【勝田班月報・7002】
 培養内4NQO処理細胞の復元接種試験一覧:
 復元条件は生后1〜4日のJAR-1或はJAR-1xJAR-2のF1に、400万個〜800万個/ratで腹腔内接種した。(表を呈示) 処理数の多いほど、ラッテの生存日数が短くなるとは限らないことが判る。その他の復元試験中の株は、 
RLH-5・P3(無処理、対照にあたる):
生后6日のJAR-1・F33に1000万個宛2匹に復元、約10月経過、2例とも(-)。
Exp.#HQ-1(RLH-5・P3に4NQO 3.3x10-6乗M 30分1回処理):
生后3日のJAR-1・F34に500万個宛2匹に復元、現在約3ケ月、観察中。
Exp.#HQ-1B(上記HQ-1にさらに4NQO処理1回):
生后3日のJAR-1・F34に500万個宛2匹に復元、現在3ケ月、観察中。
Exp.#HQ-1:
生后3日のJAR-1・F36に1500万個宛2匹に復元(1970-2-2)、観察中。
RLT-6・P3(Exp.#CQ60):
生后3日のJAR-1・F34に1000万個1匹に復元(1970-2-2)、観察中。

《難波報告》
 N-12:4NQOによって悪性変異した細胞マーカーを探す試み
−旋回培養(gyratory culture)について−
従来、試験管内で4NQOによって悪性化した細胞のマーカーを検出すべく努力して来た。現在までの結果を簡単にまとめてみると、1)4NQO処理により発癌過程にある細胞では、発癌に近ずくにつれ変異集落の出現率が増加すること−月報6908、6910、2)4NQO感受性には、差の認められないこと−月報6912、3)その他、形態学的変化、増殖率、染色体分析の結果などを報告してきた。
 今回は、旋回培養法を用いた実験結果を報告する。細胞は4NQO非処理対照肝細胞(Exp.7)、その4NQO処理によって悪性化したもの(10-6乗Mで20回処理)、悪性化したものを復元して動物に生じた腫瘍(QT-2)の再培養細胞を用いた。培地はEagle's MEM+2%BSを使用し、100万個cells/mlを3mlの培地に浮游させビーカー中にまき込み、70rpmの旋回培養を行い、24、48時間後の細胞塊の直径を計測すると共に、細胞塊のパラフィン切片を作成し、組織構築性の有無を検討した。実験は3回行いほぼ同じ傾向を示す結果を得たが、最後の実験の結果を表に示した(表を呈示)。細胞塊は写真に撮理、同じ倍率で写真にとったobject micrometerで正確にaggregateのdiameterを算出した。それぞれの細胞塊の平均直径は、各場合20〜30コの直径の平均値である。
結論として云えることは:
1)対照細胞の細胞塊は3実験に於て常に一番小さいのに、腫瘍再培養細胞では常に大きな細胞塊を形成する。
 2)4NQOで試験管内で悪性化したものは、対照細胞に比べ一般に大きな細胞塊を形成すると共に興味あることは48時間後のものを観察すると少数ではあるが、腫瘍再培養細胞にみられる細胞塊と同程度の大きな細胞塊がみられる。これを拾い出して復元してその腫瘍性をチェックすれば面白いと思う。
 3)パラフィン切片によって肝臓としての組織構築がみられるかどうか検討したが、特別の構造はみられなかった。
 4)72時間培養した実験を行ったが変性細胞が多くなり良い結果は得られなかった。
 5)まとめとして、4NQO処理によって培養肝細胞が悪性化してゆくにつれて、旋回培養でみると、大きな細胞塊を形成する傾向を示すようになると云える。
 N-13:4NQOによって悪性変異した細胞のマーカーを探す試み−4NQO耐性について−
 月報6912に対照細胞と、4NQO処理細胞とについて4NQO感受性に差はないと報告した。その際は少数細胞をシャーレにまいて実験を行ったが、今回はシャーレへのまき込み細胞数を増した場合、細胞間に4NQOに対する感受性に差がみられるかどうかを検討した。まず、予備実験として、100万個、10万個、1万個、1000個の対照細胞を4NQO 10-6乗Mに含むEagle'sMEM+20%BSにまき込み1W後正常培地にかえ、さらに1W間培養してコロニー形成率をみたところ、100万個では細胞がガラス面一杯に増殖しており、10万個ではPEが0.08%であり、1万個、1000個では細胞コロニーはみられなかったので、実験はこの方法に準じた。即ち、細胞は上記N-12の3種のものを使用し、60mmのシャーレに10-6乗Mの濃度の4NQOを含む培地(5ml)中に10万個まき込みそのまま1週間培養後、4NQOを含まない培地で更に1週間培養し、そのPEをみた(PEは各系3枚のシャーレの平均値を求めた)。その結果対照細胞のPEは0.024%、4NQO処理悪性化細胞では0.012%、腫瘍再培養細胞では0%であった。以上のことより、細胞数を増しても4NQO処理群には4NQOに対する耐性獲得現象は認められないことが判った。 N-14:培養内で4NQO処理により癌化したラット肝細胞の
    動物復元で生じた腹水腫瘍の性状(続き)
 月報6911に、復元した細胞の歴史、腹水像、移植率、クロモゾーム、再培養像、4NQO耐性の有無については詳しく報告した。今回はこの腫瘍の組織像とG-6-Pase活性について報告する。 組織はPAS、ワンギーソン、アザンマロリー、鍍銀染色で更に詳しく検討し、病理小川教授診断を得る事が出来たので報告する。尚、診断には腹腔内に生じた固型腫瘍を主に用いた。 1.組織像
 1)QT-1:Undifferentiated liver cell carcinoma。 組織全体に亙って細胞の密な増殖があり、それらの腫瘍細胞の格は中等大で類円形を示し、一般にvesicularいみえ、クロマチン中等度で、小形の核小体がみられる。原形質はところによってsyncytial様にみえ不明瞭である。鍍銀では、2〜3コの上皮性の細胞が著明に増生した毛細血管に囲まれている。PASでは粘液の産生はみられず、わずかにPAS陽性の顆粒が散見される。
2)QT-2:Hepatocholangioma。 間質の増殖を伴わない腺管の形成がみられる部分と、密に細胞の増殖した部分がある。その後者の細胞はやや紡錘型で大小不同に富むが、全体の所見はQT-1に似る。
 2.G-6-Pase活性:Swanson,M.A.(1955)の方法で測定した。
 生後1月のラット肝:3.0。QT-1:0.6。QT-2:0。長期培養肝細胞(Exp.7系):0.07。
単位はμgPi/min/mgProteinで、QT-1、QT-2共に活性は殆んどなく、非常に未分化な肝癌と思われる。

《山田報告》
 本年初めよりtechnicianがやめたり、新しく免疫の基礎実験を始めたりしたため、思う様に研究が進まずに居ます。しかしどうやら、又少しづつ調子が出て来てゐます。
 HQ系の細胞の其の後の変化:
 前回報告しました様に4NQOを接触させた後、RLH5・P3の細胞の電気泳動パターンが少しづつ変化して来ましたが、今回の検査で更に変化して来て居ます。4NQOの接触後127日目の泳動パターンを図で示します(図を呈示)。これはtechnicianの手違いにより、シアリダーゼ処理の際にゆるく振盪したので、その作用が少し著明に出てゐるかもしれません。HQ-1、HQ-1B(2回4NQO接触)いづれも平均より10%以上泳動度がシアリダーゼ処理後低下してゐます。特に興味あることは、HQ-1Bの細胞構成が揃って来た事です。HQ-1については91日目に写真記録式泳動法により検査した結果でもかなりシアリダーゼに対する感受性が出て居ますので、単に処理時に振盪したためにその作用が強く出たためばかりではないと思って居ます(写真記録の成績は次号に報告します)。HQ-2はそれ程変って居ない様です。この変化が発癌とどう関係するか、後の復元成績の結果待ちですが、形態学的にもかなり大型の細胞が増加してゐます。この系は本来正常ラット肝細胞と形態学的にかなり違って居ますので、単に復元成績のみによる癌化の検出では不充分であり、免疫学的な検索を併用すべきと考へ現在この點について準備中です。
 同種移植法の血清内抗体産生の細胞電気泳動法による検索:
 さきに異種移植によって形成される抗体の細胞電気泳動法による検査成績を一部報告しましたが、今回は同種移植による抗体の検索の基礎実験を開始しました。同種抗体の場合は通常の方法では検出出来ず、表に示すごとくメヂウムに10mMのCaCl2を入れて検出すると抗体が検出されることが明らかになりました。(表を呈示)。これはラット腹水肝癌AH62Fを1000万個移植し、18日目に動脈血をとり、この血清を0.5mlに対しAH62F 1000万個 37℃10分接触させた場合と、この血清を56℃30分加温してそのなかの補体を非活性化した後に、同一条件でAH62Fと接触させた結果ですが、明らかに抗血清を接触させると電気泳動度が低下します。 (図を呈示)図に示すごとく、同種移植血清を作用させると、抗原の膜密度が低いために、そのままでは検索出来ないが、この抗原抗体反応に伴い表面の分子配列が変化するのか、或いは表面にあるシアル酸を始めとする多糖類が剥脱して、燐脂質の燐酸基が露出ために、カルシウム吸着性が増加するのではないかと考へて居ます。
 (同種移植後血清内抗体産生の検出:1及び2表とカルシウムメヂウム内のおける細胞表面の図を呈示)しかし表1の実験では、Antiserum中の自然抗体が吸収されて居ませんので、これを吸収した後に正常血清と対比して改めて実験してみた所、表2の成績を得ました。(条件は表1と同一)。明らかに自然抗体を吸収すると、比活性化した血清を作用させた場合の泳動値の低下が少く、そかも抗血清群はカルシウム吸着性が増加して居ます。正常血清を接触させても全くカルシウム吸着性が増加しません。従ってたしかに同種抗血清をこの方法で検出し得ることが確認されました。現在この抗血清を用いて、更に細かく反応条件やら、その感度等を検査して居ます。同種移植抗血清ですから、当然用いる細胞のageによって反応が違い、移植後末期の細胞を使用した場合はこの反応がすでに宿主内で起っており、その後の試験管内での抗血清の影響が明確に出ません。今の所3〜4日目の細胞が最も反応が良い様です。急いでこの基礎実験を完成したいと思っています。

《高木報告》
 今回は以前の班会議で紹介した高圧、常圧下における2〜3組織のorgan cultureについてこれまでん成績を報告する。
用いた組織はsuckling ratの膵、腎、肺で、培地は90%199+10%CSにPC-SMを加えたものである。培養法は、径3cmのpetri dishの中にstainless steel gridをおき、その上に重ねたlens paperの上に組織片をならべた。培地量は約4mlで組織片が浸潤されない程度とした。培養組織片の大きさは約1x2x2mm程度とし、1petri dishあたり12〜13片ずつとした。これまでの実験で培養温度は低い方が良い結果を示す場合もあったので、37℃、30℃につき検討した。高圧群のgas組成はO2 24%、CO2 2%、N2 74%とほぼ空気に近いもので絶対3気圧、常圧群は5% O2+空気で1気圧とした。次の3群につきこれまで実験を行った。
 1)37℃、1気圧、5% CO2+空気。
 2)30℃、1気圧、5%CO2+空気。
 3)30℃、3気圧、2%CO2+24%O2+74%N2。
 培養は9〜12日間にわたり行い、Bouin固定後、H&E染色を行い光顕で観察した。その結果、膵では37℃群にくらべて、30℃群の方が組織はより健常に保たれており、特に培養6日目以後には可成り明らかな差があった。高圧群と常圧群との比較では、高圧群にややcentral necrosisが少いように思われるが、きわだった違いはみられなかった。
腎では組織構造の維持の点でほぼ30℃高圧、30℃常圧、37℃常圧の順に良好な傾向がみられた。特に30℃高圧群では他群に比しcentral necrosisが少いことが特徴的であった。
肺でも大体30℃高圧、30℃常圧、37℃常圧の順によい結果がみられたが、この場合30℃高圧群において特に肺胞の構造がよく保たれていることが目立っていた。
これの綜括およびNG発癌実験については班会議で報告する。

《藤井報告》
 同種抗Culb血清
 昨年来JAR-2ラットをCulb cellsで頻回免疫注射をくり返してみましたが、ついに抗体を得ることができませんでした。
今回は、JAR-1ラット由来のCulb cellsをWistar King Aに注射(皮下)してみました。免疫注射はDMSOを10%にふくむCulb腹水を-90℃に保存しておき、注射時室温にもどし生食水で洗滌して赤血球を除き、500〜600万個cellsを腹壁皮下に、2〜3週おきに注射し、注射後8〜10日で、心穿刺により約5mlづつ採血しました。
抗血清の力価測定にはmixed hemadsorption法を用いました。方法の概要は次の通りです。 Indicator cells:ヒツジ赤血球(SRBC)の2%浮遊液を等量のラット抗-SRBC血清(赤血球凝集値200)と混じ、室温、1時間で感作します。抗-SRBCは1/200稀釋。溶液は以下すべてK+を0.02%ふくむベロナール緩衝液(K-GVB++)。感作血球を洗滌(1,000rpm、10分間)3回。2%浮游液にし、これに等容量のウサギ抗ラットγ-グロブリン血清1/1(沈降素値、20)に混じ、室温、90分間、振盪して2nd-coatingをおこないます。このSRBCを3回洗滌し、0.4%浮游液とします。
Mixed hemadsorption:小角培養ビンに1日培養したCulb-TC cellsを1回、K-GVB++で洗い、0.2mlの抗血清を注入、室温、1時間、ときどき揺りうごかす。反応後、細胞を充分量(3ml位)のK-GVB++で洗滌し、未反応の血清蛋白を除去する。
このあと新しく調整しておいた、上記のindicator cells(0.4%浮游液)0.5mlを加え、室温、1時間、ときどき軽く揺りながら反応させる。
反応後、tube内液を静かに捨て、新たにK-GVB++をtube1ぱいに充し、W栓を詰め、細胞の附着している底を上にして20分以上静置させ、未反応のSRBCを底よりはなし対側面に沈ませる。 Exp.011370
昨年の3月24日以来、頻回免疫してきたJAR-2ラット(Frll.A)と、9月22日以降5回注射したWKAラットの経時的に採血して得た各血清についてmixed hemadsorptionをおこなった。
(表を呈示)表1はその結果で、JAR-2はついにmixed hemadsorptionによっても抗体は検出できなかった。JAR-2はCulb細胞の由来したJAR-1系ラットのhybridであり、同種移植反応はおこらなかったと考えられる。WKAラットでは、ラットにより程度のちがいはあるが抗体価の上昇がみられる。
 (写真を呈示)写真1は、4+反応を示した(WKA(Fr16A)ラットの本年1月6日(010670)の血清)。写真2は抗血清なしの対照で、反応の程度は±である。
 Exp.012870
 ラット抗-Culb血清のCulb-TC、および培養内変異前の細胞RLC-10に対する反応。
 RLC-10細胞は、最近spontaneous transformationmをきたしたと報告されている。mixed hemadsorptionは平底の“micro disposo-tray"(Model IS-FB-96、Gateway International製)に1日培養したCulb-TCとRLC-10細胞についておこなった。抗血清稀釋、0.025ml、indicatorcellsは0.4%浮遊液0.05mlとし、感作方法、未反応赤血球の除去などは前記と同様である。
(表を呈示)成績は表2に示すように、各血清ともに、Culb-TCに対しては1:27稀釋まで陽性であるが(2+)、RLC-10に対しては1管あるいは2管の差で低い値がえられた。すなわち変異前の細胞はCulb抗原より、質、量のいづれかはまだわからないとして、少いことが示唆されたわけである。
 吸収血清についての実験成績は次回にまわします。
 次の段階として、抗Culb抗体、抗ラット(JAR-1)抗体、肝抗体(できれば抗RLC-10抗体)を、isotopeで標識し、そのCulb-TC細胞、RLC-10細胞への吸収、追加吸収を測定すれば定量的に、うまくいけば抗原の質的な違いも検討できるのないかと思っています。
紙面が余りますのでmixed hemadsorptionの反応のシェーマーをFagraeus,A.ら(1965)よりコピーしてのせます。なお使用した培養細胞は医科研癌細胞研よりお受けしたものです。
《堀川報告》
 培養哺乳動物細胞のDNA障害と修復機構(18)
 細胞内に取込まれた4-NQOが直接DNA鎖切断に関与するか、それとも一度細胞内で4-HAQOにreduceされてから切断するかどうかの検定で、これまでTemp処理の細胞を4-NQOあるいは4-HAQOで処理することによって結論的にどうも4-HAQOの方がはるかに切断能の高いことを示してきたが、今回はこの点を更に確認するため以前と同様の実験方法によって処理する4-NQOの濃度を高めて行った実験結果を報告する。
 (図1、2を呈示)図1は、前回同様に1x10-5乗M 4-HAQOで30分間Ehrlichを処理した直後の、double strand DNAの顕著な切断を示す。ここで注意すべきことは、細胞の温度処理によってDNA自体が非常に高分子化するという現象である。従って4-HAQOはこの高分子化したDNAを切断したことになる。
 一方4-NQOは、前回より濃度を高めて1x10-5乗M 4-NQOで30分間細胞を処理してみた(前回は5.0x10-6乗Mを使用したが、この濃度での正常細胞の30分間処理は1x10-5乗M 4-HAQOで30分間処理した時に相当するdouble strand breaksを誘起することがこれまでの実験から確認されている)。結果を図2に示す。この図からわかるように、この濃度の4-NQOではややわづかではあるがbouble strand breaksを起こすことがわかる。しかしいずれにせよ、こうした実験結果からいえることは細胞内でDNA切断を積極的に誘起させるものは4-NQOそのものではなくて、どうも4-HAQOであるらしい。こうした結果は杉村らの実験結果ともよく一致するようである。尚話はこの問題から少しそれるが死細胞においては4-HAQOによって誘起されたDNA切断が再結合できるかどうかは現在検索中である。

《梅田報告》
 前回の班会議でふれたが、堀川、安藤両氏の行っている発癌剤投与后のDNA strand breakについて、私の今迄取扱ってきた系について調べている。まだ基礎的な点についてもつついているので、dataとしては少い。今回はN-OH-AAFをhamster embryonic cell、rat liver culture cell、rat lung culture cellに投与し、1時間作用させた後の結果について述べる。 予めH3-TdRでprelabellした上記細胞にN-OH-AAF、10-3.5乗M、10-4.0乗Mを1時間作用させた後、細胞をtrypsinizeしてはがし、alkaline sucrose gradientの上にのせ、1時間遠心后、管座より各fractionに分離し、各々のH3のcountを求めた。
 N-OH-AAF 10-4乗M投与時のhamster embryonic cellのH3のcountのpeakは、controlより2本のずれを示しているのに対し、rat liverでは5本、rat lungではずれを示していない。10-3.5乗M投与時(hamster embryonic cellは行っていない)、rat liverで4本、rat lungで2本のずれを示した。以上夫々の細胞でDNA strand breakに関して感受性に違いのあることが示された。
 但し、rat liverで10-3.5乗Mと10-4.0乗M投与で、濃度の高い方でずれが少なかった。 count値が多くなったり少なかったり、しているので、もっと実験条件の設定をはかったり、techniqueの上達をはからねばならない、と考えている。又、細胞に作用させた後、細胞をtrypsinizeしていたのでは時間もかかり、どんな変化を来すかわからないので、はがし難いmonolayer cultureでもrubber cleanerではがしても良いかどうか検討中である。
以上の様な実験で今私がN-OH-AAF投与后長期培養を続けている細胞のin vitro malignanttransformationの指標になればと願っている(図を呈示)。

《安藤報告》
 RLC-10細胞に対する4NQOの作用
 (1)DNAの一重鎖切断に対する4NQOの濃度効果
 4NQOによる二重鎖切断の細胞酵素系による修復現象について私の使っているL・P3と堀川さんの使っているEhrlichとLとの行動の違いが問題になっている所ですので、この点を再検討するための予備実験を行った。すなわち、L・P3、RLH-5・P3いずれも合成培地内継代細胞なので、他の細胞の要求する血清成分をも自ら合成するし、又二重鎖の切断をも修復するという超自然的(?)能力をも獲得したかも知れない。そこで、勝田班長の使ってこられたRLC-10細胞について、同様の事が観察されるか否かを調べてみる事にした。今回はRLC-10細胞DNAの一重鎖切断に対する4NQOの濃度効果を調べた。そして、一重鎖切断の再結合が起るか否かを検討した。(図を呈示)第1図にあるように、この細胞のDNAも4NQOに対して感受性であり、濃度を上げるにしたがって切断数も増していた。したがって培地中の血清の有無は、この限りにおいては影響を与えていないように思われる。
 (2)次に4NQO濃度を3x10-6乗M一点を選び、切断されたDNAが再結合されるか否かを検討した。(図を呈示)結果は第2図にあるように、コントロールは遠心管の底に沈み、4NQO処理直後には相当の分解を示した。この処理細胞を3時間回復培養をした後に分析してみると、3)にあるように確かに回復はしているのが明らかにわかるが、回復は不完全であった。しかも再結合されたDNAの大きさは対照よりも小さいように思われた。念のため、全く同様な実験を行ったのが第3図に示してある(図を呈示)。但し回復培養の時間を5時間としたが、殆ど同様の結果であった。これ等の結果からL・P3、RLH-5・P3の結果と比較して次の事が云えそうだ。
 1)RLC-10細胞は4NQOのより低い濃度でL・P3とcomparableな切断のpatternを示す事から、L・P3より4NQOに対する感受性がやや高いようだ。
 2)一重鎖切断が回復培養で再結合されたDNAは未処理DNAよりも小さいようだ。
 なお、堀川さんよりLの金沢lineをいただきましたので、この細胞について今後再検討を進めたいと思っております。

編集後記


 Click [X] after reading.