【勝田班月報・6705】
A)4NQO類による培養内発癌実験:
◇細胞:ラッテ皮下センイ芽細胞
◇今実験の特徴:これまでの実験では、映画に撮すため、平型回転培養管を用いていたが、黒木班員の実験でもTD-40瓶を使って変異コロニーが数コだけしか出来ないのであるから、平回管では細胞数が少なすぎるかも知れないと思い、TD-40瓶を用いた。
Exp.CQ#16
(1)RSC-1株細胞(1966-9-29、生后3日雑系F1ラッテ、皮下センイ芽細胞より培養の株)
1967-3- 8:TD-40へ継代(継代第5代となる)。
3-18:10-6乗M・4NQO(DMSOに10-2乗Mにといて使用)。
24時間だけ処理。以后細胞はどんどん変性壊死。
3-25:顕微鏡写真撮影、細胞はほとんど死滅していた。
4-20:瓶の頸部近くに比較的大きなコロニーを1コ発見。観察中。
(2)RSC-2株細胞(1967-1-21、生后9日雑系F2ラッテ、皮下センイ芽細胞由来)
1967-3- 8:TD-40へ継代(継代第3代となる)。
3-18:上と同処置、同所見。
3-25:ほとんど細胞は死滅。
5- 4:コロニー未だ認めず。
Exp.CQ#17
(1)RSC-4株細胞(1967-3-23、生后4日の(JARx雑)F1の皮下センイ芽細胞由来)。
1967-3- 8:TD-40へ継代(継代第3代となる)。
4-14:上と同条件で4NQO処理。 細胞は以后どんどん変性壊死に陥った。
5- 1:コロニー1コ発見。現在観察中。
(2)RSC-5株細胞(RSC-4と同条件で培養した株)。継代、処理は上のRSC-4と同じ。
5- 1:未だコロニーを認めず。
◇以上の所見よりみて、たしかにTD-40瓶の方が効率が良さそうである。
B)“なぎさ"及びDEN処理后、高濃度DAB処理により生じた変異株の3'-メチルDAB消費能: なぎさ培養あるいはジエチルニトロソアミン処理后、20μg/mlDAB処理により多数の変異がラッテ肝細胞の培養に現われたが、これらの亜株の3'-Me-DAB消費能をしらべると、DAB消費能とは全く平行せず、両者の代謝系の別個であることが暗示された。(表を呈示)この所見は今后の展開にとって大変有益な知見であると思われる。
C)“なぎさ"→DAB高濃度処理による変異株(M)のDAB耐性:
亜株MはDAB消費能が異常に高い亜株の一つであるが、Growth
Curveをとってみると(図を呈示)、20μg/mlでも7日間に約2.4倍増えることが判った。
《佐藤報告》
4NQO→ラットEmbryoの実験
☆N-10:その後、Rat胎児を培養材料として2系列(RE-4及びRE-5)をスタートした(図を呈示)。
☆N-11:RE-5の培養6日目の細胞を使用し、DMSOに稀釋された5x10-7乗Mの4NQOを添加した場合の細胞増殖は殆ど起こらず、6日后は死んでいく(図を呈示)。
☆N-12:RE-1、RE-2及びRE-3の動物復元実験では現在まだ発癌を見ていない。
DAB発癌
先月の月報では超音波及び凍結融解で培養肝細胞を破壊してDAB消費能がどうなるか報告した。今回は培養肝細胞の増殖率とDAB消費能との関係について検索するための予備実験を行った。実験材料はRLN-10及びRLN-163。細胞増殖阻止にはPuromycinを使用した。
(図を呈示)培養2日后0.2μg/ml及び1μg/mlのPuromycinを添加、5日后0.2μg/mlを1μg/mlの増加、その1日后Puromycinを除去。培養2日后Puromycin添加。培養と同時にPuromycin添加し2日后除去。等の実験を行った。
《黒木報告》
HA-8の移植性について
3月〜4月上旬は病理学会−宿題報告にかかりきりになり、また、3月にハムスターの交配を忘れたため、胎児が得られず、新しいExp.の開始はありません。
3T3は第一回のcloningを終り現在Re-cloning中です。mass-cultureでも、colonyの形からみても、3T3はいくつかのpopulationのmixであるようです(形態学的に)。念には念を入れて、2回cloningを行い、selectionの可能性をなくしてから、exp.開始の予定です。それにしても2回cloningをすると、exp.に使えるようになるのは、2ケ月後になります。(第一回のcloning
14日、とったコロニーがsheetを作るのに10日、第2回も同じく24日、さらにExp.に使えるまでにするのに10日位growthさせる)
今回は前報で述べたHA-8(4HAQO 10-5.0乗M
5x treat)の移植性について記します。
HA-8のcumulative growth curveを示します(図を呈示)。
継代の各時期において移植を行った結果、(1)処置後28日、35日には、、h.p.及びSCでtumorを作り、histologicalにはfibrosarcomaでしたが、20日後にregress。
(2)51日には、一旦regressするように思はれたが、やがて増殖。(3)60日はregressなうgrowthです。
もっとも興味のあるのは、41日において、染色体核型に異常のないことです。
目下、tumorを作るようになった後の標本を製作中ですが、何らかの手がかりが得られるかも知れません。
このような、regression→takeのような進行の形は以前にもみました(HA-1のとき)。これが何を意味するかは、興味のあるところです。
常識的に考えて、(1)malignant cellのselection。(2)progression(細胞の質的変化)の二つが考えられます。いずれにしてもcloningが絶対必要な条件となります。(2)のときは、malignancyへのstepwiseの変化の他、surface
antigenの変化も考慮に入れる必要があります。(移植成績の表を呈示)
この細胞は、培養13日目、発癌剤の最初の処置から9日後に1アンプル凍結してありますので、これから、染色体の変化を詳しく追うことができると思います。
☆carcinogenとcellとのsuspensionでのcontactは、全て失敗におはりました。
cumelative growth curveは次回の班会議のときに示します。
《高木報告》
月報6704に記した培養皮フ片の復元後の経過について
先報では移植後4週目を終った所で7匹中全部にtakeされたらしいことを報告したが、その後6週目を終った時期の写真を示す(写真2枚を呈示)。写真1)では7匹中右の3匹が対照群、左の4匹が4NQO添加群であるが、動物によって白毛の量に幾分の差はあるが他に目立った変化はみられない。写真2)は4NQO添加群の1匹を拡大したものであるがgraftの部分の白毛は他の部位に比べて明らかに密生している。この後、8週を終る頃より4NQO添加群のみ背部の脱毛がみられはじめたが、白毛の部分では脱毛が軽度である。10週目に入り脱毛は止った様である。これらが単なる毛変えかどうか今後の結果に待ちたい。
前回と全く同様の実験を新たに開始したが、移植後2週間を経過した現在、前回同様他の部分は発毛したのにgraftの部分のみ発毛しないで残っている。
《堀川報告》
前々号で途中まで紹介した(実験2)(実験3)の経過から報告すると、
(実験2)dd/YF系(♀)(生後49日目)マウスから得たBone
marrow cellsを2群にわけて培養、第1群は70%YLH、10%Tryptose
phosphate broth、20%牛血清を含む培地でCultureし、第2群は同培地に4NQOを1x10-5乗Mのfinal
concentrationに含む条件下で22時間処理し、その後は第1群同様にnormal
mediumで7〜10日おきに培地交換して継代を続ける。
Controlの方は培養後次第に細胞数が減少し、cell
sizeも次第に増大していく。そして培養開始後50日前後にはほとんどの細胞は退化して消失して行く。一方4NQOで処理した群はその形態もそれほど大きな変化もなく、継代されて行く。その間、細胞数においてもそれほど大きな増加もみられないが、そうかと云って減少することもなくほとんどconstantに保たれて行くようである。このことは換言すると4NQOで処理した群はinactiveではあるが、常にあるcellは分裂して細胞数を増し、medium交換のさいに失われるcell
numberをおぎなっていると考えてもよさそうである。培養を開始してから丁度50日目においてdd/YF系(生後21日目)に復元する。controlの方は死細胞(?)も含めて187万個cells/mouseの条件で2匹のマウスに、また4NQO処理群も187cells/mouseの細胞濃度で4匹のmouseにもどす。復元後31日になる今日になってもcontrol、4NQO処理群ともに白血病で倒れるものは一匹もみられない。またそれらしき症状を呈するものはまだ認められない。
(実験3)dd/YF系(♀)(生後56±1日目)のマウスのBone
marrow cells分離、(実験2)と同様の方法で培養を始めた。ただ、この実験では4NQOで処理する時間を2時間にとどめ、以後はnormal
mediumで、7〜10日間おきに培地交換して継代を続けた。培養開始後59日めに、Bacterial
contaminationをおこして残念ながら放棄した。
培養59日間における細胞の変化は逐次photgraphsにもとらえたが、controlおよび4NQO処理群ともに(実験2)とまったく同じであり、大きな差異は認められなかった。
(実験4)dd/YF系(♂)(生後35±1日目)マウスのBone
marrow cellsを分離、これを前回同様2群に分けて培養、第1群は70%TC-199、10%Tryptose
phosphate broth、20%牛血清を含む培地でcultureし、第2群は同培地に4NQOを1x10-5乗Mのfinal
concentrationに含む条件下で2.5時間処理した。その後は第1群同様にnormal
mediumで7〜10日おきに培地交換して継代を続ける。
4NQO処理群は培養経過とともに(実験2)(実験3)で示したとまったく同様の様相を示すが、controlの方はやや異っている。勿論次第に細胞数は減少してくるが、それ程に顕著ではなく、大半の細胞はガラス壁に付着して生存を続けるようだ。そのことはaciveなmedium
colorの変化から推測し得る。またこれらの事実は(実験4)で使用したmediumがBone
marrowcells cultureのために(実験2、3)で使ったそれよりさらに適していることを示している。
こうして継代47日後にcontrol cellsは380万個cells/mouseの条件で、500R照射した生後23日目のdd/YF系マウス3匹にかえす。また一方4NQO処理群は760万個cells/mouseで500R照射した同6匹のmouseにかえした。さらに500R照射したmouseで無処置のもの(細胞を返していないもの)をもう1つのcontrolとした。今回500R照射したmouseをhostに用いたのは、返したBone
marrow cellsの体内増殖をactiveにし、白血病化を容易にする目的と、さらにはBone
marrow deathに対する長期培養されたBone marrow
cellsのfunctional activityをtestすることにある。だが復元後11日になる今日まで上記の目的を果し得るなんらの結果も得られていない。
以上が今日までに得られている結果であるが、発癌への積極的な手がかりが得られていないのが現状である。
《奥村報告》
1)Human trophoblastsの培養
昨年からはじめている仕事で、現在までのところ継代細胞系6種を得ている。cultureは種々条件を検討した結果、199にcalf
serumを30%に添加した培地を用い、単層培養、材料は週齢6〜12の物を用いた。Prim.cult.時の植え込み細胞数は10〜100万個cells/ml10%CO2ガス下では1000コ/mlまで落すことが出来る。細胞の増殖度は未だ不安定であるが、大体2〜3/2週、seed時のlag
phaseは継代時によって異るが、我々の培養条件下では、約40〜60時間(H3-TdRがとりこまれはじめる時間)。しかし、継代7代目頃からは30〜40時間に短縮。
2)継代培養におけるtrophoblastの性質
継代3代目頃まではepithelial cellが大部分であるが、その后spindle-likeの細胞が出現。しかし、いづれの場合でもconfluent
sheetの状態ではcotact inhibitionがきく。この細胞系の最大の特徴は、培養開始后長いものでは4ケ月近くになるが、いぜんとして、ホルモン(HCG)を分泌し続けていることである。(ホルモン産生能はimmuno-assayとしてsero-test、又bio-assayによって確認)
3)SV-40ウィルスによるtransformationの実験
この継代trophoblastsにSV-40(PFU 10-8乗/0.2ml)を0.1〜0.2ml/10万個cellsでinfect.させると、少くとも3〜4週后にtransformed
cellを見ることが出来る。現在なお進行中。
《三宅報告》
1)前回に記したd.d系マウスの胎児皮膚をOrgan
Cultureをして、4NQO及び20-MCAを、作用させたものを、再び動物に戻したものは、いまだ移植部位に腫瘤の発生を、みない。
2)ヒト胎児皮膚のOrgan Cultureをしたものについて培養后、3日目、5日目、7日目に最終濃度4x10-6乗M
4NQOをさせたもの、及び20MCA 5μg/mlを1週間連続に作用させたものについて組織所見をみると夫々次のような変化がみられた(写真を呈示)。
図1は4NQOを3回、30秒はたらかせた後、2週間に亙って培養を続けたものである。表皮の増殖は著しく、角化も甚だしい。-----
reteの部には壊死は認められないばかりか、ここに分裂像がみとめられる。ことに目立った所見は表皮下のDermisであって、fibroblastは緻密なまでに増殖し、核は大きく、またHyperchromatismを呈していることである。図2はその部の強拡大である。図3は20MCAを1週間に亙って5μg/mlの濃度で作用させたものである。みられる通りの表皮及びDermis共にNecrosisが強い。