【勝田班月報・7302】
《勝田報告》
これまでかなりの細胞株を4NQOで処理してきたが、未報告の実験がかなりあるので、主に復元成績について一応整理してみた。(表を呈示)
JTC-21・P3(ラッテ肝・なぎさ変異・合成培地系)は4NQOで処理したが復元成績は0/2。
RLG-1(ラッテ肺上皮様細胞)は4NQO及びNGで処理したが、control共々復元成績は2/2。
M(ラッテ肝・なぎさ→DAB変異)の4NQO処理は1/2、NG処理0/2、controlは0/3。
RPL-1(ラッテ腹膜細胞)のNG処理は生后4日JAR-1xJAR-2のF1に接種。処理群は接種約1.5月後、2匹中1匹の腹部に小豆大の腫瘤を発見。これがゆっくりと増大、死亡時胸腔内に転移あり。死因はその転移によるものらしいが、carcinomaではなく、或いはhistosarcomaかとも疑われる。(癌体質研究部の診定)
controlは2匹中1匹が肺炎で死亡。
《高木報告》
1.培養内癌化の指標としてのsoft agarの検討
これまでも報告した通り、serum factor freeの血清を用いて平板寒天法(黒木法)により正常細胞RFLC-5細胞および腫瘍細胞RRLC-11細胞の、plating
efficiencyを調べてみた。用いた血清は無処理の対照、48時間蒸留水、24時間Hanks液で透析した血清(1/1)、硫安1/3飽和上清を48時間蒸留水、24時間Hanks液で透析した血清(1/3)、の3種である。これらをMEM培地に10%添加して各4枚のPetri
dishにつきcolony形成能を比較した。agar濃度は0.5%である(表を呈示)。結果は表の如く、RFLC-5細胞はagar内に全くcolonyを作らない。RRLC-11細胞では対照、1/1血清で殆んどcolony形成能に差はみられず、1/3血清ではそれらの約半分に低下した。以上の結果でみる限り腫瘍性の有無をみるには平板寒天法のここに用いた条件ならばserum
factorなど考慮しないでも生える、生えないで一応判定できることになる。対照の血清を用いた場合でもPEが低い(200ケの細胞をまいた)点はさらに検討しなければならない。他の2〜3正常、腫瘍細胞株についても検討している。
2.RRLC-11細胞より分離された毒性物質(virus)の追求
細胞種による感受性のちがい:一部の細胞は増殖があまりよくないのでまだ細胞種は少ないが、RFLC-5、RFLC-3、Sg(ラット唾液腺より分離)、LC-14(ラット肝細胞)、L細胞などは変性をおこす。JTC-16(7974)、RRLC-12、-13(RRLC-11の再培養株)は変性をおこさない。
Virusのpurification:VurusをRFLC-5細胞に作用させ変性した時の培地を集めて40,000rpm
90分遠心後、DEAEcellulose Columnを用い、10mM
pH7.0のphosphate bufferによりNaCl0〜1.0Mのlinear
gradient elutionを行った。O.D.280nmでみるとNaCl
0.2〜0.3Mに、peakがあり、その活性を調べている。
《堀川報告》
同調培養されたHeLaS3細胞の、細胞周期を通じての放射線および化学発癌剤(4-NQO)に対する感受性差支配要因の解析はくした各種物理化学的要因の動物細胞に対する障害作用ひいては動物細胞のもつこうした障害からの修復機構の解析にすぐれた系であるとして、私共の研究室で研究を進めているが、今回はこれまでに報告してきた結果を更にConfirm出来るような結果が得られたのでこれを追加して報告する。
(1)まずUV照射に対するHeLaS3細胞の同期的感受性曲線は、従来図1に示すような結果が得られていた(図を呈示)。つまりmiddleS期とM期が最もUVに対して感受性が高く、G1期やG2期はそれに比べて感受性は低い。こうした感受性差を説明するものとして各期の細胞をUV照射した直後、DNA中に形成されたTTの量を分析すると、S期のDNAはG1期やG2期に比べて約2倍量のTTが形成されることがわかっている。これらを更に広いPhaseにわたってUV照射し、その直後にDNA中に形成されるTT量を調べた結果が図2である(図を呈示)。これらの図からわかるようにS期の細胞ではUV照射後G1期やG2期の細胞に比べてより多量のTTがDNA中に形成されることが再確認された。しかし、一方M期のUVに対する高感受性はTT量とはそれほど明白な関係が見出されなかった。このことは、分裂期のDNAはS期のDNAとは構造的にも異なり、UV照射によってTTが形成されにくいのかもしれない。いづれにしてもUVに対する同期的感受性差支配要因として各期におけるTT形成量の違い以外に何か別のfactorを考えねばならないのかもしれない。
(2)一方、4-NQOに対しては、X線やUVとも部分的に異った周期的感受性差を示すことについては、これまでに報告してきたが、では一体4-HAQOに対してはどうであろうか。これらをまとめて3図に示す(図を呈示)。これらの図からわかるように、4-HAQOに対するHeLaS3細胞の周期的感受性曲線は、4-NQOに対するそれと、本質的に同じであることがわかる。こうした結果は、4-NQO誘導体のactive
formが4-HAQO周辺のものにあると考えれば、当然のことかも知れない。
《山田報告》
腹水肝癌培養細胞JTC-15(AH66TC)のsublineであり、腫瘍性(可移植性)の著しく異なる、AC-4、AC-5株について、細胞電気泳動的に比較検索した結果を書きます。
この細胞については、以前一回検索したことがありますが、この時の実験に不確実な所がありましたので、今回はくりかへし調べてみたわけです。
(表を呈示)表1に示します様にノイラミニダーゼ感受性は明らかにAC-5に著明です。その差は二倍もある様で、その可移植性の成績と一致します。しかし全体としてノイラミニダーゼ処理により泳動度の低下が少し強い様ですが、それは今回CBCのノイラミニダーゼ10単位を用いたせいだと思います。いままでの成績と比較するために、標準細胞(ラット赤血球)の感受性を比較して全体に補正をしたいと思って居ます。何れにしろ、相対的にはAC-4のノイラミニダーゼ感受性は低いことが確かです。
次に、この細胞系のConcanavalinAに対する反応性を検索してみました。(図を呈示)図1に示します様にAC-5は二回の検索結果が殆んど同じですが、AC-4は2回の検索結果が異ります。また1mMの(But)2cAMP及び1mMテオフィリンを37℃30分作用させた後の変化、及びあらかじめノイラミニダーゼ処理した後に(But)2cAMPを作用させた変化を、表2(表を呈示)に示します。この結果については、次回基礎実験成績を混へて考察したいと思います。
《乾報告》
今月は、X th International Cngress of Cell
Biologyで発表された組織培養関係の話題を二、三紹介すると共にSwiss
Inst.for Experimental Cancer Res.で行なった仕事の結果の概略を報告します。
International Congress of Biology:全体として私の感じでは、Cytology及びTissue
cultureに関する仕事は低張のようでしたが、その二、三を紹介致しますと、Dr.M.Harrisが主催した“Life
spane and Transformation in Cell Culture”と云うSymposiumでは、Dr.DiPaolo、Barski、Harris、その他一名のSpeakerによって討議され、培養内での細胞のLife
spaneと云う問題に関しては、白血球細胞の如く、完全にLife
spaneをもつものがあるが、一般の培養細胞では、CellのLife
spaneをどの様に定義するかは難しく結局図1(図を呈示)でA又はB、特にAの期間を培養された細胞のLife
spaneと考えては提唱されました。
次の問題としてはそれでは広義TransformationのIndicatorとして細胞、又は細胞集団のどの様な性格を取り上げれば一番いいのかと云う事が討議されましたがこれはDr.DePaoloの独断場で、彼はKaryotypeの変化、Malignancyの獲得、Plating
property、cotact Inhibi-tionの低下、Maximum
population percm2、Arrangement of fibroblast、colony
formation in agar、Growth ability in suspending
culture等を提げ細胞レベルでのTransformationと生物レベルでのTransformationは、各々分離して考えるべきだと強調していました。その他の話題として、Chemical、Viral
induced transformationの違いが話題に上り、後者はIntracellular
informationが新たにCell内にくみ込まれるに反し、前者はそれがないと理解したら整理しやすいが、この場合、Spontaneous
transformationをどのように取り扱うかが問題になり、結局広義のChemical
inductionと考えたら?と云うような事になったと理解しました。
その他Cell cycleにおける細胞内の色々な出来事に関して、Dr.BasergaがChairmanで、Dr.Tayler、Abercrombie、Moor等がBiochemical
events during the initiation of proli-ferationと云うSymposiumで話題を提供しました。ここでの一番の問題点は、Cell
cycleをG0、G1、S、M、G2期と規定し、G0からG1への移行がどの様な機構で行なわれるかと云う点が最大の論点で、何らかの機序(Stimulation)でNew
Geneのactivationが起り次いでNew M-RNAsynthesis、chromation
template activityが上り、Cellはproliferation
cycleに入って行くと云う話題がHuman normal
cell、Rat kidney cell、部分肝切除等の実験系で提供された。その他、この班に比較的関係があったと思われるSymposiumを上げると、Control
of cell diviion(E.Zeuthen)、Cell surface and
cell growth(Stoker)等であった。
Swiss Inst.for Experimental Cancer Res.:約3ケ月弱の滞在中二つの事を行なって来ました。一つは、ハムスター繊維芽細胞に煙草タールを作用してtransformationをさせる系の確立で、日本でやっていた実験の移植です。他の実験は、Normal
adult lung origineのfibroblastにPuffの型でKentucy種タバコ、マリハナタバコ煙を作用し、以後経時的に4週間、染色体観察、核DNA量の測定を行ないました。詳細なデータは現在整理中で、次号にゆずりますが、綜合データでは図2(図を呈示)に示す如くKentackyタバコ、マリハナタバコ作用群では染色体分布の巾が正常に比較し拡がります。核DNA定量でも、図3の如く同様な傾向がより強調された型で表われますが、単位核DNA量の増加は、分裂中期に比して後期細胞で著明です。
《黒木報告》
§BUdR光照射によるUV感受性細胞分離法への疑問§
堀川さんのやっているBUdR光照射法によってUV感受性細胞を分離する方法を追試しようかと考えたところ、その理論的及び実験的不確かなことに気がついた。つまり、(A)UV照射後t時間BUdRを添加し光を照射する。(B)UV照射後t'時間おいてt時間BUdRを添加する。(図を呈示)(A)(B)のいずれかのscheduleをとるかtをどの程度の時間にすべきかをきめるため、window法でUV照射後のコロニーの増殖を一つ一つのコロニーについて観察した。すなはち、0.5%平板寒天の90mmシャーレ底面に約2mmの穴を70〜80ケあけた紙をはりつけ、L5178Y細胞を2000ケまいた。一群はコントロールとし(UV無照射)、一群は2枚に50ergの紫外線を照射した。以後毎日倒立顕微鏡でコロニーの増殖をスケッチした(5日間)。典型的な例では、(図を呈示)図のように倍々とふえていった。結果を図表に示した(図表を呈示)。SchedulAでもしスクリーニングできるとすれば、A〃fractでありSchedulBではBB'fractionである。しかし、ここではBB'fractionが本当に後にgrowthが回復するかどうかみていない。
いずれにしても、感受性cloneはE(died without
division)の形で死んでいくのではなかろうか。そうするとBUdR法が適用できなくなるように思える。
細菌の場合もUV感受性細胞はペニシリン法で分離されていないようなので、やはり面倒くさくてもレプリカ法によるべきように思はれる。レプリカのdataは班会議の時に発表する。
《野瀬報告》
各種細胞のarginine要求性
肝細胞特異的な生化学的指標としていくつかの例が知られているが、現在、培養細胞でこれらを検出するのはむずかしい。指標のうちの一つのarginine合成系酵素は、尿素回路を構成する酵素で、carbanyl
phosphate+ornithine(1)→citrulline(2)→arginosuccinic
acid(3)→argineの一連の反応を触媒する。Argはほとんどの培養細胞にとって必須アミノ酸なので、Arg要求性の有無により、この系の酵素活性を推定できる。そこで細胞の遺伝情報発現を見る示標の一つとして、このArg代謝を若干検討した。完全合成培地中で継代されている細胞はこのような実験には適していると思われる。(図を呈示)図は、JTC-25・P5細胞のMEM(-Arg)中でのgrowth
curveである。培地にArgの前駆体を加え、growthに対する影響を見ると、JTC-25・P5はcitrullineをArgとほぼ同程度利用していることがわかる。従ってこの細胞は(2)(3)の代謝系は持っていることになる。carbamylphosphate又はornithine単独では-Argと全く同じで細胞は死んでゆくか、これらを同時に加えるとgrowthはないが細胞は死からある程度救われる。しかしこれら前駆体の濃度を上げてもgrwothは見られなかった。このことはJTC-25・P5細胞には弱いながらも(1)の酵素(ornithine
transcarbamylase)が存在することを示唆する。
同様の実験を次の6種の細胞について行なった。このうちRLC-10、CHO、HeLaS3はMEM(-Arg)+10%dialyzedCSで、L・P3、JTC-21・P3はそれぞれDM-120、DM-145からArgを除いた培地中で培養した。CitrullineをArgの代わりに利用できる細胞株は多いが、carbamylphosphate、ornithineを利用できる株は肝由来の細胞に関しても見つからなかった。
Arg代謝に関してはPPLOの関与が重要なので、千葉血清研の橋爪先生にこのcheckをお願いしたところ、表のように使用したすべての株において検出された。(表を呈示)。PPLOはArginine代謝系酵素をもつものが多いので、この結果から、表1の結果が細胞の性質を示しているのかどうか疑わしくなった。しかし図1で用いたJTC-25・P5はPPLOのtiterが非常に低く、3回増菌培養をくり返して初めて検出された程度なので、この細胞に関してはPPLOの代謝系の関与は無視できるのではないかと思われる。
細胞の生化学的markerとして、Arg要求性を用いようとする試みは、PPLOがこれ程広く混入している点から考えて非常に困難であると思われる。
《梅田報告》
(1)イギリスで行ったin vitro transformationの仕事の大要を報告します。結局は、DiPaoloの追試をしたに止まる実験をしてきたのですが、当初の目的は以下のような物です。
先ずDr.Iypeのアイデアだったのですが「in vitro
carcinogenesisにおいて発癌剤投与で弱って死にそうな細胞同志がhybridを作ると元気になって悪性化した細胞として増生してくるのではないか」と考えました。これに関する実験を行ってみましたが、とにかくそんな考え方で文献をしらべてみますと、丁度Eagle等がhigh
pHの培地で雑種形成が促進されると報告しているのに気付きました。更に、Eagle等は前から培地をやや高目のpHで培養するとcontact
inhibitionを示すべき細胞が、contact inhibitionを示さなくなることを報告していることもあり、pHの影響に興味をもち始めたわけです。
(表を呈示)ところが表1に示すように、DiPaolo等のハムスター胎児細胞を使っての仕事はDulbeccoのmodified
MEMを使っており、重曹量が非常に多いのです。一般のMEMのEarleのsalineは2.2g/lでこれでさえも培養操作中にpHが上昇してくるのは周知の事実です。いわんや3.7g/lの重曹量においてはどうなるか想像に難くありません。私のところではそれがいやで前から重曹量を1.1g/lにへらしています。勿論培養中は目的のpHが保たれる様、炭酸ガスのtensionを調節しています。
そんなことからin vitro carcinogenesisに短期で成功するには培養のある時期にhigh
pHが作用している可能性があっても良いのでないかとのworking
hypothesisをたてたわけです。
(2)そこで今迄報告されている中で一番短期間で実験の出来るsyrian
hamster embr-yonic cellsを使うDiPaoloの方法でこのpHの影響を調べることにしました。(Balb3T3は入手出来なかったので)
ところがそれからが大変で、Eagle等の報告によるHepes等のgood
buffer系でpHを調製するのに一苦労しました。考えてみればあたり前のことで、彼等はgood
bufferの混合を使いながら5%炭酸ガスフランキで培養しているものですから、good
buffer+重曹bufferの二重のbufferで調製していることになります。ところがgoodのbuffer系そのものが溶解後NaOH或はHCl液でpHを調製するので、重曹を入れてからではpHが調製し難いし、重曹を入れる前にpHを調製してからでも、5%の炭酸ガス圧に合う重曹量を各pHで更に求めなければならないわけで、pHの調製のためには二重手間を強いられます。しかも無菌的に行うには更に大変なことでした。とにかくEagle等の論文には表が無造作に簡単に書かれていますが、調製は大変なことに違いありません。
やっとの事で殆目的に近いpHに調製出来るようになってからわかったことはハムスターの胎児細胞(primary)はgood
buffer系には強くないことです。Plating efficiencyは全く低下します。
(3)それで今度は丁度incubator boxがあったので、これを使って普通の培地(2.2g/lの重曹)でgas相を変えて、コックを閉めてから37℃で培養を続けたらと考えました。この目的のため炭酸ガス相を10%から1%と各段階を作り実験してみました。これも思ったよりpHの調節が難しくなかなか目的のpHにconstantにもっていくことが出来ませんでした。
致し方なく今度は実験を縮少して、研究室にある2つの炭酸ガスフランキをそのまま使ってみることにしました。これは共に良好なgas
flowmeterがあるので、安定したガス混合物が得られるので、1つは5%、1つは2.5%(アルカリ側に興味があったので)で実験してみました。各pHでずっと細胞を培養する他にハムスター胎児細胞を植えこんだ時だけ2.5%に、発癌剤処理の時だけ2.5%にしたり色々の組合せも行いました。
(4)ところがgood bufferやincubator boxを使っているときの対照に、即ち5%炭酸ガスフランキでずっと普通に培養して発癌剤処理をしたものに、どうもtransformした様な形態のものがあることを見出しました。しかも以後の実験での結論は、2.5%炭酸ガス圧の処理群でtransformation
rateが著しくあがることはありませんでした。とにかく、ここらへんで気のついたことは、(1)先人のデータを検討してみると、一群のシャーレが10枚以上使われていること、(2)出てくるcolonyの形態はいろいろで、transformed
colonyとの判定が非常に難しいこと、(3)更に、時々対照にも所謂transformed
colonyらしいものが見出されること等です。
(5)(1)については、シャーレの数を多くしないとtransformed
fociの数が充分得られず、データを統計的に解釈するのが難かしくなってくるわけです。各実験でシャーレの数を多くすれば問題ないのですが、あまりにも大規模な実験となり能率的でないし、かえって実験誤差も生じやすいようです。
(6)(2)としては、われわれのこの実験の前提は始めからSachs、DiPaoloの云う形態だけで、transformしたものかどうか判定することでした。復元実験などするひまもなかったからです。ところがこの形態だけで判定するには非常に困りました。多彩な形態で移行が沢山あるからです。少くともなるべく客観的な方法で判定出来るように考え、次のように考えてみました。
Colonyの判定 S:sparse colony。M:monolayer
colony。P:piled up colony。
O:orderly oriented。R:randomly
oriented。
SOO:Sparse colony with orderly oriented
cells in the center
and orderly oriented cells at the periphery
of the colony.
SOR:Sparse colony with orderly oriented
cells in the center
and randomly oriented cells at the periphery
of the colony.
SRO、SRR、MOO、MOR、MRO、MRR、POO、POR、PRO、PRR
3つの大文字を並べて書き、最初はcolonyの細胞増殖の状態、即ちsparseか、monolayerか、piled
upかを記載し、真中の大文字はOかR、即ちcolonyの中心部の細胞のorientationを記載し、最后に又OかR、即ちcolonyの周辺部の細胞のorientationを記載しました。更にOかRの判定もいろいろの程度があって難しいのですが、我々は細胞の50%以上が、randomにあちこち向いている場合Rとしようと取りきめました。勿論これでRと判定されたものが本当に悪性かどうか復元実験をしていないので何とも云えませんが。
こうしてデータをすべて検討してみますと、多くのpiled
up colonyはすべて中心部にRfactorが多いことです。そして周辺部の細胞はorientedのものが多く、われわれの経験でが之等は悪性でないと思わざるを得ませんでした。即ちPOO、PORはあまりなく、SORとかMROがみられないこともあり、一応transformed
colonyとして判定するのはあくまでも便宜的ですが形態的にcolonyの周辺部の細胞の並び方だけに重点をおき50%以上の細胞がrandomに並んでいることを判定の基準としました。
(7)(3)は上の測定基準にしたがっても、どうしてもtransformed
colonyとして判定せざるを得ないcolonyが確かにcontrolにもあるのです。
(8)以上のような基準にしたがって沢山の失敗実験の中でややきれいなデータを集めると表4になります(表を呈示)。1.2.実験は小さな実験でシャーレ5枚宛ヲ使っています。3.4.5.実験は15枚以上のシャーレを使った大実験です。又4.5.はpHの問題をあきらめきれずに、4.ではハムスター細胞を植えこんだ時の1時間だけ、5.では発癌剤処理の2時間を、2.5%の炭酸ガス圧にした時のデータです。(終わり)