によるものでは両者とも4日目からすでに全くnecroticであり、これらの胎児組織を培養するには液体培地はどうも適当でなかった様に思われる。使用した血清、C.E.E.については、同時に培養したハムスターの顎下腺が健常である点からみて、それほど問題があるとは思われず、他の点につき更に検討の余地があると思われる。

《永井報告》
 3年程前に、伝研から現在の職場に移ったのですが、此処は発生学のひとつのセンターでもありますので、私の興味もいつか脳の生化学からこの方面に移って現在に至っています。これまで物質の上では、リピドや糖質の化学にたずさわってきた関係で、発生学へのアプローチの仕方も、こういた物質の研究をもとにしたものとなっている次第です。癌については、伝研時代に少しいじくったことがある位で、現在は全く離れています。それでどの程度お役に立てるかと内心気がかりです。現在おこなっています仕事は、1)ウニの配偶子のスルホリピドの研究、2)ヒトデの卵巣物質の研究、3)ウニ胚を用いてのcell aggregationの生化学的研究の3つです。1)の研究は、従来植物にしかないといわれていたスルホン酸結合のリピドがウニの卵と精子に存在することをみつけたので、目下その化学構造決定と生理的意義を追求中です。このリピドは精子の呼吸を倍に高めるとともに、精子の凝集作用を示します。またこのリピドで前処理すると授精率が急速に低下します。これらは、しかし癌と関係がつきそうにないようです。ちょっとでもありそうなのは、2)と3)でしょうか。2)はヒトデの卵が、他の動物の場合と違って、卵巣中にあるときは全く分裂せず、神経ホルモンによって海水中に放卵されると直ちに成熟分裂をおこすという現象にヒントを得た仕事です。つまり、卵巣中には分裂を抑制している物質があるのではないか、この物質を追求中といったところです。3)は、これはちょっとやそっとでは片附きそうにない問題で、皆様からお智慧を拝借してじっくりやっていこうと考えていますので、どうぞよろしくお願い致します。ウニ卵は、嚢胚期までの発生途上では、EDTAなどでmetalを除くと、cellがばらばらになり、これを元の海水に戻すとaggregateをspecificにおこない、もとの姿を回復し、また発生をつづけていきます。これは昔から知られた事実で、発生学者によっても時々とりあげられる問題ですが、生化学的な研究、その物質的基盤を明らかにする研究は、全くやられていない現状です。Cell再構成の実験はMosconaなどがやり始めているところですが、ウニ卵の方がSystemとしてSimpleで取り扱いやすい(もっとも現実は仲々きびしく、思ったとほりのようでもなさそうですが)し、卵も多量に入手できますので、やる気も動いたといったところです。目下、ウニ卵発生の同調培養、実験系の確立などに大わらわといった有様です。ばらばらにcellをしたのち、海水に戻してやると直ちにくっつき合って塊をつくり、やがてその中でSpecificな結びつきが成立していくのか、互に区別できる組織像が成立していくゆです。cell同志があまりにも早くくっつき合うのに驚かされるとともに、おれがまた何かと問題をひきおこします。まだ安定した実験系をつくりあげるにのは程遠いようです。もう春ウニのシーズンも終りに近づいてきました。すると、夏までおあづけとなります。これが別の悩みの種です。生物学の根本問題のひとつは形態形成にあると私は思っていますので、何とかしてこの問題に対して私なりの突破口を開きたいものと思っています。

《藤井報告》
 組織培養のこの研究班では、勝田教授はじめ、みなさんなかなかときついスケジュールでやっておられるので、臨床をやりながらのhalf-dayペースでやっていてついていけるかどうか危ぶんでいます。場違いのところに出て来た感しきりです。今回は私のやっている事を御紹介して御挨拶としたいとおもいます。移植免疫の仕事を始めたのは、そもそも癌の免疫をやる予備として、私の所の石橋教授から与えられたテーマだったわけですが、癌の免疫はあまりにむつかしく、その方はついつい手うすとなり、移植免疫の方がおもしろくなって凝っている恰好です。
 同種移植では、ふつう血清の中に抗体がなかなかみつからず(Gorer等の血球凝集系は別として)、細胞性あるいは細胞結合性抗体の概念が導入され、遅延型反応と関連して今だに重要な免疫学と課題になっているとおもわれます。MiamiのDr.R.A.Nelsonが細胞結合性抗体の成立機序について仮説を立てており、そのその研究室で仮説の実験的証明の仕事をやってきましたが、その仮説というのはdonorとrecipientが互いに共通な抗原をもっておって交差反応性を示すとき、産生抗体がrecipient自身の細胞に交差反応して、そこに細胞結合性の抗体が成立するというものです。同種移植反応を、抗原と宿主の相対的関係からみる、魅力ある考え方です。(J.Exp.Med.,118,1037,1963) 最近同種移植でも血清中の抗体がCytotoxicテストや、Immune-adherence法できれいに証明出来るようになりましたが、その出現の仕方も、donorとrecipientの組合せ関係によっていることが示唆されています。細胞結合性抗体の本体をと、考えながらも、今1度、血清抗体の方を整理しようとやっています。19S、7S抗体とcytotoxcity等の関係など面白い成績が出かかっています。
 この他、研究室の2〜3人と担癌宿主の免疫反応性、とくにその低下する原因についての実験と、補体、とくにマウスの補体が測れるようになりましたので、癌や移植の免疫と関連して研究をすすめています。

《三宅報告》
 ヒト胎児皮膚のSponge matrix cultureにみられる表皮のMitosisと、H3-TdRの取りこみの分布地図について:
 この号から参加させていただくことになりました。何とぞよろしくお願い申し上げます。相変らずのヒトの胎児の皮フをみています。材料にしたのは胎生3ケ月のものです。分裂をみたのはSpongeに容れて4〜5日目の廻転培養を行ったものです。H3-TdRの取りこみは培養2〜3日の後に2時間させたものです。同じ材料についてその両方を行ったものではないのです。表題にかかげた2つのものは、いわばこのCultureの方法についての重大な批判ともなる訳です。固定、Paraffin包埋して、最初の一枚から連続切片にすればよかったのですが、一応H.E染色をしてからという方法をとりました為に連続切片をしたと申しましてもParaffineblockの後2/3位の厚さしかないものです。(図を呈示)これを図のように標本の上で5つに分け、表皮の部を層状にa、b、cの3層にわけて、MitosisとH3-TdRのLabelingをみたのです。
 分裂は、もちろんBasal cell layerに見られ、この上のSupra-basal cell layerにもみとめられました。その広さは“AとE"の辺縁部、及び“C"に少いことが判りました。Labelingは、組織片(2〜3mm角)の中心では“B、C、D"に少く、組織片の辺縁部では“A、B、C、D、E"に瀰漫性にあることが判りました。これは当然のことかも知れません。これを組織片の全体から立体的にながめますと、MitosisもLabelingも共にドーナツ型の分布地図を示しその大きさを比較するとMitosisのしめす型が、Labelingのもつ型よりも、分厚く、中心に片よっていることが判りました。またどうしたことか、Mitosisが辺縁部に少くてドーナツの型からいえば、Mitosisのものが全体からいえば少し小型であるといえます。
 実は皮膚がCultureの間に分化を示すとすれば、上方に角化層を作りあげて行くばかりでなくてRete pegs(釘脚)を作るために、Basal layerの中でMitosisとLabelingが所々に局在して来ると考えたのです。それが連続切片を作って見た動機になったのですが、そのようなことはありませんでした。このCulture methodでは胎生の表皮は、上方に向って一途にProliferationをして、角化傾向をみせるのですが、Basal cellのDown growthは見られないのです。皮膚の分化という点からすれば、考えねばならぬ点と思いました。
なお後になりましたが、Spongeは山内製薬のGelfoam Sponge(Spongel)です。培養液は、Eagleに牛血清と鶏胚抽出液を添加したものです。Spongeは硝子壁にPlasmaでclottingしてあります。

編集後記


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